第28話 妨害を無効化する絶対の力
「主様、前方に強い魔力干渉を検知しました。レオたちが仕掛けた『魔力妨害石』のエリアです」
ルナが剣を構え、警告した。
ダンジョン第3エリアの狭い一本道。周囲の岩肌から、不気味な黒い石が埋め込まれているのが見え、そこから不可視の魔力剥奪波動が放出されていた。
通常の魔術師なら、このエリアに入った瞬間に魔力パスが遮断され、魔法やバフがすべて強制解除されるデス・トラップだ。
広場の特設スクリーンで観戦していた大観衆も、俺たちがこの罠エリアに入った瞬間、固唾を呑んで見守っていた。
「フン、無能どもが! そこでお前たちの魔法とバフはすべて消え去る! そのまま魔物に喰われちまえ!」
並走ルートの岩壁の向こうから、レオの狂気に満ちた叫び声が聞こえた。
だが、俺は冷ややかに微笑んだ。
「クララ、頼む」
「任せとけ、旦那様!【金剛障壁】!」
クララが巨大な盾を掲げ、地面に強く突き立てた。
俺の十倍防御バフが接続された盾から、眩い黄金の障壁が半球状に展開され、俺たち四人を包み込んだ。
ジジジジッ! と、妨害石の波動が黄金の障壁に激突し、火花を散らす。
だが、絶対防御の障壁は一ミリも揺らがず、それどころか妨害波動を物理的に「反射」し、妨害石そのものを過負荷でパキパキと破壊し始めた。
「な、何ですって……!? 魔力妨害石が、機能していない!? それどころか粉々に砕け散っているわ!」
並走ルートから覗き見ていたミリアが、絶望的な悲鳴を上げた。
「俺のバグバフのエネルギー総量は、そんな安物の妨害石が吸収できる限界を遥かに超えているんだよ。……さあ、セレナ、一掃してくれ」
「ええ。精霊たち、あの黒い石ごと、行く手を阻む魔物を吹き飛ばしなさい!【烈風牙】!」
セレナが魔改造杖『精霊王の息吹』を振るうと、十倍の嵐が洞窟内を吹き抜けた。
設置されていた魔力妨害石は、押し寄せていた魔物の群れごと、ただの砂埃となって洞窟の壁から一瞬で消滅し、きれいな一本道が出来上がった。
「ありえない……! あいつら、バケモノか!?」
レオの驚愕の声を聞き流しながら、俺たちは風のようにその道を駆け抜けた。
レオたちは薬物のオーバードーズによる疲労と、妨害工作が失敗した焦りから、急激に動きが鈍り始めている。
俺たちは一切の無駄なく、ダンジョン最深部「守護者の間」へと独走し、一足先にたどり着いた。
そこが、すべての因縁にケリをつける、最後の舞台だった。




