不謹慎ながら
「一家全員からの依頼というのは、どういう意味ですか?」
「……」
先程のドロックの発言に一切動じなかったレイモンド様が問いかける。だが、やはりドロックは私からの質問にしか答えるつもりはないようだ。なんとも面倒な。
「レイモンド様の質問は私の質問と同義ですわ。答えてください。」
「はいはい、わかったよ―――」
ドロックが口にした話は、想像を超えるものだった。ここにベンとライラが居なくてよかった。特にライラは私を慕ってくれているから、こんなことを知ったら一も二もなくバロワン侯爵家に突撃してしまいそうだ。
騎士団の方たちもそう思ったのか顔をしかめ、レイモンド様はというと…いつも通り冷静でいらっしゃる。
「それは全て、間違いなく本当の話ですか?」
「ああ、そうだ。ここで嘘ついて何か意味あんのかよ?」
相変わらず口が悪いようだが、言っていることは間違っていない。ということは、恐らく本当のことなのだろう。
「そうですか。では、バロワン侯爵家の皆様には、相応の報いを受けて貰わなくてはなりませんね。」
前言撤回。レイモンド様は割と本気で怒っていらっしゃるようだ。怒りを灯したアイスブルーの瞳を直視してしまった騎士の方が、恐怖で凍り付いている。
考えてもみれば、政略結婚の相手とはいえ婚約者が、未遂とはいえ襲われたのだ。婚約者として、ヴィレット公爵家として、黙っているわけにはいかないのだろう。
「レイモンド様、それは事実関係を確認してからの話ですわ。それに、お父様とお兄様にも相談をしなくてはなりませんもの。」
「それもそうですね。申し訳ありません。私としたことが、冷静さを欠いてしまったようです。」
「いいえ。レイモンド様が代わりに怒って下さったおかげで、私は冷静でいられましたもの。」
それに、私のために怒ってくれたのかと思うと、不謹慎ながら少し嬉しい気持ちも……ん?嬉しい?…なぜ?
「あー、仲がよろしいようで何よりだが、見せつけるんなら他所でやってくれねえかな。こちとら捕まっちまってお先真っ暗なんだ。これ以上惨めにさせんでくれ。」
「捕まったのは自業自得でしょう。彼女が無事だったからこそ、この程度で済んでいるのですよ。彼女に感謝することですね。」
見せつけ…?そんなに仲睦まじい様子を演じたつもりはないのだが。まあ、婚約者らしさが板についてきた、ということにしておこう。
「それでは、彼にはもう退散願いましょうか?彼女からの聞き取りがまだですので、そちらを済ませていただきたいのですが。」
「そうですね。では、ドロックを連行してください。ロベール伯爵令嬢、お話を伺ってもよろしいでしょうか?」
「もちろんですわ。」
あっという間にドロックは連行されていった。
聞き取り…ということは、昨夜のことを話さなくてはならないのか。それもレイモンド様の前で。そう思うと非常に気が重い。
読んで下さってありがとうございます。
ジュリア様、ようやく恋心を自覚でしょうか?
誤字脱字、読みづらい等ありましたらご指摘くださいm(__)m
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