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狼と呪いの紅玉  作者: 馬之群
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連なる孤独(8)

「抱えていくしかねえか。」

リーダーは光琉をお姫様抱っこして、外に向かった。光琉は抵抗することも出来なかった。リーダーは光琉を車の後部座席に放り込み、橋の方に向かった。

「お望み通りこいつを連れてきたぜ。金を寄越しな。」

リーダーは車から光琉を引きずり下ろし、若葉に言った。


「いいわ。私はスーツケースを置いてそっちに行くから、あんたは光琉を置いて取りに来てよ。変な真似はしないでね。少しくらい離れていても発火させられるから。」

「いいから帰ってくれ!僕は立てもしない。こいつらは最初から僕を…。」

光琉が叫ぶとリーダーは光琉を足蹴にした。


「光琉…。」

若葉は光琉に手を伸ばしかけて止めた。ヴァンパイアを警戒しないといけなかったからだ。

「おい、金を持って先に帰れ。」

リーダーは馬鹿に命じた。次に若葉の方を見て言った。

「余計なことはするなよ。あんたが変な真似をしたら、二人とも無事では済まないぜ。」


馬鹿がスーツケースを持って去っていく。若葉は何も出来なかった。光琉はこの隙に逃げればいいのにと思いながら、声も出せなかった。ウェアウルフの方が身体能力は高いのだ。彼らは追い付けなかっただろうに。最悪な状況になった。

「愚の骨頂だわ。こんなことして、小麦様が放っておくと思うの?」

若葉は精一杯強がってみせる。リーダーはニヤリと笑う。

「自分の心配をしな。まあ無意味だけど。」


馬鹿は車に乗り込んだ。遠ざかっていく。車が十分離れたら、若葉は…。若葉の目は呆然と見開かれ、膝が笑っている。光琉はそんな若葉を横目で見ていた。

「僕のことなんか放っておけば良かったのに、馬鹿だなあ。どうなっても僕を怨まないでよ。僕を怨んでいる連中は多いから、復讐の順番が回ってこないと思うもの。」


光琉は若葉に囁いた。若葉は弱々しく微笑んだ。

「構わないわ。順番なんて割り込んでやるから。」

リーダーが爪を伸ばすのが見えた。この距離ではウェアウルフでも避けられないはずだ。

「…本当に憎たらしい奴ね。」

若葉は反射的に腕で頭を覆った。


激しい物音に、全員が音の方向を向いた。車が吹っ飛んできた。派手に炎を上げている。乗っていた馬鹿が火だるまになって出てきた。その身体は、巨大な金色の狼の脚に踏み潰されて消えた。赤い炎が金色の毛並みを鮮やかに照らしていて、その神々しさが際立っている。


「どうして…。」

光琉の赤い目と小麦の金の右目がぶつかった。小麦は怒っている。何に対して?

「来るな!こいつらがどうなっても…。」

リーダーは光琉の首筋に爪を押し当てて、小麦に話し掛ける。その途端、彼の身体が傾いたと思うと、脆くも崩れていった。あっという間に三人は風に乗って流れていった。


光琉は大きく息を吐いた。眼前に舌なめずりをしている狼がいるのに、これほど心強いことはない。

「その足はどうした?」

小麦は静かに尋ねた。

「逃げようとしたら折られました。そんなことより、何のためにいらしたのですか?」

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