01:接触
「あはは!キャンサー、あんまりいじめないでやってよ」
明るく笑い飛ばすロベリオにカイリはついていけなかった。
キャンサーと呼ばれた少女も糸目を歪めず口角を上げた。
「初めまして?」
ニヤニヤとバカにしたような顔つきで言う“キャンサー”にカイリは小さな苛立ちを覚えた。
「なんなんですか!さっきから」
「ごめんごめん、いじめるつもりはないんだけどね。僕はキャンサー、よろしく」
握手を求められて、カイリは渋々と手を出す。
キャンサーは微笑んで握手した。
「キャンサー?さんは」
「なんか気持ち悪い。呼び捨てでいいし、普通に話してよ。僕18だし」
「え」
「なに?何か不満?」
眉をひそめて気味悪がるキャンサーにカイリは全力を使って否定する。
「ちが、お、同い年だとは思ってなく…」
「はぁ!?これで同い年…」
「これってなんだよ!」
「はは、仲がいいのはいいけど、喧嘩はよしてね~」
「「仲いい訳じゃないよ/ないです!」」
「仲いいじゃない」
苦笑いするロベリオに二人は気にせず睨み合う
「せっかく若者が入ってきたってのに浮かねぇなァ、マスター?」
「そうだねぇ…」
「マスター?」
「…何、あなた知らないの?ロベリオはここのギルドマスターだよ」
「えっ」
あはは~と楽観的に流すロベリオに置いてけぼりを食らうカイリ。
「開いた口がふさがらないってこいうことだね」
「バカにしてるだろ?!」
「ちょっと、いちいちうるさいんだけど」
「お前が振ってんだろ!」
「振ってないって、やめてよ」
苦そうに顔を歪めるキャンサーにカイリは盛大な溜息をつくと
「まぁまァ、お二人さん」
いい年をした男がキャンサーとカイリにダル絡みをする。
「ちょっとジャック…酒臭いから近付かないでよ」
「いいじゃぁねェか、お若いお二人さんにいいこと教えてやろうってのさァ」
「いいこと」
「ここのギルマスは怒らすとこえぇぞ」
「…」
その声にゆっくり顔を見合わせ、ロベリオに振り向く。
言わんとする怒りのオーラが背中を包んでいた。
「大丈夫、僕とカイリすっごい仲良しだから!」
「は!?」
「話あわせといてよ、怖いし」
「…そ、うですよ。俺とキャンサーは相性いいんで…!」
苦く笑う二人を見てロベリオは一気ににこやかな顔を戻した。
「そっかぁ。ならいいんだ、そういえば二人の部屋なんだけど、足りないから相部屋でいい?」
「「…え?!」」




