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Fランク能力者の存在理由‐レゾンデートル‐  作者: トウミ
第4章 幻獣の棲む島

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第4章 幻獣の棲む島 その10

第4章 幻獣の棲む島 その10


銀たちの、エンチャントとの戦いに決着がつく少し前。

師範、相楽宗有&仮面の男サイド。


キンッ!

キキンッ!


「ふっ!」

「はっ!」


キーンッ!


互いの刀がぶつかり、乾いた金属音が響き、ザッと互いに距離を取る。

そして、互いに刀を鞘に納める。


「四の型、絶影剣!」

「絶影剣!」


居合いから刀を勢いよく抜き、見えない斬撃を飛ばす技。

ほぼ同じ威力により、中央付近で相殺される。


「ハァ、ハァ、また相殺か。こりゃ参ったわい」


「ふ、その歳で俺と同じ威力の技を出せるとは、流石は“一刀無双(いっとうむそう)”といったところか。だが、肩で息をしているな? 歳には勝てないといったところか?」


「はっはっは。こりゃまた懐かしい呼び名じゃわい。ふむ、確かに歳はとったが、まだお主を抑えるくらいはできるぞ?」


相楽宗有は、呼吸を整えながら、仮面の男にそう答える。


(そうは言ったものの、向こうは汗一つかいていないといったところかの? こりゃあ早めに決着をつけた方が良さそうじゃ)


相楽宗有はチラッと銀たちの様子を伺う。


(あちらは、まだやっておるか。だが、決着はつきそうじゃの)


「そろそろ決着をつけるとしよう、相楽宗有」


「ふむ、そうしてもらえると有り難いのぉ」


お互いに、目には見えないが、気迫のようなものを纏う。

近くの木々、草花が揺れ、砂埃が舞い上がる。


「お主には悪いが、真天一刀流の奥義にて、終わらせよう」


「奥義か。ならば受けて立とう」


「その意気や良し!」


相楽宗有は、刀を改めて強く握る。


「真の一太刀は天へと通じる道と成る。我、今、その道を切り開かん! 真天一刀流、奥義……」


(つい)の型、真天煌凰剣(しんてんこうおうけん)!」


目にも止まらぬ速さで、前方へと複数の斬撃を飛ばす。

と、同時に、上空へとジャンプし、まるで火の鳥のように炎のような真っ赤な気迫を纏いながら、刀を突き出し、仮面の男へと向かっていく。


今まさに、その刀が仮面の男に突き刺さろうとしたその時だった。


「裏の型・一の太刀、深淵虎月(しんえんこげつ)!」


仮面の男は、自身の刀に黒いオーラを纏わせ、虎月に似た技を放つ。

仮面の男の技が、相楽宗有の刀に当たり、彼の刀は上空へと飛ばされてしまった。


ドサッと、仮面の男の前に倒れ込む相楽宗有。


「く、なんじゃ今の技は?」


「裏の型・一の太刀、深淵虎月。相楽宗有、あなたが創った真天一刀流を私なりに改良したものだ」


「はっはっは、こりゃあ参ったわい。だが、あの技は、お主をいつか飲み込むぞ?」


相楽宗有は、膝をついたまま、仮面の男を睨む。


「忠告感謝しよう。だが、俺はもう決めたんだ、その道へ行くと」


「そうか、悲しい男じゃの」


相楽宗有は首を横に振り、そっと目を閉じた。

仮面の男は、自身の刀を振り上げる。


「最期に何か言い遺すことはあるか?」


「そうじゃな、勝手に最期にして欲しくないかの?」


「何? どういうことだ?」


仮面の男は訝しげな表情で尋ねる。


「師範!」


とここで、別の方向から声がかかった。


「なるほど、向こうの戦いが終わったのか。俺の役目は、向こうが終わるまでのあなたの足止め。ふ、命拾いしたな」


そう言うと、仮面の男は刀を鞘に納め、その場から離れる。

相楽宗有、ゆっくりと立ち上がり、その男の背中を見ていた。


(あの時の癖、それから太刀筋。仮面で顔は見えんが、あの男はやはり……)




「師範!」


フラフラとゆっくり立ち上がる師範の元へと、俺は急いで向かう。

先程まで師範を殺そうとしていた仮面の男は、こちらに気づくとその行動を止め、エンチャントの方へと歩いていった。


「師範、大丈夫ですか?」


「おー、銀か。ふむ、ちょいと無理し過ぎたが、一応大丈夫じゃ」


師範はそう言うが、足元は覚束なそうだった。

俺は師範に肩を貸した。


「そちらは、うまくいったようじゃの?」


「はい、なんとかみんなで協力して」


「ほっほ、そりゃ良かったわい」


みんなの方を見ると、全員が走ってこちらまで来てくれた。


「銀、師範は大丈夫か?」


「宇佐見くん、こっちに」


「晃、ありがとう。師範は大丈夫だ。楽々浦先輩、ありがとうございます。師範をお願いします」


俺は晃にお礼を言って、そして、楽々浦先輩に師範を預けた。


「ほっほっほ、こんな若い娘さんが看病してくれるとは、長生きするものじゃな」


「じっとしてて下さい」


楽々浦先輩が能力を使い、師範はすぐに元気になる。


「あはは、おじいちゃんは元気になったみたいね」


と、いつの間にか遠くにいたエンチャントがこちらに声をかけてくる。


「エンチャント!」


「約束通り、今回はあなた達の勝ちよ。正直、こちらの剣士がここまで抑えられるとは思わなかったわ。」


エンチャントの横には、師範が戦った仮面の男がいた。


「エンチャント、その男は一体何者だ? 師範がここまでやられたのは初めて見たぞ」


俺はエンチャントに尋ねる。

しかし、エンチャントは首を横に振る。


「残念ながら、今は教えられないわ。時間切れよ」


そう言うと、エンチャントたちの周りに黒い蝶がたくさん集まってくる。


「もう帰らないといけないの。ごめんね、宇佐見銀くん」


「それから、生徒会のみんなも覚えたわ。次に会うときはよろしくね♪ バイバーイ♪」


黒い蝶がエンチャントたちを隠したと思うと、二人は姿を消してしまった。

いつの間にか、黒い蝶もいなくなっていた。


「逃げられた、いや、見逃してくれたか」


(結局、あの剣士は何者だったんだ? 師範をここまで追い込むなんて。次に会うときは、か。俺はやつに勝てるだろうか?)


俺は、二人が先程までいた場所をしばらく眺めていた。


「わぁー、もうこんな時間なんだ!」


ふと、朋が声を上げる。


俺たちは一斉に空を見上げる。

そこには、見事な夕焼けが広がっていた。


「ふふ、いつの間にか、いい時間ね♪ 流石に疲れたわね〜。さぁみんな、戻りましょう!」


如月会長が全員に声をかける。

こうして、俺たちはこの島を後にし、如月島へと戻るのだった。




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