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狼と呪いの紅玉  作者: 馬之群
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連なる孤独(3)

馬鹿は拳を振り上げるが、そこでリーダーの太鼓持ちと思われる男性が言った。

「見ろ。銃を持っているぜ。」

太鼓持ちは光琉のバッグから古びた拳銃を取り出す。リーダーは慣れた手付きで弾丸を取り出した。

「銀の弾丸が一発だけか。」


リーダーは撃鉄を起こして、光琉の額に銃口を押し付けた。赤いカラーコンタクトを入れた目が、光琉の赤い目を冷たく睨んでいる。光琉はケロッとしている。

「怖くないのか?」

「それなりに死線を潜ってきたから。それに、君は撃たないだろう。僕を殺すつもりなら此処までわざわざ連れてこないさ。」

リーダーは大声で笑った。光琉の額から銃口を除ける。


「肝は座ってんな。あんたが山神小麦と一緒にいるのを見たことがある。その目の色からして、あんたはヴァンパイアだろう。ロードに引き渡せば報酬がたんまり手に入りそうだな。」

多分口封じに殺される方ですよ、と思いながら光琉はリーダーを睨んでいた。


「君らに玉兎と繋がりがあるとは思えない。あいつは誰でも会えるような存在じゃない。」

太鼓持ちが光琉を殴った。

「あんたに心配される謂れはねえよ。」


玉兎に引き渡されるくらいなら死んだ方がマシだと思いながら、光琉は黙り込んだ。彼らは光琉に猿ぐつわを噛ませてもいない。いよいよとなったら…。光琉はそこまで考えた所で目を閉じた。早まることはない。見るからに彼らは思慮深い方ではない。逃げ出す機会だってあるかもしれない。


「いくらだと思う?僕の値段は。」

全員がリーダーを見た。リーダーは腕を組んで言った。

「んー。百、いや、五百万だな。」

誘拐犯がはしゃいでいるのを、光琉は冷めた表情で見ていた。五百万か…。安すぎる。光琉の価値を知る者なら、最低でも億は要求するはずだ。


「僕に良い提案があるんだけど。もっと金を稼げる提案だ。」

馬鹿が文句を付けるのを、リーダーが阻止した。リーダーは言った。

「言ってみろよ。」

光琉はニヤリと笑った。

「君が言うように、僕を玉兎に引き渡せば金になるかもな。でも、玉兎は君に対して絶対的な権限を持っている。交渉の余地はないから、大した額にはならない。最悪、タダだ。」


馬鹿は考えるのを諦めた表情だ。太鼓持ちは言った。

「で?」

「小麦様に僕の身代金を要求すればいい。一千万は固い。」

間抜けな誘拐犯は本当に思い付いていなかったようだ。


「天才か?」

馬鹿が目を円くした。

「ウェアウルフのロードを脅迫しろと?俺らもそんな馬鹿じゃねえ。てめえが助かりたいだけだろうが。」

太鼓持ちが核心を突いてきた。光琉はまだ笑っている。


「当たり前だろう。僕は助かるし、君らは金が貰える。ウィンウィンな提案だと思うけど。それに、小麦様からの報復を恐れることはない。玉兎に上手く報告すれば守ってくれるさ。」

太鼓持ちを脇に避けて、リーダーが光琉の前に進み出た。

「ウェアウルフのロードがヴァンパイアのために一千万も払うものか。」


「それこそ特別な間柄でなければ僕を匿わないよ。僕は小麦様の愛人だ。僕のためなら小麦様は気前よく札束を積み上げるはずだよ。」

光琉はいけしゃあしゃあと言った。光琉にはリーダーの心が揺らいでいるのが手に取るように分かる。

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