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狼と呪いの紅玉  作者: 馬之群
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呪いの手紙(4)

「それで?連中を二手に分けた理由は何だ?」

「ルリは追い詰められたら、自分の命と引き換えに、出来るだけ多くのウェアウルフを呪うでしょう。不用意に全員を拘束したり、事情を説明したりするわけにはいきません。また、笹木家の権力を思うと、これほどの醜聞を多くの者に明かすことは下策でしょう。僕が一人でルリを炙り出した方がいい。」


光琉は回りくどい説明を始めた。小麦は苛立ちを抑えて聞いていた。

「注意深く見ていれば、ルリを見つけ出すことはそう難しくないはずです。問題はその後です。ルリに誰かを呪う隙を与えてはならない。方法は二つ。一つ、ルリが誰かを呪殺した直後にルリを拘束すること。一つ、ルリが油断している時に僕が『石』を奪うこと。」

光琉は方法を指折り数えた。


「一つ目は却下だ。」

小麦はすぐさま言うと、ソファに座り込んだ。

「そう仰ると思いました。そこで二つ目の方法を取るとすると、ルリを油断させないといけません。ですが、ルリは完全に殺しが終わるまで警戒を緩めないでしょう。特に僕と小麦様の動向には注意しているはずです。」


そう言いながら光琉は何処かに向かった。何かを探している。小麦も光琉について行った。

「何を探している?」

「確かこの辺りに…。嗚呼、ありました。」

光琉が取り出したのはビデオカメラだった。


「ターゲットを二手に分け、両者の距離を十二分に離しました。これは、僕らが二人とももう一方の集会所にいるなら、どんなに急いでも一、二時間は来られないことを意味します。その間、ルリは狩りに集中出来ると思うはずです。」

光琉は小麦にカメラを向けた。

「予め撮影した映像で、もう一方にいると思わせるのか。そう上手くいくのか?」


「何とかなるでしょう。今時は素人でもリアルタイムで映像を合成出来るではありませんか。」

機械類に疎い小麦は黙り込んだ。結局光琉の提案に従うしかなかった。

「お前を信じよう。ルリを止められるのはお前以外にないだろうから。」

光琉は頭を下げる。

「ありがたきお言葉。」


光琉はルリの直属の部下だった若葉を呼んだ。若葉に車を運転させ、まずは東日本にある集会所の方に向かった。そこは山奥にひっそりと建てられた合宿所で、古い設備が修理されずに残っている。部屋には虫が入ってくるし、空調は壊れている。但し、獣や鳥が近付くことは稀だった。野生の勘で避けているのかもしれない。


「いたいた。さて、ルリは何処かな。」

光琉は辺りを見渡した。この集会所にいるのは十人で、そのうち四人がスタッフだった。女性は三人いる。もっと近付かないことにはルリかどうか分からない。光琉は全体に向かって呼び掛けた。


「ご足労頂きありがとうございます。早速人数を確認したいので、部屋に荷物を置いたら一人ずつ食堂に来て頂けますか。」

光琉に冷ややかな視線が注がれる。

「貴様は何者だ。何の権利があって我らに命令している?」


長身の男性が横柄に言った。ルリの変装ではなさそうだ。

「申し遅れました。僕は長谷川光琉と申します。小麦様の命で参りました。皆様をお守りするために尽力致しますので、お力添え下さい。」

光琉は丁寧に言った。

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