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Fランク能力者の存在理由‐レゾンデートル‐  作者: トウミ
第3章 能力消失事件

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第3章 能力消失事件 その4

第3章 能力消失事件 その4


「警察が襲われた!?」


緊急事態ということで、生徒会棟に集まった俺たちを待っていた犬山さん。その彼から伝えられたのは、衝撃の事実だった。


今日未明に、繁華街エリアにて、警察官が3名が、自律型の兵器ドローンとロボットに襲撃され殉職。

その犯人が、先月の繁華街と学校襲撃に使われたロボットをやつらに渡した張本人だという。


話を聞き、鈴原先輩が尋ねる。


「犬山さん、その犯行に使われたドローンやロボットは一体どこから? まさか隠し持っていたんですか?」


「あぁ、わたしも最初はそう思ったんだが、違うんだ。実は、例の工場のだったんだよ」


「例の工場の?」


「実は、襲撃を受ける前に押収していてね。だが、気づいた時にはそれが忽然と姿を消していた。それが今回の犯行に使われたんだ」


犬山さんは下唇を噛み締め、悔しそうに語る。

しかし、押収品が姿を消して、それが犯行に使われるか。犯人は無能力者だというが、明らかにおかしい。なんらかの能力が使われている気がする。


「それで、犬山さん。今回、私たちに助けて欲しいというのは?」


「あぁ、それなんだがね、我々を襲撃した後の犯人の足取りが全く掴めないんだ。それを調べて欲しくてね」


如月会長にそう頼む犬山さん。しかし、疑問が一つ浮かぶ。


「犬山さん、すみません、一つ疑問が」


「ん? どうしたんだね、宇佐見くん?」


「はい。その、ドローンやロボットは? それだけ大きなものなら姿を消すのは難しいと思いますが?」


「それが、ドローンもロボットですらも姿を消していてね。おそらくは犯人と一緒にどこかへ行ったんだろうが……」


人間一人ならまだしも、大きなロボットまでとは、完全になんらかの能力が使われた可能性が高い。


「分かりました。犬山さんの頼み、お受けします」


「おぉ、本当か! ありがたい!」


「ただし、こちらはこちらのやり方でやらせてもらいますね?」


「あぁ、それで構わないさ。では、よろしく頼む!」


そう言うと、犬山さんはノシノシと体を大きく揺らしながら、生徒会棟を出ていった。


「というわけで、私たちは、校内の学生を調べましょう。なんらかの能力者が関わってるのは間違いないみたいだしね」


と、如月会長が話し終えると、チャイムが聴こえてきた。


「さぁ、もうすぐ朝礼ね。授業にはしっかり出て、調査は放課後に行うわ。解散!」


俺たちは慌てて、各教室へと向かうのだった。




放課後、俺たちは一度、生徒会棟へ集まり、チームを編成。

如月会長は事務作業をやりつつ生徒会棟で待機。鈴原先輩が校内を担当。

晃と朋が商店街を担当し、俺と楽々浦先輩が繁華街を担当することになった。


タイムリミットは、寮の門限30分前の20時半まで。

全員が張り切って調査に向かっていった。

しかし、能力者はもちろん、事件に繋がる新しいものも特に何も見つからず、もうすぐ調査終了時刻になろうとしていた。


「やっぱり、大きなロボットを消す能力者なんて、早々いませんね、楽々浦先輩。というか、そんな能力者、如月会長以外に」


そこまで言いかけて、ふと、例の少年のことを思い出す。


(会長が戦った、“あの少年”ならロボットなんかも消せるんじゃないか? だとすると、能力消失事件とも繋がる?)


