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狼と呪いの紅玉  作者: 馬之群
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狼の連続死(8)

「良かった。正、すぐに此処を離れろ。」

小麦は正に駆け寄った。正は驚いたようだが、すぐに答えた。

「直々にご命令とあれば。理由を訊くべきでは御座いませんか。」

「それは…。後で話そう。」


正は去ろうとする。光琉は呼び止めた。

「帰り道で真白様にお会いしたらどうなさいます。小麦様のお傍にいた方が安全では御座いませんか。」

正は小麦に向かって言った。

「どういうことです?真白が来ると言うのですか。」


「光琉、お前は黙れ。後で話すから、正は下がっていろ。」

小麦は苛立ちながら言った。光琉はまだ会話を引き延ばそうとした。

「もう真白様がいつお見えになってもおかしくありません。近くにおられます。」

小麦は光琉を叱り飛ばすが、光琉はあまり聞いていなかった。本当に近くに真白がいるからだ。


「光琉、そろそろ来ると思っていたよ。」

光琉は自分の置かれている状況も忘れ、感動で胸が詰まりそうだった。真白は紺色で花柄の着物を着て、優しそうな眼差しで光琉を見ていた。


「真白様…。申し訳御座いません。二人ほど余計な方がいらっしゃいます。」

真白は怒り狂っている小麦と困惑気味の正を見て、眉をひそめる。

「姉上、叔父上、お元気ですか?あまりお会いしたくは御座いませんでした。」

「その後ろの者は誰だ?」

正は言った。


「光漓、お前がいるということは…。」

光琉はそこで言葉を切った。光漓は光琉を睨んでいた。

「お待ち下さい。状況を整理しましょう。」

小麦が帯に手を伸ばそうとするのを見て、光琉は言った。


「小麦様は涙石をお持ちです。真白様は血酒石をお持ちです。光漓は両方を持っていると思うと、膠着状態になりますね。」

みんなが一斉に光琉を睨んだ。

「だってそうでしょう。小麦様が真白様や光漓を殺そうとしたら、その前に真白様と光漓は正さんを殺せます。真白様や光漓が小麦様や正さんを殺そうとしたら、小麦様が真白様の喉笛に咬み付けるでしょう。違いますか?」


全員が黙りこくった。相手の出方を窺っている。

「光琉、お前は誰の味方だ!わざと正を残してこの状態を作り出しただろう。」

「当然でしょう。僕は真白様のためにしか動きません。我ながら良い提案だと思いますが?」

光琉はずっと真白しか見ていない。


「血を見るのは嫌です。この中の誰も傷付かないで欲しい。平和的解決をしましょう。取り敢えず真白様とお話しさせて下さい。」

誰も止めなかったため、光琉は勝手に続けた。

「僕は真白様と一緒に行きたいです。どうか、僕をお連れ下さい。」


真白は困ったような、哀しそうな表情で光琉に向かって首を横に振る。

「止して、光琉。私の背後にいる方はお前の存在を赦さない。連れて帰ったら、私はお前を殺さないとならなくなる。」

「そうですよ、真白様。何が何でも光琉だけは殺さないと。光琉を殺しても、小麦は止めませんよ。手を出したら正が危ないし、正に比べれば光琉の命は軽いでしょう。」

光漓が言った。


「口を挟まないで。」

「口を挟むな。」

真白と光琉は同時に言った。二人は顔を見合わせる。

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