↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結】才色兼備な伯爵令嬢は仕事に夢中です  作者: あい・すくりーむ
王太子補佐付の伯爵令嬢は仕事に夢中です
PR
41/205

温室でのお茶会(2)

少しの間、温室内に沈黙が流れる。気分を落ち着けようと、ハイビスカスティーを口に含んでゆっくりと飲み込む。すると、タイミングを計ったかのようにヴィレット様が口を開いた。


「それで、本題というのは?」


「ええ、それが…カール・ベルクマン侯爵のことなのだが。」


ラインハルト公爵が躊躇いつつ口にした名前に、ドキリとした。今日のお茶会で機会があれば、ベルクマン侯爵のことを相談しようかとは思っていた…だが、まさか向こうからその名前が出てくるとは思わなかったのだ。


「ベルクマン侯爵が、どうかなさったのですか?」


ヴィレット様は動揺した様子など微塵も見せず、続きを促す。


「侯爵が“ロベール伯爵令嬢を妻にする”と使節団の者たちに吹聴して回っていてね。もしかしてロベール伯爵令嬢にも何かご迷惑をかけているのでは、と危惧した次第で。」


あまりのことに、言葉も出ない。少々、無礼で強引な方だという印象はあったが、まさかここまでとは。


「それはそれは…随分なお話ですね。使節団の外部にも、その“冗談”は広まっているのでしょうか?」


ヴィレット様の声がいつもよりも低い。やはりベルクマン侯爵の非礼に怒っておいでなのだろう。ここが温室でよかった。執務室であれば室温が2~3度は下がったかも知れない。


ヴィレット様の冷ややかな声と“冗談”を強調した発言に、ラインハルト公爵が苦笑いを浮かべて答える。


「いいえ。お恥ずかしい話だが、彼のこの手の話は初めてではないのだよ。婚約者のいるご令嬢を、そうと知らずに自分の妻にすると言い出したり、夜会で一度踊っただけの女性の夫のように振舞ったり…」


確かに、初対面で私を妻にすると言ったあの時から今に至るまで、婚約者や恋人の有無について聞かれてすらいない。ベルクマン侯爵は随分と…突っ走った性格の方のようだ。


「というわけで、使節団の面々は誰ひとり本気にしていませんよ。ついでに、彼はアメスト語が話せない。アメスト王国の方でこのことを知るのは、今のところあなた方お二人だけのはずです。」


「なるほど。無礼を承知でお聞きしたいのですが、そのような方がなぜ、栄えある使節団のメンバーに選ばれたのでしょう?」


「はは、随分と直球ですな。詳しいことは申せませんが…後ろ盾と血筋ゆえ、とだけ。」


後ろ盾と血筋、つまりベルクマン侯爵家はトルマ王家に連なる血筋、ということだろうか。王家の姫君を臣下のもとへ降嫁するのは珍しいことではない。まぁ推測の域は出ないのだが。


「それで、はじめの質問に戻らせていただきますが…ロベール伯爵令嬢、侯爵が何かご迷惑をかけてはいませんかな?」


正直に答えてしまって構わないのだろうか…と逡巡しながらヴィレット様に視線を向けると、小さく頷かれた。


「そのことですが、実は…」


そして私は例の手紙の束を取り出し、ラインハルト公爵に話した。

歓迎パーティーのときの彼の発言、あの日以来毎日手紙が届いていること、そして求婚を受けるつもりがないことなど。その間、ヴィレット様は口を挟むことなく、じっと見守って下さったのだった。

読んで下さってありがとうございます。


誤字脱字、読みづらい等ありましたらご指摘くださいm(__)m

評価の「☆☆☆☆☆」を「★★★★★」にして応援していただけると嬉しいです。


よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。