表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
狼と呪いの紅玉  作者: 馬之群
35/401

借りてきた狼(2)

「はい。」

光琉がドアを開ける。

「あれ、若葉さんか。ルリさんは忙しいのかな。」

「気安く話しかけないで。何であんたに説明しないといけないの。」

若葉は光琉を睨みつけるが、一向に動じる気配がない。

「風当たりがキツイね。どうぞ中へ。小麦様がお待ちですよ。」


光琉は笑いながら若葉を中に通す。若葉はこめかみに青筋を立てながら付いて行く。客間には藍色の着物を身に纏い、艶やかな短い黒髪を弄ぶ、小さな王者が鎮座していた。

「若葉か。久しいな。息災だったか。」

「お陰様で。小麦様におかれましても、お元気なようで何よりです。」


光琉は二人にお茶を出した。若葉は上納金を小麦に手渡す。

「おお、今回は多いな。光琉、映画でも観に行かないか。」

「小麦様、皆さん苦労して稼いだお金なのですから、目の前で遊びに誘わないで下さいよ。少しは気を遣ってあげて下さい。」

光琉は苦笑いした。


「構いませんよ。一度お渡しした以上、そのお金は小麦様の物です。どのように使われようと文句など御座いません。」

若葉は懸命にフォローする。小麦は笑った。

「若葉は器が大きいな。ルリにも礼を言っておいてくれ。あまり無理せずともよいからな。お前も忙しかろう。下がってよいぞ。」


「あの、小麦様。もし宜しければ、暫く此方で小麦様のお手伝いをさせては頂けませんか。ルリ様には許可を取ってあります。」

小麦は驚いたようだった。

「私は構わんが、退屈だと思うぞ。依頼人など殆ど来ないからな。」

「お傍にいられるだけでありがたいのです。どうかお願い致します。」

若葉は熱っぽく語る。


「好きにしろ。光琉、面倒を看てやれ。」

「畏まりました。」

若葉は顔を綻ばせる。光琉もニヤリと笑った。

「物好きだね。」

光琉はボソッと呟く。若葉は光琉を睨みつける。


「力仕事を任せても良いかな。漫画が溜まったから、本棚を新しくしたんだけど、一人じゃ運べなくて。」

若葉の怒りをものともせず、光琉は呑気に言った。

「命令しないで。不愉快よ。」

「あれ?小麦様のためなのに、断るんだ。所詮は口だけってことだね。」


光琉は大袈裟に驚いてみせる。若葉は大きく舌打ちする。

「ホント、良い性格してるわ。何処に運べばいいの?」

光琉はニヤニヤしながら若葉をこき使った。


「ちょっと、それはまさか、小麦様の夕餉じゃないでしょうね。」

若葉が指さしたのは、出来合いの唐揚げが大量に乗った大皿二つと、付け合わせ程度の野菜、大量の菓子が並べられた食卓だった。

「ごめん。若葉さんの分は別に用意するから。小麦様は偏食家なんだよ。」

若葉は開いた口が塞がらなかった。


「そんな…。たとえそうだとしても、小麦様の健康のために努力すべきでしょう。職務怠慢だわ。私だったら、絶対にこんなことはしないのに。」

光琉は聞き流す。

「だったら、若葉さんがやってみなよ。あ、駄目か。小麦様が傍において下さらないから。」

「このっ…。」

若葉は怒りのあまり言葉を失う。光琉は小憎らしい笑みを浮かべている。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