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奴隷紋を魔改造したらヒロインたちが覚醒しました 〜追放された最弱付与術師、最強の従者たちと世界最深ダンジョンを制覇する〜  作者: 悠々


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第9話 二つの甘いアピール

「おい、そこの衛兵たち。そこで何をしているんだ?」


俺はルナとセレナを従え、衛兵たちに包囲されていたドワーフの少女の前に立ちはだかった。

衛兵たちは突然現れた俺たちに驚き、眉をひそめた。


「なんだ、お前たちは? こいつは鉱山から逃げ出してきた逃亡奴隷だ。我々は法に従って拘束している。邪魔をするなら公務執行妨害で捕らえるぞ」


「うちは逃げたんじゃない! 悪徳商人に無理やり捕まって、違法な奴隷紋を刻まれただけだ!」


ドワーフの少女――クララが、涙ぐみながらもスコップを強く握りしめて叫んだ。

背中の破れた服から覗く奴隷紋は、通常のものより魔力を激しく搾取する粗悪な違法品だった。このままだと、肉体が崩壊するのも時間の問題だ。


「鉱山用奴隷の買い取り相場は、大体銀貨五十枚といったところだな。だが、違法な奴隷紋を刻まれた上にここまで衰弱している。……衛兵、この金貨一枚で、彼女の『譲渡手続き』をその場でしてくれないか」


俺はポケットから、先ほど稼いだばかりのピカピカの金貨一枚を取り出し、衛兵のリーダーの前に差し出した。

金貨一枚は銀貨百枚に相当する。相場の倍額だ。

衛兵たちの目がギラリと光った。


「……ふむ。まあ、逃亡奴隷を鉱山に戻す手間も省けるしな。それに、これだけ衰弱していれば途中で死ぬかもしれん。買い取り手がいるなら、その場で手続きをしてやるのが温情というものだ」


リーダーは金貨を素早く受け取ると、懐から魔法の移管スクロールを取り出し、クララの奴隷紋に向けて呪文を唱えた。

カチリ、とクララの首元の隷属魔力が俺の指先へと繋がる。


「よし、交渉成立だ。そいつをどうしようがお前の勝手だが、王都内で騒ぎを起こすなよ」


衛兵たちは満足そうに笑いながら、暗闇の路地裏へと去っていった。

緊張の糸が切れたのか、クララはその場にバタリと倒れ込んだ。


「ルナ、彼女を背負ってくれ。アパートに戻るぞ」


「はい、主様!」


俺たちは急いでアパートに戻り、クララを予備の布団に寝かせた。彼女はひどく疲弊しており、しばらくは眠り続けるだろう。

一息ついたところで、アパートの狭いリビングに俺、ルナ、セレナの三人が集まった。

セレナは新しい紺色のワンピースを着たルナをじっと見つめ、それから俺の顔をジッと覗き込んできた。


「ねえ、アルス。ルナだけそんな可愛い服を買ってもらったの? 私だって、ボロボロの奴隷服のままなんだけど……」


「あ、ああ、すまない。セレナの分の服も、明日買いに行こう。今日はもう遅いからな」


「本当? 約束よ。……それにしても、このアパート、ちょっと狭すぎない? ベッドも一つしかないし」


セレナがツンとした態度でベッドの端に腰掛けた。

すると、ルナがすかさず俺の隣にぴたりと寄り添い、俺の腕を抱きしめた。


「セレナ、主様はとってもお優しいんですよ。昨日はわたし、主様の腕の中で一緒に眠らせていただきました!」


「えっ……!? ちょっと、ルナ、あなた何を言っているのよ!」


セレナが顔を真っ赤にして立ち上がった。エルフの長い耳が激しく動いている。


「あるじ様と……一緒に寝たの!? 奴隷だからって、そんな……破廉恥よ!」


「破廉恥じゃありません! 主様は温かくて、とっても安心できるんです!ね、主様?」


ルナが犬耳を伏せて、甘えるように俺の肩に頭をこすりつけてくる。クンクンと鼻を鳴らす仕草は完全に甘えん坊の犬だ。


「ル、ルナ、少し離れようか。セレナも落ち着いてくれ」


俺が苦笑いしながら言うと、セレナはぷいっと横を向きながらも、俺の反対側の袖をツンツンと引っ張ってきた。


「……私だって、魔力暴走を抑えてもらった時、アルスの腕の中に入ったわ。だから、私だってアルスの温かさは知ってるんだから」


「セレナ……?」


「べ、別に深い意味はないわよ! ただ、エルフは魔力の相性を重視するから、アルスの魔力パスが心地いいって言っているだけ! だから、私も……その、アルスの隣がいいわ」


セレナは恥ずかしそうに俯きながらも、俺の左腕をぎゅっと抱きしめてきた。

右腕にはルナ、左腕にはセレナ。

かつてブラック企業で孤独に泥水をすすっていた俺が、異世界でこんなに可愛い二人の美少女に腕を奪い合われる日常を送ることになるとは、夢にも思わなかった。


「主様、ルナの方が主様のことを大好きです!」


「私の方がアルスの契約を気に入ってるんだからね! アルス、どっちが可愛いか言いなさいよ!」


二人の甘いアピールに挟まれながら、俺は安アパートの狭い部屋で、嬉しい悲鳴を上げるしかなかった。

敷布団の上で眠るドワーフの少女の寝息だけが、静かに部屋に響いていた。

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