第三話:最初の絆 (The First Bonds)
警察署の宿舎では、アキラとレイは同じ部屋を割り当てられていた。レイは気楽な様子でベッドに横になると、アキラへ振り向いた。
— アキラ、仲良くやれるといいな。えーっと、お前はどこ出身なんだ?
— 俺? 中心街の辺りに住んでる。そっちは?
— おお、近いじゃん。とレイはあくびをしながら言った。俺はここ、つまり警察署まで歩いて30分くらいかな。— Zaten休暇の日には家に帰れるから、そんなに大事なことじゃないけどな。で、アキラ。今は暇だけど、何するつもり?
レイの目にいたずらっぽい光が宿った。
— 実はちょっと昼寝して、そのあと女の子たちの部屋を覗こうかなって思ってる。お前はどうする?
アキラの顔が一瞬で真っ赤になり、怒って背を向けた。
— 何!? 女の子たちの部屋を覗くって? レイ、それは仲間に対する大きな侮辱だぞ!
レイは皮肉っぽく笑った。
— でもよ、アキラ……。お前もかなり泣いたじゃん、ずいぶん母乳のにおいがするな! 心配すんな、見るだけだから。
アキラは眉をひそめ、きつく付け加えた。
— レイ、その考えはまさに変態が言いそうなことだ!
レイは降参するように両手を上げた。
— 分かったよ分かったよ、何もしないって。ちょっと寝るよ。もう疲れたし。
アキラが部屋を出ようとしてドアノブをつかんだとき、レイはベッドから起き上がり、真剣な声で尋ねた。
— なあ、アキラ……。ちょっと気になったんだけどさ。ヒナとは友達なのか? ヒナが最初に部屋へ入ったとき、誰かを探すみたいにまっすぐ中を見回してた。お前を見て止まったんだ。
アキラは立ち止まった。
— ああ、幼なじみだ。どうしてそんなこと聞くんだ?
レイはまたベッドへ横になり、目を閉じた。
— いや……ただ気になっただけ。じゃあな、アキラ。
アキラが部屋を出て廊下を歩いていると、偶然ヒナに出会った。ヒナはアキラを見ると、ほっと息をついた。
— 元気? 大丈夫、アキラ? 誰と同室になったの?
— レイ、とアキラはため息をつきながら答えた。— そっちは?
— 私はアカネと。ちょっと気難しい子みたいだけど、実はいい子だよ。充電器も貸してくれたし。お母さんたちには言ったから、今から荷物を持ってきてくれるって。
そのとき、廊下の端にジン先生が現れた。二人が並んでいるのを見ると、からかうようににやりと笑った。
— おやおや、仲良しカップルのお二人さん! 元気かい? ちょうど君たちのどちらかを探してたんだ。5分以内にこの廊下の全員を一列に並ばせろ。私は戻ってくる。
ジン先生が背を向けて去ると、アキラとヒナは急いで部屋を回り、全員を廊下へ集めた。5分後、ジン先生は両手を背中で組み、一同の前に立った。
— よし、みんな! 初任務が始まるぞ。新米にとって間違いなく最大級で、誇りに満ちた任務の一つだ!
そのとき、トマが遠慮がちに手を挙げた。
— 先生……僕、部屋に戻ってもいいですか?
ジン先生のこめかみに青筋が浮かび、怒って少年へ歩み寄った。
— 朝飯に心臓でも食ってきた奴がいるようだな! 言ってみろ、君をそんなに重要にしているものは何だ、トマさん?
トマはポケットから正式な政府の書類を取り出し、ジン先生へ差し出した。ジン先生は書類を読み進めるにつれて顔を曇らせ、目に宿っていた厳しい表情は大きな失望へ変わっていった。深いため息をつき、書類をトマへ返す。
— もちろん……もちろん部屋へ戻っていい、トマさん。
— ありがとうございます、先生。と言って、トマは礼儀正しく背を向け、自分の部屋へ歩いていった。
トマが廊下を出たあと、ジン先生は怒って手にしていた正式な書類を丸め、床へ投げ捨て、歯の間からつぶやいた。
— 上層部のクソ野郎ども……。
そのあと深く息を吸い、念のため書類を床から拾い、廊下のゴミ箱へ投げ入れた。咳払いをして残った子供たちへ向き直り、興奮の度合いを上げようとした。全員の心臓は速く鼓動し、謎めいた作戦を期待していた。
— さて、みんな! これは君たちにとってとても重要な任務だ、ちゃんと準備しろ……。任務は――警察署の掃除ィィィィィィ!
皆は驚きのあまり首を傾けた。ジン先生も首を傾けて彼らを見る。
— どうした? おい新米ども! 最初からそんな謎めいた、アクションたっぷりのものを期待してたのか? バケツを取れ、雑巾を持て。警察署を徹底的に掃除しろ!
