03:不一致
朝日と小鳥たちの静かなさえずりに覚醒した
寝ぼけなまこでふらりふらりとギルドへ向かうと騒がしい男女の声が聞こえた
「だから、その依頼じゃないって言ってるじゃない!」
「じゃあどの依頼だい?君の感覚は抽象的すぎてわからないよ」
「なっ…!吟遊詩人のくせに生意気ねッ!」
「職業は適正じゃないか」
「このっ…ポンコツマスター!」
「依頼管理してるっちゃしてるけど、そんな抽象的じゃわからないに決まってるじゃないか」
「…あの?」
「あ、やぁカイリくん!」
「はぁあ?カイリって…」
「この子だよ、昨日入ってきた新人くんってのは!」
「ふぅ~ん…」
ジロジロとカイリを見つめ、はんと息を吐く
「初心者幻術士ってとこかしらぁ」
「なっ…」
「だぁってぇ」
「こらこら、新人くんをあまりいじめるなよ」
ロベリオが諭すと銀髪の少女はふんとそっぽを向いた
「私はアンナ。よろしくね、根暗くん」
「カイリです!」
「あらやだごめんなさい」
アンナは少しバカにしたように笑う
「~っ…」
「まぁまぁ、怒ったほうが負けだよ」
「あら?こちらのお嬢さんも新人さん?」
「そうだね、キャンサー」
「あぁ…初めまして」
「初めまして~♡」
「…なんか、態度ちがくないですか」
「アンナは無愛想な女の子が好きなんだよ」
「ぶ、ぶあいそ」
「よろしくねぇ、キャンサー♡私はアンナ」
「あぁ…ハイ」
「きゃぁ~かわいい~♡」
「…」
「変人揃いだよね」
「えぇっ!?えぇ、まぁ…」
心を読まれドキリとするカイリを微笑ましく見つめる
「大丈夫、みんなこんなんだから」
「大丈夫じゃないですよねそれ」
「あれ…バカイリってば早起きだね」
「バはいらないよ!バは!!」
「バカイリはバカイリだよ」
「バカじゃねぇよ俺はッ」
「あららぁ?仲悪いの?」
「ううん、キャンサーが楽しんでるだけだよ」
「あぁ…そう」
アンナは呆れたように肩をすくめた
「ふふ、アンナ、うらやましいのかい」
「なっ…違うわよ!手のかかる奴はアンタ一人で十分だわ」
「…ロベリオさんとアンナさんって」
「仲いいね」
「…だな」
「まぁロベリオは君と違って優しいからねぇ」
「なっおま…」
「さぁ~依頼依頼」
「キャンサー!!」
いたずら好きな笑みを浮かべて鼻歌を歌うキャンサー
カイリはその背を追う
「じゃあこのクエスト受けようかな」
「俺も行く」
「はぁ?!このクエストAランクだよ?!」
「そういうの関係ねぇよ」
「あるでしょ!」
「お前が行くなら俺も行く。お前にできるなら俺にも出来る」
噛み合わない理屈に呆れるが、まぁ仕方ないといった顔でキャンサーはペアで受けた
「あとから音を上げても知らないよ」
「あげねぇよ!」
「いってらっしゃ~い」
「大丈夫かしら…?」




