第八話:黄金の檻 (The Golden Cage)
夜の涼しい空気が街の通りを包む中、バーの薄暗い孤独は警察署の静かな兵舎へと移っていた。アキラとレイの部屋には物音一つなかった。レイはベッドに横になって本を読みながら、静かに尋ねた。
— アキラ、起きてるか?
アキラは天井を見つめながら答えた。
— ああ、起きてるよ、レイ。
レイは本を少し下げた。
— トマのこと、どうなってるんだろうな? あの日、政府がお前をあんなに守っている理由を顔を見て聞くのは失礼だと思って聞けなかったけど、本当に気になるんだ。
アキラはベッドから体を起こした。
— 俺もよくは知らない。ロボットを作れる、それしか分からない。
レイの目に子供のような明るさが灯った。
— 世界中で技術者はトマだけってわけじゃない。確かにトマは本当に才能がある。でも、どうして特にトマなんだ? ひょっとして、秘密裏に巨大メカロボットでも作ってるんじゃないか?
アキラはレイの理論を聞いた瞬間、立ち上がって興奮したように手を振った。
— レイ、何言ってるんだ! そういうことは秘密なんだ。いきなり聞いちゃ駄目だろ!
レイは低い声で笑いながら立ち上がり、すぐアキラの鼻先へ瞬間移動して、腕を引っ張った。
— お前だってめちゃくちゃ気になってるじゃん! 聞きに行こうぜ。全員にも納得してもらおう。俺たちチームだろ? 秘密を隠すのは悪いことだ、行こうぜ!
アキラは諦めてため息をついた。
— 分かった。でも女の子の誰か一人でも嫌だと言ったら、俺は賛成しない。無理強いもしない。
レイはにやりと笑った。
— そこは簡単だ。初日からみんなの番号を全部聞いてるからな。ヒナのも聞いたけど、怒らないよな?
アキラの顔が赤くなった。
— いや、何の関係があるんだよ!
深夜、俺たちは静かに進み、トマの部屋の扉の前へ集まっていた。アカネは眠そうに目をこすりながらささやいた。
— みんな、本当にいいの? 寝てるなら起こすのは悪いよ。
ヒナも彼女に同意した。
— 私もアカネの言う通りだと思う。今は休んでるんじゃないかな。
レイはいたずらっぽくくすくす笑って答えた。
— でも結局、みんな気になってここまで来たじゃん!
*パチン!*
レイが言い終えるやいなや、扉をいきなり開けて中へ飛び込み、叫んだ。
— トマァァ! 俺たち来たぞ!
アカネは怒って後ろから飛び出した。
— このクソ野郎! 人はドアをノックするもんでしょ、いきなり人の部屋に入るな!
トマは手元のチップをいじっていたが、突然開いた扉に驚いて振り返った。
— あ……みんな? ようこそ。入って、座ってよ。
そのとき、リンはいつものように部屋の隅へ引っ込み、布団の中へ隠れようとしていた。レイはすぐ彼女のところへ行き、足で布団を軽くつついた。
— おい、怖がり、起きろ! 電話で話してたこと、今からやるぞ。
しかしリンの真っ黒なカラスの一羽が突然空を滑り、レイの頭へ止まると容赦なくつつき始めた。レイは痛みに叫びながら地面へ転がった。
— こいつを俺の頭からどけろ! 助けてくれ!
リンは布団から顔を出し、無表情な声で呼びかけた。
— 来て、イワ。こいつを離して。
カラスは飛び立ち、リンの肩へ止まった。リンは顔を反対へ向け、不機嫌そうにつぶやいた。
— フン……女の子の部屋にこんなふうに入るものじゃない。
アカネはすぐ後ろからやって来て、地面に倒れているレイの頭へ強烈なパンチを落とした。
— その通り!
レイは涙を浮かべながら頭をさすり、つぶやいた。
— ごめん……。次からもっと気をつけるよ。
トマはこのおかしな光景に少し笑った。
— みんな、本当に面白いな……。それで、こんな時間に何しに来たの? リンにちょっかいを出すため?
アキラはカハ払い(咳払い)をして真剣な顔になり、話を切り出した。
— 実はトマ……君の政府による保護について話したいんだ。もし嫌じゃなければだけど……。俺たちは二週間に一度、警察署の外へ出て家族に会ったり外で遊んだりできる。でも君は、任務がない限り外へ出ることが完全に禁止されている。その本当の理由は何なんだ?
