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狼と呪いの紅玉  作者: 馬之群
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光と影の邂逅(7)

「伏せて!」

小麦はその声に反応して身を伏せた。頭を誰かに抱えられたと思うと、体中を衝撃が貫いていった。爆発が起きたらしい。衝撃が収まり、小麦はようやく起き上がった。小麦が起きた弾みで、小麦の頭の上に乗っていた身体が倒れる。


「おい、光琉、しっかりしろ。光琉!」

光琉は爆風をもろに浴びていた。それにしては傷が浅いようだが、古傷が開いたようだ。両目からは黒い液体が流れている。周囲のヴァンパイアは一人残らず撤退していた。


「僕は平気です。それより、人が来るでしょう。すぐに此処から離れなくては。」

小麦は光琉の身体の下に潜り込み、光琉を背に乗せる。光琉は掴まるのがやっとだった。小麦は軽やかに家までの道を駆け抜けた。人間の目には金色の風くらいにしか見えなかったはずだ。


小麦は光琉を咥え、家の中に引き摺っていった。小麦はどうしたらいいか分からなかった。

「小麦様、お怪我は御座いませんか?」

光琉は目を瞑ったまま、声を振り絞った。

「自分の心配でもしていろ。」

小麦は知り合いに電話していった。若葉がすぐに来られるという。


「光漓は…どうなりました?」

「逃げられた。説明してもらおうか。お前と瓜二つだった。面識もあるようだな。どういう関係だ?」

小麦は人間に戻って服を着た。

「清水光漓は僕の…妹みたいなものです。少々仲が悪いですが。」


小麦は光琉の言い方が引っ掛かった。妹みたいなものとは何だ?妹ではないのか。

「お前らの言う、肉の妹か?」

光琉は寂しそうな表情をした。押し殺すような声で言った。

「そんなものは、とうに…。」

黒い液体が涙のように見える。小麦はそれ以上尋ねるのを止めた。

「ゆっくり休め。」


清水光漓と長谷川光琉、か。調べてみる価値はありそうだ。

「ただいま戻りました、ロード。」

真珠は玉兎に頭を下げた。玉兎は砕牙丸の手入れに余念がない。真珠に一瞥もくれなかった。

「ご苦労。他に私に言いたいことはないのか。」


真珠は疑念の数々をぶつけようとは思わなかった。経験上、答えてくれないことは分かり切っている。

「何も御座いません。」

玉兎は横目で真珠を見た。ゾッとするような美しさだった。

「入れ。」


玉兎の呼び掛けに応えて入ってきたのは、紺色で花柄の上品な着物を身に纏い、亜麻色の長い髪を優雅に纏め上げ、金色の鋭い目をした、実に美しい女性だった。唇はふっくらとした艶のある珊瑚色で、肌は吸い込まれそうなくらい滑らかでしっとりした、真っ白な色合いだった。着物を着ていても、曲線美を描いている体つきが分かる。


「山神真白だ。名前くらいは聞いたことがあるだろう。」

玉兎は平然としていた。真珠は思わず質問する。

「ウェアウルフのロードの妹御が、どうして此処においでなのですか。」

玉兎は笑った。


「良いことを教えてやろう、真珠。多くの情報を持つ者は、情報を持たない者より長生きする。だが、下手に多くの情報を得ようとする者は、情報を得ようとしない者より早死にする。」


玉兎は真白を下がらせた。真珠は釘を刺された気分だった。

「肝に銘じます、ロード。」

光琉にそっくりな少女、光漓の登場で主要な登場人物は最後です。真白様(人間ver.)はこの作品の唯一の美女です。他の女性キャラが女らしくないということもありますが、それを抜きにしても綺麗な人です。光琉でなくても崇拝したくなりそうな見た目です。光琉は外見に惹かれているわけではないですが、光琉のタイプは真白様がベースです。

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