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狼と呪いの紅玉  作者: 馬之群
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狼の連続死(4)

真珠は深く溜息を吐いた。事務処理に飽きたのだ。

「真珠様、山神家から来た件の調査には誰を行かせたのでしょうか。」

部下の一人が言う。

「調査は行わない。」


「ですが…。」

部下は言い掛けたが、真珠が遮る。

「ですが、何だ?言ってみろよ。」

部下は慌てて謝った。

「申し訳御座いません。差し出がましいことを申しました。」


真珠はまた溜息を吐き、時間が経って渋くなった紅茶を飲んだ。

「ヴァンパイアはこの件に一切関わっていない。だから俺には調査の義務もないし、しようとも思わない。いいな?」

「はい。」

真珠はまだ何か言いたそうな部下を無視した。誰の仕業かは真珠もよく分かっている。しかし、玉兎の不興を買うことは避けたかった。


光琉の体調が治ったことで、若葉は職場に戻ることになった。ルリがいなくなったため、猫の手も借りたい状況なのだという。再びウェアウルフが死んだという知らせを受け、小麦と光琉は現場に急行した。


光琉はウェアウルフが殺された現場に来て、すぐに犯人が誰なのか分かった。近くに懐かしい気配を感じたためだ。

「どう思う?」


光琉はゆっくりと答える。

「…何とも言えません。」

これ以上放っておけば更なる犠牲者が出る。それでも、光琉の口からはその人物の名を言えなかった。

「取り敢えず調べてみましょうよ。」

「ふむ。」


全員が狼の姿で死んでいるため、警察はいなかった。最後の被害者の遺骸はウェアウルフに保管してもらっていた。光琉は手を合わせ、瞼を開いてみる。変わった所はない。毒や呪いの類で殺された訳ではないのだろう。

事件の概要を聞いても、ターゲットは無作為に選ばれているように見える。一人でいたウェアウルフを適宜襲っているようだ。場所も決まっておらず、人通りの少なそうな場所だった。


「決まって土曜日なのですね。」

光琉は確認した。報告していたウェアウルフが頷く。

「はい。」

「勤め人なのか?力あるヴァンパイアであっても、本家の者ではないということか。」

小麦が言った。


光琉は敢えて否定しなかったが、これは曜日を限定することで会いに来られるように誘導しているように感じられた。つまり、場所も特定出来るようにしているはずだ。

「地図はありますか?」

光琉は現場を書き込んでいく。近くに固まってはいるが、バラバラで規則性は見られなかった。


石井薬局、ロー〇ン××店、浜田公園、西川内科。どれも距離は遠く、共通点は見当たらない。

「待てよ。もしかして、被害者の方か?」

安藤ナツ、約百二十歳、木村宗一郎、約五百歳、渡辺麗子、約四百歳、南宏作、約百五十歳。職業はバラバラで、接点もないようだ。


光琉は諦めなかった。家に帰ってからも資料の山に埋もれて、真剣に手掛かりを探していた。

「真珠から連絡が来た。」

小麦は言った。

「ヴァンパイアは今回の件に一切関わっていないため、調査に協力出来ないと。ふざけている。案外奴が犯人かもな。」


「真珠ではありません。動機がないでしょう。百歩譲って、実行犯が真珠だとしても、玉兎に命令されているはずです。」

光琉は即答した。

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