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狼と呪いの紅玉  作者: 馬之群
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呪いの手紙(2)

「そうだな。手紙を受け取った者どもの安全を保障することが最優先だ。彼らに一日おきに涙石を貸し出そう。」

光琉は小麦の発言に血相を変えた。

「お待ち下さい。『石』を無闇に第三者に渡してはなりません。それがどれほど危険なことか、小麦様はよくご存じでしょう。他の方法を考えます。」


「意見を求めた覚えはないぞ。」

小麦は光琉を睨んだが、ハッとして言葉を継いだ。

「考えてもみろ。一日や二日でルリの居場所を探し出すことは出来ぬ。だが、ルリはいつでもこやつらを殺せる状態で潜んでいるのだ。それも、昼夜を問わず、離れた場所から、前触れもなしに、だ。他に方法はない。」


光琉は考え込んだ。そう単純な話ではないと思ったからだ。

「ルリからの手紙が届いた連中を一堂に集め、私も彼らと共にいればよいのではないか。護衛も出来るし、『石』を見張れる。」

小麦は左目にかかっている黒髪を手で梳いた。すかさず蓮之助が言った。

「それでは儂が皆を集めましょう。」


「なりません。」

光琉はきっぱりと言った。二人が光琉の方を見た。

「理由は後でお話します。対象になっている方々を二手に分け、片方を東日本にある第二集会所に、もう片方を西日本にある第五集会所に集めて下さい。出来るだけランダムに振り分け、そのどちらにも小麦様が接触しないようにお願い致します。」


小麦は唇の端を歪めた。

「お前がそう言うからには考えがあるのだろう。従おう。但し…。」

小麦は音を立ててカップを机の上に置いた。光琉と蓮之助の分のフルーツティーが零れる。

「涙石は彼らに渡す。私の配下の者の命を軽んじることは許さん。」

「…勿論です。僕が受け渡し役を担いましょう。」


光琉は微笑んだ。蓮之助は光琉と小麦を見比べた。どうして小麦がヴァンパイアの言葉を重んじているのか理解出来なかった。その微かな不信感は光琉に対する憎しみとなった。

「おい、小僧。後で理由を話すというのはどういう意味だ?儂に説明することは出来ないということか?」


光琉は眉根を寄せた。押し殺した声で凄む。

「口の利き方に気を付けろよ。君の家柄と歳に敬意を払うのは君の同胞だけだ。もう一度言ってみろ、誰が小僧だと?」

小麦は面白がって見ていた。蓮之助は恐らく五百歳は優に超えている。この口ぶりだと光琉はそれより年上か。嘘吐きめ。二、三百歳と言っていたくせに。ヴァンパイアとしてもまあまあの年齢だ。


「失礼、取り乱しました。僕の考えはまず小麦様に報告させて頂きます。その後小麦様が誰に話そうが小麦様にお任せします。」

蓮之助は黙っていた。小麦は頬杖をついた。

「もういいだろう。下がれ。集会所にウェアウルフを移動させておけ。」


蓮之助は去った。改めて小麦は光琉に尋ねる。

「それで?二か所に分けた理由は何だ?」

「そもそも、日時まで指定して呪いを予告するというのは、とても非効率的なことなのですよ。呪いに不可欠な要素の一つに、対象との距離がある。距離が遠いほど精度が落ちます。対象に逃げられれば呪殺は困難になります。それに、予告した日時以外には呪いの効果が格段に落ちます。それならこっそり接近し、一人ずつ闇討ちにした方が楽です。」

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