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理由は後付けで  作者: 浅井天
第四章:森和人という男

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自殺

3日が経ち私たちは報告書を完成させ何気ない日常をすごしていた。

そんな時に突然、花音から電話がかかってきて部室に呼び出された。

部室に急いで向かうとそこには花音、智司君、そして二名の警官、学校の職員さんもいた。

私は花音に「何かあったの?」と訊いた。

するとかえってきた言葉は「前回の依頼者森和人さんが自殺で亡くなられた」だった。

その場の空気は重く苦しい。言葉の1つ1つが審査されているようである。

「それで警察の人が来ているわけですか」

「そう」


 それからは警官が中心に話を始めて、私たちが訊かれたことを答える状態だった。

「私たちがここを訪れた理由は森和人さんが亡くなった12月18日の前日にお二人がアポートに入っていくところが防犯カメラに写っておりましたので何か手がかりが何か聞くためです」

「手がかりって、森さんは自殺で間違いないんですよね?」

「はい。状況から考えて自殺で間違いないかと思われます。さらに、遺書が残っておりましたので」

「遺書が残ってたのですか。内容を教えていただくことは」

「そうですね、すべては難しいですがあなたたちについて書かれていた部分であれば。一緒に片付けをしてくれた献身循環団体のお二人ありがとうございました。すごく助かりました。自殺をしようと考えていることも何も言わずに私の終活を手伝わせてしまい申し訳なかったと思っております。若く元気なお二人のやさしさに最後に触れることができてすごくよかったです。私のことは気になさらず生きてください。

以上が遺書に書かれていたお二人のことです」

私はすごくなんとも言えない感情に支配されている。悲しさと黙っていたこと騙していたことに対する怒りのようなものそして、何も知らなかった自分への怒り。この感情をぶつける矛先がなく吐き出すこともできずに自分の中で循環し続けているだけであった。

「教えていただきありがとうございます」

「いえいえ、お二人はあまりこの件に関してあまり悩まれないほうがいいと思います。お辛いことですので心の相談などお受けになることをおすすめします」

「ありがとうございます」


 「森和人さんに関する資料とかお持ちだったりしますか?」

花音が答えた。「ありますよ」

「でしたら、少し内容を確認したいので貸していただくことはできますか?」

「もちろん大丈夫です。むしろ、差し上げます。もう必要がありませんので」

「そうですか、ありがとうございます」

花音は警官にNo_45のファイルを渡した。

警官の2人はファイルを受け取ると部室を出た。


 「何か、困ったことがあれば教務課に相談してください」と言って職員さんは出ていった。


「2人ともごめん。今回の活動は献身循環団体の活動目標に反することになってしまった。リーダーとしてもっと気を引き締めないといけないなと私は思ってる。2人ともしばらくしっかり休んで。1か月ぐらいサークル活動を休止するから」

花音は少し大きな決断をして気を引き締め直しているようだった。強い意志を感じた。

「わかった。ありがとう花音」

「ううん。これからは僕のことはリーダーって呼んで」

「わかったよリーダー」

少し可笑しくて笑ってしまっていた。正直、このころは私たちを励ますために花音が冗談を言っているのだと思っていた。


 「智司君も大丈夫?」花音がずっと下を向いて元気のない様子の彼を心配して声をかけた。

「うん」彼は花音の方を見て返事をしたが表情はすごく暗かった。


 あれから半年以上の時間が経ったがどうして森さんが自殺をしたのか私たちには教えてもらえずわからないままである。30代という若さ、これからの人生の長さを考えると何度でもやり直す時間があったであろうにどうしてその選択をしたのか私にはまだわからない。自殺をするまで追い込まれてしまっていたのだろうか。死ぬということはすごく勇気のいることなのに。何度考えて理解した気になったとしても本当の理解などできていないのだろう。結局、経験したことのないことなど人間は本当の理解することも語ることもできないのだから。

気持ちを共感していたとしてもそれは全く同じな感情ではなくほとんど同じな感情に過ぎないのである。同じ環境、状況であっても全く同じな感情は生まれることはなくその人にしか生み出せないその人だけの感情なのだろう。


私は今、その過去の問題にいまだ悩み。自分の人生を前を向いて歩むことのできていない彼の前にいる。

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