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狼と呪いの紅玉  作者: 馬之群
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光と影の邂逅(4)

夕食後、二人は洗面台に行き、光琉が小麦の肌に優しく牙を突き立てた。

「いつもより痛くないな。」

「空腹時の方が、案外上手くいくものなのでしょうか。」

光琉は口元を拭いながら笑う。


「改めて訊こう。ここ数日、お前を匿っていたのは一体誰だ?」

小麦は急に真剣な顔つきになった。

「僕が言うと思いますか?」

「言わないだろうな。しかし、いつでも私の元を離れて潜伏出来るという状況は芳しくない。本格的に捜査していたわけではないが、手掛かりも掴めなかった。」


光琉はじりじりと小麦から離れていった。小麦も距離を詰める。

「御心配には及びませんよ、小麦様。食事の問題があるでしょう。僕も無闇に小麦様から離れられません。」

「それさえお前の嘘でないと、私には断言出来ぬ。これ以上庇いだてするようなら、今度は足を喰らうぞ。」


暫く二人は睨み合っていた。光琉はフッと笑って言った。

「服が小麦様に破かれていたでしょう。『ウェアウルフに襲われた。匿ってくれ。』と言っただけでヴァンパイアは協力してくれましたよ。名前も知りませんが。ロードは僕の情報を真珠にさえ伝えていないので、並みのヴァンパイアが僕を裏切者と認識しているはずもありません。」


小麦は顔をしかめた。周囲のヴァンパイアを狩り尽くすことは出来ない。

「玉兎の奴、詰めが甘いな。分かった。そのヴァンパイアは特定しないでおこう。二度と接触するな。」

光琉はニヤリと笑った。

「仰せのままに。」


光琉は風呂に入るために脱衣所に向かった。不意に戸が開き、小麦が入ってきた。まだ服を脱いでいなかったとはいえ、光琉は衝撃のあまり声も出なかった。

「どうしたので?一緒に入りたいとでも言うのですか?」

「いや、その服は脱ぎにくかろう。手伝ってやる。」

光琉は小麦から逃げるように隅に行った。


「御心配には及びません。」

小麦は詰め寄ることなく言った。

「上着を取るだけだ。上半身くらい見られても問題なかろう。」

「ですが、僕などのために小麦様の手を煩わせるわけには…。」

光琉は懸命に弁明するが、ゆっくりと近寄ってくる小麦を見て諦めた。


「それはどうした?」

小麦は光琉の胸元に巻かれたさらしを見て言った。光琉は言いにくそうに説明した。

「実は、軽く負傷しまして。手当てしてもらいました。」

「まだ風呂に入ってはならんのではないか?貸してみろ。私が解いてやろう。」

光琉は断固拒否した。小麦は諦めた。


「強情な奴だ。好きにしろ。何かあったら呼べ。」

小麦は出て行った。光琉はホッとした。

「そうだ、光琉!」

小麦は扉の外から怒鳴った。


「香水でも付けたのか?私は鼻が利くから止めろと言っているだろう。」

「申し訳御座いません。断り切れなくて、つい。数日で匂いは抜けるそうですので、ご辛抱下さい。」


真夜中、住人が寝静まった頃、廊下をひたひたと歩く人物がいた。月夜に映える真っ白な髪、光琉である。光琉は真珠の所に行き、人差し指を唇の前に立てた。

「光琉、どうして俺を助けるのだ?」

「僕は光琉では御座いません、真珠様。ロードの命令で参った者です。」

ロープは簡単に解けた。真珠は手首を回す。

「改めて初めまして。清水光漓と申します。」

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