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恋する話  作者: チーズ
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内側から

  『ごめん、今日は無理そうだ』

  電話の向こう側にいる彼が、さみしそうに言う。

  ほんと、ふざけないで欲しい。寂しい思いをしてるのはこっちの方なのに、そっちが悲しそうな声を出したらこっちが怒れないじゃない

  「・・・そっか。しょうがないよ。また今度にしよう」

  嘘。

  本当はしょうがないなんて思ってない。

  今度なんて嫌だ。

  今すぐあって、抱きしめて欲しい。

  彼氏なんだから、それくらいしてくれたっていいじゃない!

  『うん、今度の休みはちゃんとデートしよう』

  だから、今度じゃなくて、今がいいの。

  「・・・うん、そうだね。わかった。」

  私の口から出るのは、わがままな本性じゃなくて、クールで大人な建前。

  『・・・・・・うん。じゃあ、またね』

  少しの沈黙を置いて、彼がそう言うと電話は切れた。

  なんで私は意地っ張り?

  本当は甘えたいし抱きしめて欲しいし、好きって言いたい。

  だけど、なんかキャラを作っちゃう。

  嫌われてないかな、なんて考えちゃうと、もうダメ。もっと素直になれなくなって、可愛くなくなっちゃう。

  「だから、直したいんだけどなぁ」

  何も写していない、真っ暗なスマホをなぞって愚痴のような感情を言葉にする。

  スマホにだったら本音が言えるのに、このスマホが大好きな人に繋がっているだけで黙ってしまう。

  「ほんと、可愛くないなぁ」

  私はそう言ってため息をつくと、思いっきりベッドから立ち上がる。そして、デートのために用意していた服を着て街へと出かけるのだ。

  (困った時は息抜きっ! スイーツ食べる!)

  大好きな甘いものを考えていると気分は舞い上がる。

  絶対に明日は素直になろうと思えるのだった。


  「え、あれ・・・」

  駅まで来た私は、衝撃の光景を目の当たりにして空いた口が塞がらなくなる。

  私の彼氏が、可愛い女の子と一緒に歩いているのだ。

  は? なんで? 私との約束よりも優先させる? 浮気?

  夢? そんなわけが無い。でも、一緒にいる子は何? 妹かなにかかも。私は、妹さんよりも優先してもらえなかった?

  信じたいのにこの現実はそれを許してくれないようだ。

  気がついた時には彼の元へ駆け寄って手を取っていた。

  「え、なんでここに・・・・・・」

  「・・・・・・私、今日会えなくてさみしかった。本当はずっと一緒にいて欲しかった! キスだってしてみたいし、ハグだってしてみたい! クールぶってるけど本当はわがままなの!」

  自分でも何を言っているのか分からない。

  涙と一緒に溢れ出す本音に驚いたのか、彼はバツの悪そうな顔で私から目をそらす。

  それがすべてを物語っていた。

  ああ、私達はこれで終わりなんだ。

  そう感じた。

  「・・・私ね、大好きだったよ」

  きつく握った手を離して、無理して笑う。

  彼は、「ごめん」と軽く呟いた。

  もう、ほんと、何なの? そこは嘘ぐらいついてよ。「違うんだ」って言ってよ・・・

  「殴っていいよ。完全に、俺が悪いから・・・俺よりも大人なお前には、俺はいらないって思ったからさ。でも、もっと早くお前の本音を聞けたら良かったのかもな」

  力をなくした腕で顔を覆う私にかすれた声で彼が言う。

  自分勝手だなぁ・・・

  私達、素直になれてたら別の未来があったんだろうね。

  彼の隣に立つ彼女は、目に涙を溜めて彼を見上げている。

  きっと、二股されていた事を知らなかったんだろう。

  私は、スッと顔を上げて下を向いたままの彼のほっぺたを持ち上げて前を向かせる。そして、私は彼の頭におでこを合わせる。

  「あの子のこと、私の分まで幸せにしなさいよ?」

  「っー! はい・・・」

  「返事が小さいっ!」

  「はいっ!」

  まじかで見る彼の顔は凜としているな。

  私と一緒にいた時とは違う。

  運命の人は別々みたい。

  私は、彼の頭をくしゃりとなでて、「よしっ」と言って笑う。

  本音はね、私にしてよ、私を捨てないでって思ってるよ。

  だけどさ、彼の瞳と心は私を写していないみたい。悲しくて死にたくなる。

  最初から最後まで彼の中の私はクールな子だったみたいだね。それならさ、別れの時も、クールでかっこいい私でお別れしようか。

  目を見開いて私を見ている彼から視線を外して泣いている彼女さんを見る。

  彼女は弱々しく「ごめんなさい」って謝っている。

  彼女に小さく、

  「謝らないで。あなたは悪くないよ。でもさ、無理かもしれないけどもし良かったらあの馬鹿を幸せにしてあげてくれない? 私にそれは無理みたいだからね・・・」

  そう言うと彼は頭を縦にふる。

  この子なら、大丈夫かな

  そう思った。

  この恋は駄目だったけどね、またいつか恋をするならさ素直になりたいよ。

  好きな人にはありのままを見て欲しい。

  私よりも彼の隣が似合う彼女に、「彼女」の席を譲る。

  お似合いな2人に背を向けて、私はスイーツを食べる。

  この悲しみを笑えるくらい幸せな恋をいつかしたいなと感じる1日で、失恋だった。

  やばいですね、叶わない恋しか書いてない・・・

  明日は、幸せな恋を描きたい・・・

  では、また明日!

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