「どうしたの、宇佐見くん?」


「あ、いえ、なんでもないです。あ、楽々浦先輩見てください! 猫がいますよ、猫」


繁華街のメイン通りを歩いていると、丁度裏道に入ろうとする猫を見つけ、楽々浦先輩に教える。

ちなみに、楽々浦先輩は猫が大好きだ。


「あ、ほんとだ! 待てー!」


「え、ちょっと楽々浦先輩!」


無邪気に猫を追い始める楽々浦先輩。俺も慌てて後を追う。


と、少し行くと、楽々浦先輩に追いついた。

どうやら行き止まりのようだ。


「あ、宇佐見くん」


楽々浦先輩は悲しそうな表情をしていた。


「いくら猫が好きだからって、追いかけたら逃げちゃいますって」


「ううん、違うの。猫さん、消えちゃって」


「え?」


「そこの壁にね、猫さんが入っていって消えちゃったの」


楽々浦先輩は前方の壁を指差し、説明してくる。

俺は、急いでその壁を調べると、ある違和感に気がついた。


「楽々浦先輩! この壁、すり抜けられます! たぶん、別の場所に繋がってますよ!」


「えぇ! すり抜けられるの!?」


「はい! やりましたよ、楽々浦先輩! もしかしたら、犯人もこの壁を使って……」


楽々浦先輩に、そこまで説明していたその時だった。

壁の()()()()から連続して銃弾が撃ち込まれた。


「楽々浦先輩、伏せて!」


乾いた金属が辺りに響く。

俺は咄嗟に刀を抜き、刀身で銃弾を防いだ。一発だけ左腕を掠めたが、楽々浦先輩を守ることができた。

壁の方を見ると、もう撃ってこないようだった。


「楽々浦先輩、大丈夫ですか?」


「うん、わたしは大丈夫だよ。ありがとう宇佐見くん。あ、宇佐見くん、腕!」


「腕? あぁ、このぐらい大丈夫ですよ」


「ダメだよっ! ジッとしてて」


そう言うと、楽々浦先輩は俺の左腕を掴み、

能力を発動させる。

すると、怪我はあっという間に消えていった。


「ありがとうございます、楽々浦先輩」


「ううん、私の方こそありがとう、守ってくれて」


二人して笑っていると、銃撃音を聞きつけたのか、警察官が数名駆けつけてきた。

俺は、事情を説明し、壁にあまり近づかない方がいいことを説明し、この場を警察官に任せる。


時間を見ると、調査の終了時間だったため、俺と楽々浦先輩は急いで生徒会棟へ戻り、如月会長に今回見つけた壁の事を報告した。


「そんなことがあったのね、二人ともご苦労様。でも良かったわ、二人が無事で」


「如月会長、他のチームは?」


そう尋ねると、如月会長は首を横に振る。


「他の箇所では何も。学生のみんなも無関係みたいね。他のチームは先に寮に帰ったわよ」


「そうですか」


「大丈夫よ。今回二人が見つけたもので、犯人とロボットが消えた理由がわかったのだから。ただ、やはりなんらかの能力者が関わってる可能性が高いわね」


「如月会長、そのことですが……」


そこまで言うと、如月会長は目で訴えてきた。


(まだ他言無用か。可能性は十分高いと思うが、やはり他のメンバーの危険を考えてかな)


「そのことは、もう少し考えてみるわ。とりあえず今日はお疲れ様。二人ともゆっくり休んでね♪」


俺と楽々浦先輩は、生徒会棟を後にし、学生寮へと帰っていった。


「宇佐見くん、良かったらまた夕飯作ってあげようか?」


「いやいや、それでまた楽々浦先輩が寝たら今日みたいに大変なことになるじゃないですか。まぁ、寝顔を見れるのは嬉しいですが」


「えっ! わたしの寝顔見たの!?」


「はい、もうバッチリと。子どもっぽくて可愛かったですよ、あっ!」


しまったと思った時には遅かった。楽々浦先輩は頬を膨らませて、怒っている。


「また失礼なこと言うんだからっ! もー!」


「わかりました、楽々浦先輩。部屋にあるとっておきのプリンあげるので許して下さい」


「プリン! やったぁ♪ ありがとう、宇佐見くん♪」


プリン、プリン、と鼻歌交じりに喜んで歩いている。

今日もどうやら、楽々浦先輩と夕飯を一緒に食べることになったようだ。




繁華街、例の壁近くのビル屋上。

一人の少年が壁の方を見ながら呟く。


「なるほどー♪ 彼が大量のロボットを斬った、真天一刀流しんてんいっとうりゅうの使い手、宇佐見銀か。それと、一緒にいたのはAランクの楽々浦麗か。あれは厄介な能力かな〜。う〜ん、プレゼントを渡したおじさんはうまくやるかな? 楽しみだなぁ♪」


下にいた警察官がふと、上を見上げる。

しかし、少年の姿は消えていたのだった。

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