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Fランク能力者の存在理由‐レゾンデートル‐  作者: トウミ
第4章 幻獣の棲む島

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第4章 幻獣の棲む島 その5

第4章 幻獣の棲む島 その5


霧に包まれた島内。

俺は、楽々浦先輩を見つけ、一緒に行動している。


「楽々浦先輩、それじゃあ行きましょうか。まずはみんなと合流しないと」


「う、うん、そうだね」


と、早速出発しようとすると、俺の袖口を掴む楽々浦先輩の力が強くなる。


「えっと、そんなに強く掴まれると、動き辛いというか。右腕だと刀を振りづらいので、いざという時危険ですよ」


「ご、ごめんね宇佐見くん。ただ、わたし幽霊とか幻とか昔から苦手で」


そう言う楽々浦先輩の手は少し震えていた。


(やれやれ、仕方ないか。それじゃあこれで)


俺は、左手で、俺の右袖を掴んでいる楽々浦先輩の手を握る。その手は小さくて、自分のとは違い、柔らかかった。


「う、宇佐見くん!?」


「これなら右手で刀も抜けますし、左手で楽々浦先輩の手を握っていれば守れるかなと」


「確かに、そうかもだけど! だけど、ちょっと恥ずかしいというか、その……」


「やめますか?」


「う、ううん! お、お願いします」


楽々浦先輩は、右手で、俺の左手を強く握り返してきた。

俺もそれに答えるように強く握り返す。

後ろを確認すると、楽々浦先輩はほんのり顔が赤いように見えた。


「それじゃあ、改めて行きましょう。みんなを探しに」


「う、うん!」


俺たちは手を握りながら、はぐれた他のみんなを探し始めた。




「ふむ、この霧は普通の霧じゃないようじゃな」


急に現れた霧にも、冷静に分析する、相楽宗有。

先程まで近くにいたはずの銀たちも、いなくなったことに、気配を探り、理解していた。


「普通の霧なら、動かず晴れるのを待ったほうがいいのじゃが、これはおそらく晴れんじゃろうな。とすると、移動するのみか」


宗有は、どちらに行こうか、地脈の流れを探る。


「こりゃ、かなり荒れておるの。迷うように意図的に発生させた霧か。ん、こちらだけ地脈の流れが違う? 罠か、それとも……」


宗有は、向かう先を決め、そちらへと歩みを進めた。




「おーい! 銀! 朋! 会長! 鈴原先輩! 楽々浦先輩!」


霧の中、辺りに声をかける晃。

しかし、どちらからも声は返ってこなかった。


「くそ、なんなんだよ、この霧は? 参ったな、みんなもいつのまにかいねぇじゃねぇか」


と、近くの茂みからガサガサと音が聴こえた。


「なんだよ、誰かいたんじゃねぇか。全く、驚かせやがって、なるほど、朋だな?」


「キキッ?」


「え、猿!? いや、角生えてるから違うか? なんだこいつ?」


茂みから出てきたのは、角の生えた猿だった。

晃はその猿に角以外の部分で違和感を覚えた。


「おい、お前、その手に持ってるのって」


晃が猿に何かを聞こうとすると、ガサガサッと猿が出てきた茂みから音が聴こえた。


猿はその音が聴こえると、慌てたように霧の向こうに行ってしまった。


「待てー! あたしのグローブ返しなさーい!」


「朋!?」


次に茂みから出てきたのは、朋だった。晃は驚き、声をかける。


「朋! お前今までどこに?」


「え、晃? 良かった、ここにいたんだ? じゃなかった、ごめん晃、猿見なかった? 角の生えた変なやつ」


「あぁ、それなら見たぞ、あっちに行った」


晃は朋に、猿が去って行った方を指差し教える。


「ありがと! じゃあね!」


「いや、ちょっと待て待て! グローブ取り返すんだろ? なら俺も行くぜ!」


「え、いいの? それじゃあ一緒に行こう! 見つけたら晃の能力使って、猿捕まえてね♪」


「よっし、任せろ!」


晃と朋は、朋のグローブを盗んだ、不思議な猿を追いかけ始めた。




「急にこんな濃い霧が出てくるなんて、変わった島ね♪」


キキーッ!キーキー!


「いや、そんなに呑気に……」


グルルルル!


「あら、何か言ったかしら、鈴原くん?」


「いえ、何も」


霧が発生し、気づくと如月会長と鈴原先輩だけになっていた。

如月会長はこの状況を楽しんでいるようだった。


「こんな変わった体験できるなんて、来て良かったわね、鈴原くん?」


グルルルル!


「えぇ、そうですねって言うと思いますか? 俺と会長が良くても、みんなは大丈夫だと思います?」


キーキー!キキーッ!


「あら、大丈夫じゃないかしら? それとも、誰か心配?」


鈴原先輩は少し考え、金髪ツインテールの後輩を思い出した。


「楽々浦、彼女は確かこういう状況は苦手では?」


キキーッ!


「そうね、でも宇佐見くんがなんとかしてそうじゃない?」


グルルルル!


「宇佐見が? あー、はい、確かにそうですね」


全く根拠はないが、宇佐見が楽々浦を助けているのは容易に想像がついた。


「それにしても」


「そうね、今は鈴原くんと同じ考えよ♪」


鈴原先輩は、ナイフを数本取り出す。

如月会長は、掌を前に出す。


「さっきからうるさいのよ!」

「先程からうるさいぞっ!」


鈴原は小型ナイフを数本投げ、目の前にいた野犬のような生き物に刺す。

如月会長は、目の前にいた大型の猿に触れ、能力を発動させる。


犬は断末魔を上げて霧散。

大型の猿は、断末魔を上げる暇もなく、その場から姿を消した。


「如月会長、提案が」


「奇遇ね、わたしもよ」


二人は互いに思った事を口にする。


「「こんなうるさいところ、さっさと攻略しましょう!」」


如月会長と鈴原先輩は、二人で、霧に覆われた島の攻略を開始した。




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