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【完結】才色兼備な伯爵令嬢は仕事に夢中です  作者: あい・すくりーむ
王太子補佐付の伯爵令嬢は仕事に夢中です
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歓迎パーティー(2)

大広間に入ると、大理石の床や輝くシャンデリア、楽団の演奏、そして着飾った人々の雰囲気に圧倒された。今までに参加した夜会や舞踏会とは一線を画す豪華さである。


パーティーの開始まで待っていると、意識せずとも周囲のヒソヒソと話す声が聞こえてくる。


「ヴィレット公爵の隣にいらっしゃるのはどちらのご令嬢だ?」

「ロベール伯爵令嬢?ああ、コネで取り入ったという…」

「まあ、そうなんですの?私はてっきり…」



全く気にならないと言えば嘘になる。しかし、私は嘆いたり俯いたりはしない。


私にも伯爵令嬢としての矜持と、王太子補佐付としての誇りがある。そしてヴィレット様の、私に「自信を持て」と言ってくれたこの方の今夜のパートナーとして、惨めな姿を晒すわけにはいかないのだ。



とはいえ、気丈に振舞うのにも限界がある。歓迎パーティーはまだ始まってすらいないというのに…そんなことを考えていると、とある二人の姿が見えた。



「ごきげんよう、オリヴィエ様、ジェラルド様。」


「やあ、ジュリア様。随分と久しぶりですね。」


「ごきげんよう。ジュリア様、そのドレスとっても素敵ですわ!それに、今日は一段とお美しくていらっしゃいますのね!」


オリヴィエ様はいつだって朗らかで素敵で、褒め上手だ。その明るさに救われたのは一度や二度ではない。


「ふふ、ありがとうございます。オリヴィエ様のドレスもとても素敵ですわ。」


「ありがとうございます。ジュリア様は、今日は兄君のクラウス様とご一緒では?」


「いえ、今日はヴィレット公爵がエスコートして下さいまして…そうですわ!お二人をご紹介しませんと。」


職場では爵位の上下よりも役職の上下や実力の有無が優先される。そのため、仕事中はさほど気にしないのだが、こういった“貴族としての振る舞い”が求められる公の場ではそうもいかない。


爵位が上の者に対して、爵位の低い者から話しかけてはいけないのだ。とはいえ、この場でヴィレット様を放っておいて世間話に興じるわけにはいかない。


「そうですね。ジュリア様、よろしければお二人を紹介していただけますか?」


さすがはヴィレット様、こちらの話もしっかりと聞いていらしたようだ。会話に加わるタイミングも絶妙である。もちろんと返事をして三人をそれぞれ紹介し、互いに簡単な挨拶を交わすのを見守る。


ジェラルド様がガチガチに緊張しているのには少々驚いたが、“公爵”と“男爵家の子息”という身分差では、緊張するのも無理はないだろう。正規の騎士にも劣らぬ腕っぷしの強さも、社交の場(ここ)では役に立たないようだ。



「それではお二人とも、司書であったジュリア様とは親しかったのですね。」


「ええ、オリヴィエ様とは女性同士ですし、ジェラルド様とは同期でしたから、親しくさせていただいていましたわ。」


「そう言っていただけると嬉しいですわ!またいつでも図書館にいらしてくださいな。」


「そうですよ。皆待ってますから、落ち着いたらいつでも顔を出してください。」


お二人の言葉が嬉しくてニヤけそうな顔を抑えていると、ヴィレット様がふむ、と言葉を紡ぐ。


「そうですね、それは私からもお願いしたいところです。ジュリア様は優秀で責任感があるがゆえに、仕事も悩みごとも全てひとりで抱え込んでしまう節があるようです。もしよろしければ、今後もジュリア様の()()()()()()でいて下さると助かります。」


貴方は私の保護者ですか…。というか、そんな風に思われていたなんて。褒められて、心配されて、あれ?やっぱり上司というよりは保護者目線なのでは?


「ヴィ、ヴィレット様、それはどうかと…」


「もちろんそのつもりですわ。お任せくださいな。」


オリヴィエ様に割って入られてしまい、きちんと否定できなかった。

タイミングの悪いことに、使節団の到着を告げる声が響いたため、挨拶もそこそこにオリヴィエ様とジェラルド様は去ってしまったのだった。




〈オリヴィエSide〉


「ヴィレット公爵様、素敵な方でしたわね。」


「そうですね。オリヴィエ様が以前仰っていた通り、とてもお似合いの二人でした。」


「そうでしょう!周りの皆様の目は節穴なのかしら?あんなにお似合いのお二人ですのに、つまらない噂話に振り回されてヒソヒソと…。」


「だから、お二人の近くへ行ったんでしょう?聞こえよがしに囁かれる噂話を、これ以上ジュリア様に聞かせまいと。」


「ええ、もちろん。付き合って下さって助かりましたわ。よろしければこのまま、エスコートをお願いしても構わないかしら?」


「ええ、喜んで。」


(それにしても、“よき相談相手”…ね。私に対しては言葉の通りでしょうけれど、ジェラルド様に対しては…明らかに釘を刺すつもりで仰っていたように感じましたわ。ジュリア様は気づいていらっしゃらないようでしたけれど…。やっぱり、ロマンスの予感は間違っていませんでしたわ!ああ、とっても素敵!)

読んで下さってありがとうございます。


誤字脱字、読みづらい等ありましたらご指摘くださいm(__)m

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