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薄紫の髪を持つ少年・カイリは物心つく頃から憧れたギルドへと就いた。
新人依頼の後なんとか戻ってきたカイリの心身は疲れ果て、ホームのテーブルにぐったりとしていた。
「やぁ、少年」
「はいっ?!」
「そんなに震えることもないじゃないか」
古い音楽と傷だらけの男、華麗に舞う女が酒場のごとく騒ぎ立てるギルドで、一人の青年がカイリに話しかけた。
青年は、ライトグリーンの長髪を三つ編みにして肩にギターを掛けている。
「もしかして新人くんなのかな?」
「あっ…はい」
「ふふ、ハンター登録はした?」
「えっ」
「これだよ、コレ」
細い指先で青年が取り出したのはライセンスと呼ばれる紙。
「あ、俺…」
「やっぱりね。コレを出しておかないと依頼を完了しても意味が無いから、今書いてしまおうか」
「あ、はい」
「キミのライセンス名は?」
「か、カイリ…カイリです」
「へぇ。本名は?」
「カイリ…カイリ・ガードナー」
「ライセンス名と一緒にしたんだね」
「えっ」
「普通は偽名とかにするんだけど」
「そう、なんですか」
「でもまぁ、本名で活動しない奴が居ないわけじゃないからね。正直でいいと思うよ」
ライセンスにサラサラとカイリの名を記す。
にこやかな青年の淡々とした質問にカイリは正直に答えていった。
「はい、これで終わり」
「すみません、何から何まで…」
「いいんだよ、この時期は新人くんが多くて、ライセンス書き忘れる子も少なくないしね」
「あの…お兄さんの名前は…」
「お兄さん…?」
「すみません、あの、」
「ふふ…ははは!キミ、面白い子だなぁ」
目を細めて笑う青年に、カイリは心配そうに眉尻を下げた。
「忘れてたね。僕はロベリオ」
「ロベリオさん」
「そう、よろしくね」
両者は握手を交わした。
少年の緊張する心が不思議と解けていった。
「あ、そうそう。キミのライセンスについて教えてくれたのは彼女だよ」
すっと腕を振り、カウンターに座る少女を指差した。
洋緑の髪に萌葱の服に身を包んだ少女。
「やぁ」
青年の一声に不思議そうに振り向く。
「新人くんの、カイリくんだって」
「よ、よろしくお願いします」
「…」
じっとこちらを見る。
カイリの声掛けに応じている様子はない。
「あの?」
もう一度声をかけると、ふぅっと笑った
「…冴えないね」
「…は!?」




