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Fランク能力者の存在理由‐レゾンデートル‐  作者: トウミ
第4章 幻獣の棲む島

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第4章 幻獣の棲む島 その9

第4章 幻獣の棲む島 その9


「あら、相談かしら? いいわよ、待ってあげる♪」


晃の攻撃により、三人のエンチャントが全て本物と判明した俺たちは、一度集まり、どう戦うか相談を始めた。

正直、戦闘中に行うことではないが、エンチャント自身が待ってくれるというので、遠慮なく相談させて貰うことにする。

これも彼女からしたら、やはり本気の戦いではなく、遊びだからだろう。


「なぁ、銀。何かいい案ないか?」


晃が早速尋ねてくる。


「そうだな、仮に三人とも同じ身体能力を持っているとすると、一気に全員は難しいだろうな。となると、各個撃破がいいんだろうけど……」


「それが難しいってことだよね?」


「あぁ、朋の言うとおりだな」


朋もそうだよねぇと、少し落ち込む。


「ねぇ、鈴原くん、あなたの()()は使えないかしら?」


ここで、今まで静かに考えていた如月会長が鈴原先輩に何やら尋ねる。


「あれ?」


「ほら、霧の中で、あなたがやった技よ♪」


如月会長がそう言うと、鈴原先輩は首を横に振った。


「あれは、野生動物のように向こうから襲ってくる相手には有効ですが、彼女のように待っている相手には、残念ながら無意味です」


待っている相手に、か。なんとなくどういう技か分かるが、いや、待てよ。


「如月会長、鈴原先輩、その技について教えて下さい。もしかしたら、いけるかもしれません」


「いやしかし、宇佐見、俺の技というのは……」


「ううん、鈴原くん、たぶん宇佐見くんはどういう技か分かって言っているわ。だから、聞きましょう、宇佐見くんの考えをね♪」




「あら、もう相談は終わりかしら? あはは、一体どんな手でくるかしら?」


こちらの様子を見ていたエンチャントが、わくわくした表情で待っている。


「晃、頼んだぞ」


「おうよ!」


晃は力強く答えると、


「うおぉぉぉぉ!!」


大剣を振り上げ、自身の能力を使い、一気に加速し、エンチャントの方へ向かっていく。


「あら、さっきと同じ? 結局何も浮かばなかったのね。残念だわ」


エンチャントはその光景に、がっかりした様子を見せる。


(確か、銀が言うには、中央のエンチャントの手前で思いっきり叩きつければいいんだよな。よしっ、この辺だ!)


「おりゃあ!」


晃は、振り上げていた大剣を思いっきりエンチャントの手前の地面へと叩きつけた。

それにより、大量の砂埃が舞い上がる。


「目くらましのつもり!? こんなもの、風で飛ばせばすぐなくなるわ!」


エンチャントたちは、一斉に鉄扇で風を起こし、砂埃を吹き飛ばした。


(よし、ここまでは予想通りだ)


「あはは、目くらましは無くなったわよ? えっ、女の子達がいない!?」


「ここよ!」

「ここです!」

「ふふふ、気づくのが遅いわね♪」


(く、消滅の能力者の力でいつの間にか目の前に!)


如月会長の能力により、気配を消して、砂埃が舞い上がる直前に移動。

左には朋、真ん中は如月会長、右には楽々浦先輩が姿を現す。


朋が拳を突き出し、楽々浦先輩は拳銃で撃ち、如月会長は能力で存在ごと消そうと、右手を前に出す。


三人のエンチャントは、その一斉攻撃に、咄嗟に後ろに下がり避ける。


「待ってたぜ、エンチャント!」


「な!? どうしてあなたがここに!? だって、あなたは今も元の場所にいるじゃない!」


「悪いが、()()()()()()は過去の俺だ。幻には幻をってね。すぐに消えちゃうけど、騙せてよかったよ」


「くっ!」


「居合い、四の型、絶影剣(ぜつえいけん)!」


見えない斬撃を飛ばし、二人のエンチャントを仕留めるが、どうやら幻だったらしい。霧のように姿を消してしまった。


残りの最後のエンチャント(おそらくこちらがオリジナルだと思われる)が、斬撃を間一髪でジャンプして上空へと逃れる。


(よしっ!)


「鈴原先輩、今です!」


「あぁ! くらえっ! ナイフスポット!」


上空のエンチャントの周りに、座標移動で無数のナイフをセットする。

そのうちの二本が、エンチャントの左肩と右手に刺さった。

そして、エンチャントはそのまま地面へと落下した。


エンチャントは、起き上がり、刺さったナイフをその場に捨てる。


「あはは、参ったわ。まさか本当にわたしにダメージを与えるなんて。あなた達の勝ちよ♪」


そう言うと、エンチャントはあろう事か、俺たちに手を差し出してきた。


俺は、それに応えようと、エンチャントの方へ歩き始める。


と、その時だった。突如、上空から一本の刀が飛んできて、目の前の地面に刺さった。


俺は、その刀を見てすぐに気づき、もう一つの戦闘へと顔を向ける。


「師範!」


そこでは、今まさに、仮面の男により師範へと刀が振り下ろされようとしていた。




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