レイはすぐに雑巾を一枚床へ投げ、背を向けた。
— 俺はパス。寝に行く。
ジン先生は数ミリ秒のうちにレイの後ろへ現れ、少年の頭へ手を置いて強く握った。
— なんて言った? 聞こえなかったぞ?
レイは死ぬほど冷や汗をかき、すぐに態度を変えた。
— 冗談です先生、冗談です! もちろん喜んでやります、掃除は心の洗濯ですから!
— そう、それでいい。
アキラは興味深そうに手を挙げた。
— じゃあ先生……気になったので聞きたいんですけど、トマはどうして僕たちから離れたんですか? 何か病気なんですか?
ジン先生の表情が真剣になった。
— トマ……政府は、あいつが政府のためにロボットを作る巨大な可能性を持っていると思っている。だから警察署で一番警備の厳しい場所があいつの部屋になるんだ。つまり、政府はまた自分たちの利益のために、小さな子供の肩へ大きな責任を背負わせているってことだ。まあいい、お前たちは頑張れ。私は手伝いたいところだが、とても重要な仕事がある。バーで酒――ジン先生は咳払いして言い直した。――つまり、バーで喧嘩が起きたから、それを片付けに行ってくる。バイバイ!
ジン先生が背を向けて去ると、チームはバケツを手に取り残された。アキラは床の雑巾を拾い、仲間たちを見る。
— なあ、みんな……僕たち、チームだよな? チームなら互いに支え合わなきゃいけない。警察署を掃除しながら、お互いをもっと知るには最高の機会だと思う。
レイは汚れた雑巾をまた床へ投げ、ぼやいた。
— そうだけど、これは不公平だ! あいつは中で座ってるのに、俺たちはここで掃除してるんだぞ。
アカネは後ろから来てレイの頭を軽く叩いた。
— レイさん、あなたがさっき拭いた場所を雑巾を投げてまた汚してるじゃない!
レイは痛がって呻いた。
— いやああああ!
アキラは部屋の隅でカラスと一緒に立っているリンに尋ねた。
— トマの部屋ってどこだった?
— リンが答えた。私と同じ部屋にいるけど、そこへ行ったらジン先生に怒られないかな?
アキラは微笑んだ。
— 大丈夫だよ。掃除をあいつの部屋の前から始めたって言えばいい。それに、トマにもこの活動へ参加してもらえると思う。
皆でトマの部屋の前まで来て、扉を開けた。レイは中へ飛び込んで叫んだ。
— おーい、トマ! 俺たち来たぞ!
アカネは怒って後ろから飛び出した。
— このクソ野郎! 人はドアをノックするもんでしょ、いきなり人の部屋に入るな!
トマは机でチップをいじっていたが、驚いて振り返った。
— みんな? ここで何してるの? 掃除しなきゃいけないんじゃなかった?
ヒナが前へ出た。
— あなたが私たちの中にいないと、なんだか落ち着かないの、トマ。一緒にやったほうがいいと思う。
アカネも同意した。
— 私もそう思う。それに、私たちチームでしょ? 一緒にいるほうが楽しい。あなたが全部の楽しみを逃してると、私たちも気分が落ち着かない。
トマは目をそらし、悲しそうな声でつぶやいた。
— ごめん、みんな。でもやることがいくつかあるんだ。だから今回はパスするよ……。
アキラは顎に手を当てて考え始めた。
— 仕事を邪魔せずに君も僕たちに参加できる方法はないかな?
皆が黙って考えていると、レイの頭の上で電球が灯った。
— お前、ロボット作ってるんだろ? ここに掃除ロボットを作ればいいじゃん。それに掃除させて終わりだ!
トマはため息をついた。
— 残念だけど、これを僕一人で作ったら少なくとも3日はかかる。
リンが部屋の隅から小声で言った。
— 誰が一人だって言ったの?
トマは驚いて顔を上げた。
— え?
レイはすぐに割って入り、叫んだ。
— 言ったぞ言ったぞ――
アカネはすぐに手でレイの口を塞いで黙らせ、トマへ振り向いた。
— つまり、誰が一人だって言ったのってこと。みんなでやれるよ。だって、私達チームでしょ?
アカネがレイの口から手を離すと、レイは眉をひそめ、腕を胸の前で組んだ。
— フンッ!
アカネは笑いながらからかった。
— どうしたの、怒った?
その瞬間から部屋では大規模な作業が始まった。トマの天才的なエンジニアリングの頭脳を中心に、アキラは方向の力で重い部品を揃え、アカネは身体能力で金属を曲げ、ヒナとリンはケーブルを整理した。レイさえも指を鳴らし、部屋の反対側にある道具を一瞬でトマの手元へ届けていた。全員で何時間も作業し、警察署をピカピカにする完璧な掃除ロボットを完成させた。
警察署の上階の窓から彼らを見ていたジン先生は、口元でにやりと笑っていた。独り言のようにつぶやく。
— 「俺たちの未来の子供たち」って言ってたのは、こういうことか、ダイゴ……。
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