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狼と呪いの紅玉  作者: 馬之群
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知りたがりと秘密主義(3)

慧はハリに呼び止められ、話をしていた。ハリと慧は公園のベンチに座り、白木蓮を眺めながら会話した。

「山神小麦とデートしている所を見かけたもので、忠告しておこうと思ってね。」

ハリは池に小石を投げ込みながら言った。

「小麦は光琉に恋をしている。」

ハリは真剣な面持ちで言った。


「まさか。とてもそんな雰囲気には見えませんでしたよ。」

慧は笑い飛ばす。ハリは尚も真剣な様子だ。

「小麦はウェアウルフの基準からすれば若いから、好きな子にちょっかいを掛けたり、別の異性と親しくなって嫉妬心を煽ろうとしたりするような恋愛観しか持ち合わせていない。傍目には気付かないよな。」


「そんなもの、何とでも言えます。」

慧は納得しない。

「人外の常識を知らないから無理もないが、元来ヴァンパイアとウェアウルフは相容れない存在で、ましてやウェアウルフのロードがヴァンパイアを傍に侍らすなど、あり得ないことだ。小麦が光琉に好意を持っていることは間違いない。」


慧は思い当たる節がないわけではなかった。やけに楽しそうに光琉の愚痴を延々と聞かされたし、光琉のための土産として指輪まで買っていた。並の神経ならばデート中に他の異性への贈り物を買わないだろう。時折、慧の背後に光琉を重ね合わせ、比較しながら慧と接していたように思われてならなかった。


「そうだとしても、光琉さんは小麦さんにただ仕えているだけだと言っていました。僕と小麦さんのことを応援してくれていますよ。小麦さんも普通に僕とお付き合いしてくれるようです。」

慧は余裕な表情を崩さない。それでも、内心は疑念が頭をもたげていた。


「光琉は小麦の恋心を利用して立場を固めているのさ。光琉が今は応援しているように見えても、いつ掌を返されるか分からないぞ。」

慧は頭を回転させる。

「貴方は何者で、何のために僕に忠告なさるのですか。」

ハリはニッと笑う。


「俺はしがないヴァンパイアの端くれさ。個人的に光琉に怨みがあるのだが、小麦のせいで奴に近付けない。俺の代わりに光琉を呪い殺して欲しいと思ってね。」

慧は殺すというフレーズに驚き、警戒心を募らせる。


「人外は人間に正体を悟られたら、殺さないといけない。さもないと自分が死ぬからだ。期せずして光琉は自分の正体をあんたに知られたのだろう。気になって見張っていたら、あんたが悲鳴を上げて山神家を出るのが見えた。小麦の目の前で始末する訳にいかないだろうが、機会があれば光琉はあんたを殺すはずだ。先に動かないと。光琉さえいなければ、あんたの立場は安泰なのだから。」


慧は返答に詰まった。小麦が正体を明かしてくれた時、光琉は小麦を止めていた。正体を知られたくないと思っているのは明白だ。ハリの話は筋が通っているように思われた。

「僕は何をすれば…。光琉さんの正体を他の人に明かせば良いのですか?」

「それだけは駄目だ。」


ハリは初めて凄む。慧はドキッとした。

「確かに、通報されれば光琉は死ぬだろうが、俺の首が危うくなる。暗殺しなければ。これを使え。」

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