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狼と呪いの紅玉  作者: 馬之群
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知りたがりと秘密主義(6)

「光琉、お前が付いていながら何たるざまだ。」

小麦は光琉を電話越しに叱り飛ばす。

「申し訳御座いません。確かに今日は質問ばかりなさっていて、おかしいとは…。」

光琉は固まった。


「どうした?」

小麦は不機嫌に尋ねる。光琉はブツブツと呟いている。

「だから、やけにヴァンパイアに噛まれたらどうなるか知りたがっていたのか。それだけじゃない。玉兎についてもやけに知りたがっていた。」


光琉はハッと顔を上げる。慧の不可解な言動と、薬物に侵されていることが全て繋がったのだ。慧が危ない。

「掛け直します。」

光琉は乱暴に電話を切り、慧の病室に向かって駆け戻った。


ハリは慧の荷物からルビーを回収し、点滴に何かを足して、病室から出て行こうとしていた。慧は薬への抵抗が低い方だったようで、思ったより早く限界が来てしまった。ハリはこの事態に頭を悩ませていた。玉兎に叱られる。


「動くな!」

病室のドアが荒々しく開き、光琉が入ってきた。左手には銃を持っている。

「病院で物騒な物を出すなよ。」

「銀の弾丸入りだ。大人しく手を挙げて…。」

光琉は言い淀んだ。ハリはルビーを見せびらかし、慧に触れている。


「彼を殺したければ好きにしろ。別に僕の恋人じゃない。小麦様には手遅れだったと言えば済む話だ。」

光琉は淡々と言った。

「昔から自分勝手な奴だ。あれだけ殺しておいて、今更人一人見殺しにしても心が痛むはずがないよな?だが、俺は捕まるわけにはいかない。死んでも秘密を守る。撃っても良いぜ。」


ハリは慧を持ち上げて盾にした。光琉が撃つのを躊躇っている隙に、病室の窓を蹴破って飛び降りた。光琉は床で呻く慧を無視して窓辺に駆け寄る。ハリは人ごみに紛れ、光琉の腕では撃てなかった。


「チッ。あいつ、僕のことを知っているのか。ということは、最初から僕を狙って…。」

光琉はハリを追うのを諦めた。他にも仲間がいるかもしれない。慧を一人に出来ない。

「大丈夫でしたか?」

光琉は慧を助け起こす。慧は泣きそうな表情だった。相変わらずぐったりとしている。

「なんとか。ごめんなさい、僕は貴方を殺そうと…。」


「お気になさらず。少し休養なさって下さい。落ち着いたら話しましょう。」

光琉はナースコールで、不審者が出たと伝え、点滴も病室も換えてもらった。病院内で電話出来ないことをもどかしく思いながら、看護師に見張らせて小麦に連絡を取りに出た。


「小麦様、慧さんはヴァンパイアに狙われているようです。僕はお迎えに上がれません。そこからなら、ルリさんの研究所が近いはずです。誰かに送ってもらって下さい。必ず家に寄って、涙石を持って来て下さいね。」

「慧はどんな状態だ。」

小麦は心配そうに訊き返す。


光琉は正直に言って、深刻な状態だろうと思っていた。侵入者は慧に止めを刺さなかった。既に致死性の毒を盛られている可能性が高い。しかし、小麦を安心させようとして、嘘を吐いた。

「大したことはありませんよ。ただ、回復を早めるために涙石を持って来て頂けると助かります。」

「分かった。すぐに行く。」

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