トマは一瞬立ち止まった。机の上のロボット部品をゆっくり脇へ置き、椅子をチームのほうへ向けた。顔には、年齢には似つかわしくない成熟した、そして苦い表情が浮かんだ。
— 話してもいいよ、もちろん。
と言って深く息を吸い、父親の悲劇的な過去を語り始めた。
— 僕の父親の特殊クラス能力は「超知能」だった。政府にとって非常に重要な発明を作り、作ったものはすべて細かく記録していた。まだ18歳のときに設計した技術のおかげで、警察の仕事は信じられないほど楽になり、犯罪率は一気に下がった。今、犯罪者を24時間365日監視し、逃亡を防いでいるあの高度な手錠マスク技術も、完全に僕の父親が発明したんだ。
アキラは腰の警察用マスクを一つ取り出し、感心して眺めた。
— じゃあ、この道具を作ったのは君の父親だったのか……。
— そうだよ。とトマは悲しげな目をしながら言った。— この発明によって、政府は父に無限の金と莫大な保護を与えた。でもその代わりに、とても大きなものを奪った。自由だ。父はもう自由じゃなかった。常に新しい発明を作るよう強制された。もう楽しいからでも、作るのが好きだからでもない。政府に義務づけられているから作っていた。そしてその重圧は、時間とともに父の天才的な創造性を完全に殺していった。警察の弱点を補う冷たい機械だけを作る奴隷へと変わってしまったんだ。
トマは深く息をついた。
— 母と出会ったとき、父は25歳だった。母は父の人生における唯一の希望の光だった。母は父が作るあの魂のない機械が大嫌いだった。ある日、母が父に言ったんだ。「こんなものには愛が何もない。どうして作っているの?」って。父は立ち止まり、唇を噛んで、「そんなことに何の意味がある? 大事なことじゃない……。やらなきゃいけないから、やっているんだ」と言った。母は父の目を見て、「じゃあ、私のために何か作ってくれる?」と尋ねた。父は母に一目惚れしていた。母は父の唯一のファンだった。母のおかげで父はもう一度人生を生きる気力を取り戻した。二人は警察署からこっそり抜け出して遊んでいた……。母は父をあの黄金の檻から救ったんだ。
トマは笑い、目を輝かせた。
— そして母が妊娠して、僕を産んだ。生後二か月の赤ちゃんだった僕が話し始めたとき、父は自分の能力が僕に受け継がれたと理解した。僕も自分と同じ運命をたどって、政府に檻へ閉じ込められることをひどく恐れたから、僕に秘密のメモやノートを残した。いつも「ただ楽しむために作れ、トマ。絶対に義務で作るな」と言っていた。父は警察のための機械をたくさん作って備蓄していた。そのおかげで政府は僕をあまり追い詰めず、父の遺産のおかげで少しだけ自由を与えてくれている。
トマはアキラ、ヒナ、アカネ、リン、レイを順番に見つめた。声が震えていた。
— 11歳のとき、あのマスクをもっと小さくして改良した。それで少しは自由にしてもらえたけど、それでも僕に大きなことを期待している……。でも父が母を見つけて救われたように、僕もこの警察署で君たちに出会った。本当に僕のことを気にかけてくれて、友達になってくれた。くだらないロボットを作ることを許してくれて、一緒に遊んでくれた……。僕の肩に乗っていた、この途方もない責任から、あの黄金の檻から、少しだけ僕を解放してくれたんだ。本当にありがとう。
部屋は静まり返った。トマの悲しい話を聞いて、誰も言葉を見つけられなかった。ヒナの目には涙が浮かび、アキラは拳を握りしめた。
いつものように沈黙を破ったのはレイだった。
— つまり……巨大メカロボットはなかったのか?
アカネが怒って叫んだ。
— レイ、今それ言うときじゃないでしょ!
トマは突然大声で笑い始め、楽しそうに尋ねた。
— もしかして、僕が巨大メカロボットを作っていると思ったから、こんなことを聞いたの?
レイはにやりと笑った。
— 面白いだろ?
レイは言い終わると突然トマの隣へ瞬間移動し、トマの頭を優しく撫でながら言った。
— でも、いつかみんなで巨大メカロボットを作れたらいいな。
トマは目に浮かんだ涙を上着の袖で拭い、心から笑った。
— その日を楽しみにしてるよ、それなら!
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