表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結】才色兼備な伯爵令嬢は仕事に夢中です  作者: あい・すくりーむ
婚約者の伯爵令嬢は煩わされます
93/205

見返り?

「皆様、今回の件ですが…こちらの罪を認めます。」


突然の発言に驚いたのは私だけではないだろう。特に侯爵家の面々は呆けた顔をしているので、この発言は完全に夫人の独断によるものだとわかる。


「お前、何を…」


「あなたは黙っていて下さいと申し上げたはずですわ。」


バロワン侯爵が何か言おうとしたが、夫人にピシャリと一蹴されてしまった。


「ええ。確かに私達バロワン侯爵家が、ならず者の男達に依頼し、ロベール伯爵令嬢の乗る馬車を襲わせました。男達に、令嬢に乱暴するよう唆したことも認めますわ。謝って済むようなことではないのでしょうが…お詫び申し上げます。」


「どういうおつもりですかな?」


お父様が冷めた目で夫人を見据えながら問いかける。



「私たちの罪を全面的に認めますわ。しかし、このことが公になってはあなた方も困るでしょう?」


困る?ああ、そうか。彼らは私が無事であることを知らないのだ。お父様は“娘が賊の襲撃を受けた”としか言わなかったから。


「困る…とは?」


ピクリと片眉を上げ、再びお父様が尋ねる。


「嫁入り前のご令嬢が男達に乱暴された、などという醜聞が公になっては、ロベール伯爵家はもちろん、婚約者であるヴィレット公爵の名にも傷がつくでしょう?」


そうするよう指示したのはあなた方なのだが、どの口がそれを言うのだろうか。そもそもそれが狙いだったのでしょうに。


「ですので、この件はここにいる者の胸に留めることに致しませんか?もちろん、私達もこのことを口外しないと誓いますわ。」


「なるほど。それであなたは、その見返りに何を望むのですかな?」


お父様の問いに、夫人の口元が弧を描く。


「まあ、見返りだなんて。そのようなこと、考えもしませんでしたわ。ただ…そうですわね。私達一家に重罪を課せば、一体何の罪かと問われ、ご令嬢の醜聞が漏れ出てしまわないとも限りません。かといって、償いもなく許される訳には参りませんわ。ですので、私達への罰を軽微なものに…というのはいかがでしょう?」


なるほど、それが狙いか。随分と直球な交渉だが、交渉ごとに長けたお父様にそれが通じるだろうか。


侯爵夫人とお父様とのやりとりを、侯爵一家は固唾を呑んで見守っている。と思ったのだが…


「お、お母様の仰る通りですわ。ロベール伯爵令嬢は、顔も見せられないほど傷ついていらっしゃるのでしょう?それなら、彼女のためにもこの件を公にすべきではありませんわ。」


短い沈黙が流れる。それを破ったのはお父様ではなく、レイモンド様だった。


「あなた方の仰りたいことはよくわかりました。ですが、そのような気遣いは無用です。」

読んで下さってありがとうございます。


誤字脱字、読みづらい等ありましたらご指摘くださいm(__)m

評価の「☆☆☆☆☆」を「★★★★★」にして応援していただけると嬉しいです。


よろしくお願いします!


誤字報告ありがとうございます。訂正しました。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