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恋する話  作者: チーズ
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別れ

  肌寒くなってきた夕方、校舎の1人ベンチに座る。

  君と出会ったのはこの場所だった。

  夕暮れの中、目を閉じて。別れを告げたのは俺だったのに忘れられないあの笑顔と声を思い出した。



  初めて恋をしたのは君の声だった。


  「触れたくて伸ばした腕が掴んだのは空気だけ。これ程思っているのにどうして君に届かないんだろう。私の気持ち、届いてますか?」


  珍しく朝一番に教室に来た俺の耳に、空気を揺らすほどの透き通った声が聞こえた。その声は、真下から聞こえる。

  気づくと俺は窓に駆け寄り、君に声をかけていた。

  君は長い二つ結びの髪を振り乱して俺を見上げていたね。君の髪を風がさらったときの光景が目から離れないよ--

  この気持ちを忘れられたなら、きっと簡単だった。

  出会いをやり直せれば良かった。

  2人は出会わなければ良かった。

  だって、俺の心は君を求めてる。

  今でも、何年も前に卒業した学校に教師として通う度に君の面影を探してる。

  俺から告げたのに、ごめん。

  自分勝手だったとしても、忘れられない。

  喧嘩ばかりで嫌になって俺から告げた言葉が今、俺自身を苦しめる。

  もしあの頃の馬鹿な俺を止めることが出来たなら、俺の隣に彼女はいるのだろうか。

  2人は別々の道を選んでいただろうか?

  そろそろ、さよならをしなくちゃいけない。

  思い出に縋ってばかりじゃ、君に笑われる。

  だとしても、この気持ちは俺の中に溶け込んでくる。


  忘れたくないよ--

  女々しくて、ごめん。




  夕日が沈む橋の上でボクは歌う。

  ボクが向いてる方向は後ろなのか前なのかわからないほどボクの選んだ道は真っ暗で、何度も負けそうになる。

  学生時代、いつも君は隣にいてボクの道しるべだった。

  初めて出会ったあの朝の事はきっと忘れない。

  別れようと言われ、何度も枕を涙で埋めた。

  無理して笑って、君がいなくなった分の隙間を歌で埋めた。

  大人になった今でも、ボクは君が好きだ。そう思っていた。

  君が好きと言う気持ちは変わらない。だけど、それは君に甘えてるだけだ。道がわからないから君に道しるべになって欲しいだけ。それでは、前とは変わらない。

  私は、君が好きだと言うだけで甘えてばかりいるんじゃなくて君を支えたい。そのためには、ただ漠然と夢を思い描くだけじゃ足りない。

  歌。

  それがボクの道。

  きみが背中を押してくれた道。

  さようなら。

  いつか支えられるようになるまで--



  いつかまた出会えるとすれば2人が別人のように変わった時だろう。

  君は強くなり、俺は弱くなる。

  初めて出会って、恋をして

  手を繋いで、キスをして、それ以上の事をして。

  変わりたくない。

  時があの時のまま止まればいいと思う。

  きっと君は今の俺を見れば幻滅するだろう。

  会いたい。でも、会えない。


  最後までわがままで、横暴で、自己中で。ごめんな?

  でも、ダメなんだ。

  きっと次に君を見たら俺は壊れてしまう。

  それほどに、君を愛しているから。

  だからこそ、俺は君と会わない。

  ごめんな?


  サヨナラをしよう--

毎日更新するとか言っといて5月まで出てこなくてすいませんでした。忘れてました。


今回の話は、「ユメミシ」の「茜」という歌をイメージしました。

気に入っていただけると嬉しいです。

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