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狼と呪いの紅玉  作者: 馬之群
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連なる孤独(1)

「今後も光漓に会うことになるでしょうから、少しご説明させて頂きます。光漓は常に涙石と血酒石を持っているようなものだとお思い下さい。無闇に近付くと呪い殺されます。」

光琉は小麦に説明した。小麦はボロボロになった着物を投げ捨てた。


「お前が私の脚を傷付けたのは何だったのだ?」

光琉は躊躇したが、話しておくことに決めた。

「僕は単体でいる時にはただの無能なヴァンパイアですが、光漓に触れている時だけは、涙石や血酒石を保有している以上の力を発揮出来ます。あの場にいた全員を瞬時に葬れるくらいの力はありましたよ。だから僕を血眼になって殺そうとする者がいるわけです。」


小麦はそんな力を持つヴァンパイアの存在など聞いたこともなかった。謎が多すぎる。

「いい加減話せ。光琉、お前は何者なのだ?」

小麦は光琉を睨む。

「話したくありません。それを知ってしまったら、小麦様も僕を棄てるはずです。」

小麦は昨晩の光琉と真白の会話を思い出した。光琉は怯えたような目をしている。小麦は詮索を止めた。


「少し正の所に行ってくる。」

小麦は言った。光琉と目を合わせてくれない。

「お一人で、ですか?」

「嗚呼。お前にはお使いを頼みたい。今放送中のアニメのグッズが都内で販売しているらしい。缶バッジが全四種類だ。全て買ってこい。」


光琉は小麦の真意がそこにはないと思ったが、敢えて追求しようとは思わなかった。きっと光琉への今後の対応について、正と相談したいのだろう。

「承知致しました。どうぞお気を付けて。」

光琉は小麦を見送った。此処から逃げ出そうにも行き場がない。光琉は成り行きに身を任せようと思い、ただ祈るしかなかった。


小麦は土浦家の呼び鈴を鳴らした。玄関はすぐに開いた。

「ようこそお越し下さいました。どうぞ中へ。」

こぢんまりとした家には、少ないながらも良質で手入れの行き届いた家具が並んでいる。小麦にとっては自宅以外で唯一落ち着ける家だった。


「光琉のことでいらしたのでしょう。」

正は高級な緑茶と和菓子を出した。小麦は一服する。


「まあな。頭が切れることも敵に回したくない要因だし、昨晩見せた人外にしても異常なほどの力も気にかかる。制限は大きいようだが、その力は脅威となる。」

「正式に光琉を処分なさるのですか。」

小麦は答えなかった。


「お前はどう思う?」

正は言葉に詰まった。小麦が意見を問うのは珍しい。

「私の考えを正直に申し上げれば、決して此方の味方とならず、敵に回せば脅威の大きい人物を生かしておく必要はないかと思います。」

小麦は微かに眉をひそめる。


「そうだよな。」

「ですが、上手く利用出来れば見返りが大きいことも事実です。どういうわけか、ヴァンパイアはこぞって光琉を殺すために戦力を割いているのですよね。これは好都合でしょう。それに、彼は真白に危険が及ばない限り、私たちの味方です。あとは小麦様がご判断下さい。」


正がこう言ったのは、小麦が光琉を生かすための口実を探していると思ったからだ。仕える者としてではなく、叔父として、自分の個人的な感情より、小麦の決断を支持したかった。

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