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 カシャン、と軽い金属音をたてて、鳥籠の扉が閉まった。

 十畳分くらいはある大きさのコレは、どうも妙に凝った装飾がなされていて。

 その上、白く塗ってあるところに、今の自分の格好との統一性を感じ。

 もしかしなくとも揃えて用意したのだろうなと察して。

 几帳面というか凝り性というか、変に拘りを持った人だと、呆れ顔で男を見上げた。


「急にずいぶんと、感情豊かになったな。彼の顔を見て安心したのか?」


 そうかもしれない、と素直に頷けば、そうか、と頷きが返り。

 そのまま飄々とした顔で一服する男を、籠の中から眺めていれば。


「君の能力は、生まれつきか?」


 ふと、紫煙を吐きだす合間に、そんな問いが投げられた。

 てっきり、その辺はきっちり調べられているのかと思っていたが。

 本当に、餌としての役割だけで連れてこられたのだな、と改めて認識し、苦笑が漏れた。

 聞いてきたくせに、そう興味があるわけでもなさそうな様子に、暇つぶしというやつか、と体の力を抜いて。

 そうですね、そんな感じです、と頷いた。


 この場に居るのは、ぼんやりと煙草をふかす男だけ。

 鳥籠に背中を預けて座る男は、どうにも無防備に見えた。

 男にとって、私は警戒するに値しない存在であるということだろう。

 実際、その通りなのだが。

 男の弛緩しきった雰囲気につられ、どうも気が抜けそうになる。


 ぽつりぽつりと、私の能力について質問が落され。

 それに対して、嘘ではないが正確でもない回答を返して。


「見てみたい。と、言ったら見せてくれるか?」


 そうして最後に、ぽんと落されたソレは問いではなく。

 向けられた、ほんのり興味の乗った瞳に、別に構わないと頷いて。

 けれど、そのために他人を痛めつけるのはナシにして欲しいと付けくわえれば。

 わかったと頷き、そのまま流れるように自分の手にナイフを刺した男に。

 相容れない壁を感じつつ、差し出された傷口に唇を近づけた。


 いつぞやの彼のように全身に裂傷を負っているわけでもないので、傷口にほんの少し気を吹きかけるだけで良い。

 特に、相手が人間であればわざわざ気を調整する必要もなく、魔物や魔族を治すより簡単だ。

 とはいえ、男に対して手の内を全て晒すことは躊躇われ、いつになく控え目に、ゆっくりと治癒を施した。


「君を競に出したら、良い値がつきそうだ」


 傷のあった場所を指でなぞり、感心したような顔をしたと思えば。

 男はそう囁いて、此方に流し目を送ってよこしたので。

 動揺するのもしゃくだなと思い、でしょうね、と微笑みを返してみせて。

 今ので疲れたから、と嘯いて、鳥かごの中心に置かれたベットへ横になり。

 案外余裕そうだなと、面白げに呟く男の声を聞き流し、目をつむった。

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