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理由は後付けで  作者: 浅井天
第三章:3人の女性

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松本愛華(前)

 優成君の件から1週間が経ち、余韻もなくなりいつも通りの生活に戻っていた。


 僕は部室で課題をしていた。家では他のことに目がいって課題に集中することができないので部室で課題をするようになっていた。


 池田先輩が部室の扉を開けて入ってきた。

「お、今日は正人君がいるのか。久しぶりだね」

「お久しぶりです。池田先輩」

「拓馬君と一緒に依頼を解決したって聞いたよ」

「あ、はい。僕は特に何もしてませんが」

「そんなことないでしょ。拓馬君もリーダーも褒めてたよ。落ち着いて行動できてる人間だって」

「そんな、身に余る言葉ですよ」

先輩は僕の頬に指をついて「謙遜もしすぎるとよくないぞ」と茶化すようにいった。


「ねぇねぇ、正人君。今週の土曜日予定ある?」

「いや、ないですけど」

「なら、私とデートしない?」

「します」

心は単純だった。


 集合場所はカフェだった。10時集合だったのに9時半についてしまったので周辺を適当に散策しようかと思ったがそれで遅刻したら最悪だったのでおとなしくカフェで待っていることにした。

カフェの扉が開くベルの音が響いたのでそちらをみると池田先輩のほかに2人の女性がいた。

先輩は僕に気づくと手を振って僕の席にきた。

「お待たせ、正人君」

「全然待ってませんよ。今来たところです」

「本当?」

「はい」

先輩は微笑んだ。

入り口にいた2人の女性が先輩の後をついてきた。

「あ、そうだ。正人君に紹介するね。左の背の高い金髪の子は同じサークルの新垣さくらで右の背の低い黒髪ボブの子は依頼者の松本愛華さんだよ」

新垣さくらさんは金髪ロングで肌が茶色に焼けているギャルのような見た目だった。松本愛華さんの第一印象は礼儀正しい女性だった。


「はじめまして。高部正人です。よろしくお願いします」

「よろしくー正人」新垣先輩は正真正銘の陽キャだ。

「よろしくお願いします」


「今回は松本愛華さんからの依頼について話して解決策を考えるために集まってもらいました」池田先輩は司会を始めた。

僕は池田先輩とのデートだと思っていたので依頼と聞いてショックだった。

「正人ー。葵と2人っきりじゃなくて残念みたいな表情するなよー」新垣先輩が言った。

「そんなこと思ってないですよ」僕は慌てて否定した。身体があつい。

池田先輩は笑っていたが松本さんは冷たい視線を僕に浴びせていた。


 「さくらは正人君をいじめないで」池田先輩がこの4人の空間をなんとかコントロールしようと試みている。

「はーい」新垣先輩は仕方ないといった感じで返事をした。

「よろしい。松本愛華さんは京都アカシア大学心理学部の1年生だよ。正人君と同い年になるね」

「そうなんですね。それよりも、今回の依頼とは何ですか」

「気になるよね。それについては愛華ちゃんから直接話してもらおうかな」


 「はい。今回、献身循環団体さんに依頼させていただいたのは大学での友達作りと一人暮らしの生活のアドバイスをもらいたいからです。私は東京出身で大学進学のために京都に1人暮らしを始めたのですがなかなか一人暮らしに慣れなくて生活習慣もめちゃくちゃなのでそこを改善したいのと東京からきたのでこっちに友達がいないので作りたいです」


松本さんの話を聞いて3人ともうなずいていた。

「なるほどね、愛華ちゃんの悩みをパパっと解決しちゃいましょ」新垣先輩がみんなを鼓舞するように言った。

「だね」池田先輩が新垣先輩の言葉を聞いて安心したような雰囲気で言った。

「わかりました」今回の依頼は本当に自分が役に立てないように感じたので自信がないような返事をした。

「みなさん、ありがとうございます」松本さんはみんなの言葉を聞いて嬉しそうに言った。


 「よし、まずは1人暮らしの生活について改善しようか。そのために今から愛華ちゃんの家に行ってもいい?」池田先輩が松本さんに訊いた。

「はい大丈夫です。よろしくお願いします」


 松本さんの家は大学から徒歩10分のところにある1Kのアパートだった。

部屋はきれいかと聞かれると少し散らかっているように感じた。

「少し散らかっているからまずは掃除からだね」池田先輩が言った。

「すみません。ちょっと汚くて」

「いいんだよ。私たちはこのために来てるんだから」

「ありがとうございます」

「服はしっかりたたんで箪笥かクローゼットにしまわないと。しわがついちゃうよ」

「はい」

「紙とかはいらないものは捨てて必要なものはファイルに挟むかしてまとめないと必要な時にどこにあるかわからなくなるよ」

「はい」

「ゴミもしっかり分別して捨てること」

「はい」

池田先輩は丁寧に改善すべきことを述べていった。

4人でやると掃除はすぐに終わった。

「ありがとうございます。きれいになりました」

「どういたしまして。掃除すると意外と自分の部屋が広いことに気づくでしょ」

「はい。たしかに前よりも広く感じます」

「この状態を続けられるように意識するのだよ」

「はい」


 「次は食生活だね」

「はい」

「今は何を食べてるの?」

「大体、スーパーのお惣菜か外食が多いです」

「それはよくないね。たまには自炊しないと」

「ですよね」

「最初は週1回ぐらいのペースで自炊するぐらいにして自炊をする習慣をつけることが大事かもしれないね」

「なるほど。葵さんは週何ぐらいで自炊されるのですか」

「私はほぼ毎日自炊してるよ」

「すごいですね。尊敬です」

「ありがとう。またレシピ教えるから一緒に作ろう」

「え、いいのですか。ありがとうございます」

「もちろん」

「私も作りたい」新垣さんも割って入った。

「いいよ。さくらも作ろう」

「じゃあ、僕も」僕はノリで言ってみた。

「君はだめだよ。楽しい女子会の邪魔になる」新垣先輩が言った。

「えー、悲しいです」僕は思ってもいないことを言った。

「正人君も作ろうね」池田先輩が優しく言ってくれた。

「やったー」また、気持ちのこもってない言葉を言った。

全員が笑った。


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