第25話 レオの挑戦状
「アルス! 今日こそお前たちのすべてを奪い取ってやる!」
翌日の午後、冒険者ギルドの中央ロビー。
レオが多くの冒険者たちの前で、一枚の赤い挑戦状を俺の目の前に突きつけた。
赤い挑戦状――それは、ギルド公認の「クランバトル(公式抗争戦)」の申し込みだった。
「クランバトルだと? 俺たちの全財産と、ルナたちの所有権を賭けろというのか」
俺が冷ややかに挑戦状を見つめると、レオは勝ち誇ったように胸を張った。
「そうだ! お前たちのような無能クランが、王都で豪邸を所有するなど許されるはずがない! もし拒否すれば、お前は臆病者として冒険者資格を剥奪されるぞ!」
「そうよ! アルス、大人しく負けを認めて、その奴隷たちをレオに渡しなさいよ!」
ミリアが金切り声を上げて笑った。周囲の冒険者たちも、何事かと俺たちのやり取りを興奮気味に見守っている。
レオは、昨夜雇った暗殺者がアルスを殺害し、ルナたちを無力化したという「偽の報告」を信じ切っており、アルスが生きていることに一瞬動揺したようだが、すぐに「どうせ瀕死の状態で無理をしてここへ来たのだろう」と解釈したらしい。彼の表情には、勝利を確信した傲慢さしかなかった。
「いいでしょう。その挑戦、お受けします」
俺が不敵な笑みを浮かべて答えると、レオの目がギラリと光った。
「ハッ、強がりを言うのも今のうちだ! 勝負は明日の朝、Bランクダンジョン『黒鉄の迷宮』の同時攻略レースだ! 最深部のボスを先に倒したクランの勝利とする!」
「わかりました。明日、ダンジョンでお会いしましょう」
俺は挑戦状にサインをし、ギルドを後にした。
「旦那様、あいつ、本当にバカだな! 自分が罠にかかっているとも知らずに、嬉しそうにしてるぞ!」
クランハウスに戻る道すがら、クララがスコップを叩いて大笑いした。
「ええ。昨夜捕まえた暗殺者たちからの偽の報告を、完全に信じ込んでいるわね。哀れな道化だわ」
セレナが冷笑を浮かべた。
「主様、明日はわたしたちの本当の実力を、あの傲慢な人たちに見せてあげましょうね!」
ルナが嬉しそうに犬耳を揺らした。
「ああ。レオが仕掛けてくるであろう、最後の工作もすべて記録して、大観衆の前で完全に破滅させてやろう」
俺はポケットの中の、暗殺契約書のコピーと、魔導投影機(防犯カメラ映像)が記録された魔石を握りしめた。
決戦の舞台は明日。
俺たちの最強のバグバフが、レオたちの邪悪な野望を粉々に粉砕する瞬間が、すぐそこまで迫っていた。




