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覚醒無敵の英傑と口の臭い男 〜俺は絶対に、追放なんてされない〜  作者: 苦慮緑了
森の詩人

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二十三話:帝国七英傑ども

 突如現れたトールに、俺はさして驚いていなかった。

 何故なら最初に部屋の中が暗闇で満ちていたからだ。あれはトールお得意の闇魔術である。


 そうでなくともメイジー一人なら俺でも殺せる。俺と仮初でも敵対関係を作るのであればメイジーだけとは考えずらかった。

 そう……メイジーの、否。この事態全体の裏にいるであろう国読みは、そうするだろう。


 「ざけんなよカス共!お前らリーリルに従ってんのか!?」

 「ひっどい!あんなジジイに従ってる訳なくない!?メイジーちゃんどう思う!?」

 「メイジー・メイジーだよ、トール……カーライル、ボクらはリーリル公爵に従ってない。この件は国読みの管轄だ」


 俺の問いに二人が答える、その言葉に淀みはなく、嘘を言っている風ではない。


 「メイジー、お前いつからアイツの奴隷になったんだ?言ってくれよ、便利そうなのに」

 「ッ……ムカつくやつだねキミは。ボクはメイジー・メイジーだよ。次は殺す」


 俺とトールで名前間違いに対する反応違くねぇ?


 「リーリル。何をちんたらしてるんだよ、逃げろ。アイツ……カーライルは加減を知らないから巻き込まれるよ」

 「グ……言われずとも……!」


 メイジーが隣のリーリルに促す、リーリルは最奥の椅子の裏、恐らく非常時用の脱出口に入って行った。

 チラリと入り口を見る。チックとベンウッドはいない。どうやら素直に逃げた様だ。


 剣を構える。帝国七英傑は全員ほぼ同格、得意不得意は大いにあれど基本タイマンの勝率は五分、俺なら六割か七割は取れるがな。

 そんな同格の奴に二対一……か。




 やってやるよ。勝利条件はなんだ?殺しは有りか?人質は有りか?


 「……国読みのパンツはッ!!」


 一瞬の思考の後、俺は叫びながらトールに向け突進した。

 俺の唐突の問いに、二人は一切の思考すらなく同時に答えた。


 「「赤地に青の水玉!」」

 「趣味わりいなぁ!!」


 トールに剣を振るいながら俺は思考する。

 さっきのは暗号だ、さっき思いついた暗号。


 パンツの色により各々の行動ルールを決める。

 赤地……これは互いに対して一切の加減なく殺害を狙うという意味。

 青の水玉はお互い以外の人間、この場合リーリルやチックを戦闘に巻き込まない、また余波等から積極的に守る事を表す。


 直前で考えたものであり、意味が通じなかったら戦闘後に説明しようと思っていた暗号である。それが通じたという事は未来を見て暗号の意味を聞くことが出来たということ。国読みの関与は確定した。ちなみに何故パンツなのかといえば当然嫌がらせだ。




 横凪に鋭く振るった剣をトールが姿勢を低くして回避する。

 続けて空いた片手から生み出され放たれた俺の石槍がトールの顔面に命中。


 トールは怯みすらせず拳を返す。

 正面からまっすぐ放たれたその拳を、俺は背後に飛ぶ事で回避した。

 基礎的な魔力操作の応用である『流法』の更に応用で自身の肉体を持ち上げ、床を滑る様に動く。


 その時点で、今まで動きのなかったメイジーが魔術を発動した。

 黒いスライムの様な物が地面を這い進み、俺を包囲する。


 メイジーの魔力は『呪』メアリーや国読みの『時』と同じく俺には扱えない特異魔力である。


 魔力を回転させ流法を開始する。

 俺に近づく黒いスライムが途中で弾かれ俺の周囲をぐるぐると渦を巻く様に振り回された。


 トールがこちらに踏み込んだ。瞬きの間に距離が詰まる。剣を構えた。

 拳が再び放たれる。流法により拳に魔力が衝突して……。


 一切の影響を見せず、俺の剣と衝突した。


 「おっもッ!!デブがよ!」

 「あ!女の子に何言ってんの!!」

 「女の子って歳じゃねーだろ!」


 俺は流法の一部を利用してトールの真横に爆炎を発生させる。何度も何度も、叩きつけられる様な衝撃がトールを襲う。




 だが、だがしかし。それではトールは止まらない。

 凶悪な笑みを浮かべたトールは、拳を開き競り合っている剣を掴んだ。そのまま空いている片手で俺を殴ろうと拳を握る。


 俺はその瞬間流法の中心点をトールを中心になる様ずらし、俺自身が流法の対象となる様にした。トールを中心として回転する魔力に乗り、一瞬でトールの背後に回る。


 徒手により隙だらけの背中から頭部に腕を振るう。

 命中と同時に魔術を解放。冗談で済まされないレベルの爆発が炸裂し、腕に激痛が走る。


 微かに怯み背後を振り返るトールの腹に、拳を繰り出す。肉体強化魔術を持ってしても残る硬くなった粘土を殴っている感触は、俺にこの攻撃が有効であると教えてくれた。


 ふらつき後ずさるトール。対する俺にはメイジーの黒いスライムが取り付き、肉体を蝕んだ。

 俺はそれを振り払い、トールに肉薄する。

 両手は先程の攻撃で完全にダメになっているので、脚に魔力を込めて力の限り蹴りを放つ。


 命中と同時に魔力を解放。圧縮された空気と炎が炸裂し、トールを吹き飛ばす。凄まじいスピードで壁に叩きつけられ、そのまま壁を貫通。大穴を開けて城から落下した。


 焼け焦げて手首足首より先が無い腕と足、鉄板を本気で殴ったみたいにひしゃげぐちゃぐちゃになっているもう片方の手を治す。

 同時に『流法』で周囲の黒スライムを散らし、ついでにさっきトールが落とした俺の剣を手元に吸い寄せる。


 「次はテメエだッ!!」


 遠目に見てもちょっとびっくりした顔のメイジーに剣を振りかぶり投擲した。

 ついでもう片方の手でメイジーを狙う。

 数舜遅れて熱線を放った。


 空中でメイジー目掛けて飛来する剣が黒いスライムに弾かれた。そしてその陰に隠れていた熱線がメイジーの頭部に迫る。


 メイジーが首を傾げ、熱線を避けた。


 チッ……。


 同時に壁に空いた大穴からトールが跳び戻ってくる。

 当たり前の様に無傷だ。治癒魔術は使えない筈なので俺の攻撃では外傷を与えられなかったという事だろう。


 状況は落ち着いている。不思議な事にメイジーとトールは攻める様子が無い。こちらから出るか……?


 「カーライル……キミ、ほんと容赦無いね」

 「ほんっとそれ!カーライルちゃんはさー、仲間の情とか無いの?」

 「ねえよ。おいトール!さっきのアレ、一勝ではあるからな!」


 俺の言葉にトールがくしゃりと嫌そうに顔を顰めた。


 内心で計算する。トールは闇魔術を使用していないし、メイジーは死の呪いを使ってない。それは当然二人の連携の関係だ。

 メイジーが遠くで援護するなら視界は必要だし、トールが近接戦闘を行うなら死の呪いは使えない。

 思っているよりも、勝機がある。


 俺は岩石魔術により剣を作りつつ、笑みを深め二人に相対した。


 「さあ、もう一度だ」

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