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狼と呪いの紅玉  作者: 馬之群
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狼の連続死(6)

「彼らはプライベートでも殺しをしています。ヴァンパイアが行きずりの女性相手に派手な吸血致死を繰り返し、死体は遠藤が食べるという関係性であるようです。警察に捕まり、このような関係性が知られては…。」

「我らの誇りが地に墜ちる。」

小麦は眉を吊り上げる。


「よくぞ誰にも知らせずに私の所まで来た。今後も何かあれば遠慮なく来るがよい。その愚か者は何処にいる?」

警官は答えた。

「詳しくは知りませんが、Y県です。土曜の夜に蓬莱橋で遠藤を見かけたと聞いて、日曜日の未明に確認に行ったのですが、誰もいませんでした。その後の消息は分かりません。」


ウェアウルフが土曜日に殺される事件が起きた県で、土曜日にウェアウルフが失踪した。偶然と思うほど楽天家ではない。

「争ったような跡はなかったのか?」

小麦も同じことを思っていたようだ。


「実は、痕跡を消したという痕跡はありました。一仕事した後だったのだろうと思っております。」

小麦はそれ以上追求せず、警官を帰らせた。光琉は食器を下げた。


「思わぬ収穫だった。そやつはもう死んでおるだろうな。自業自得だ。跡を消したのはヴァンパイアか。そうなると、向こうの事件は続いていることになる。」

小麦は独り言にしては大きい声で言った。光琉はようやく規則性に気付き、自分の馬鹿さ加減に嫌気が差していた。


洗い物を終えた光琉はスマホで地図を確かめた。次の事件現場は恐らく、平和通りだ。来週の土曜日には一人でそこに行けばいい。光琉は不謹慎にも笑った。

「こうなったら、土曜日に私が巡回するしかあるまい。」

小麦は溜息を吐いた。

「場所が広すぎます。僕も参りますから、手分けして探しましょう。」


「お前が犯人と遭遇したら何か出来るのか?相手は相当な手練れだ。私一人の方が良い。足手まといはいらん。」

小麦は嘲笑った。

「犯人はウェアウルフしか狙っていません。ヴァンパイアを襲うことはないでしょう。僕が犯人に出くわしたら、すぐに小麦様に電話すればよいのではありませんか。」


光琉は言った。小麦は考える。

「自己責任で付いて来い。」

「承知致しました。」

これで光琉が土曜日に平和通りにいても見咎められることはない。光琉は喜んだ。


金曜日になった。小麦は相変わらず犯人の目星も、犯行場所も予想が付かなかった。

「何と間の悪い…。」

小麦はスマホを見ながら言った。

「どうかなさいましたか。」

「正が明日の夜、平和通りに行くそうだ。」


光琉の心臓が凍り付いた。

「そんな危険な…。無論キャンセルさせましたよね?」

「今命じた。…どうも、重大な用事らしいぞ。一人で行くのか。困ったな。」

土浦家の次男である正の縄張りはとても広く、県を跨いでいる。外出禁止令はその県に住んでいるウェアウルフにしか出されていなかったようだ。


「まあ、平気だろう。正がヴァンパイアの数人にやられるとは思えぬ。おまけに平和通りは県境に近い。」

小麦は事の深刻さが分かっていない。光琉は焦った。このままだと正は死ぬ。それを止めるには詳しい事情を説明する必要があり、そうするとある方が危険に陥る。光琉はどうすべきか迷った。

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