表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
狼と呪いの紅玉  作者: 馬之群
33/401

鈴の共鳴(10)

小麦は光琉の襟から口を離した。真白の元に向かおうとする光琉の前に立ちはだかる。廊下が騒がしくなってきた。

「小麦様!どうかなさいましたか。」

狼どもの声がする。真白はそちらに向かって駆け出した。小麦が後を追うが、血の匂いが強まった。真白の血酒石も中心が仄暗くなっている。誰かが呪われたようだ。

「彼らを捨て置けるなら追ってきて下さいな、姉上。」


「待て!」

小麦は口では言ったが、ウェアウルフの元を離れることが出来ず、真白を追うのを諦めた。真白は彼らに怨みがあるわけでもないので、全員傷は浅かった。


小麦は光琉の元に戻る。光琉が持ってきた着物を咥えて光琉の後ろに行き、人間に戻って服を着た。光琉は放心状態になっていた。目の焦点が合っていない。

「どうして邪魔をしたのですか…。小麦様が邪魔をしなければ、また置いていかれることもなかった。」

「何を言うか。あのままだと殺されておった。」

小麦は光琉の向かいに屈む。


「それが何です?小麦様には関係ないでしょう。」

小麦は光琉の横っ面を張った。派手な音が鳴る。光琉は倒れた。頬は真っ赤になり、口は切れ、鼻血も出ている。

「…関係ないだと?馬鹿にするな。同居人が妹に喰われるのを見て、関係ないと割り切れるほど薄情な女と思ったか。ロードだろうが人情は持ち合わせている。見くびるな。もっと自分を大切にせんか!」


小麦は泣き出しそうな表情を見せたが、スッと目を逸らした。歯を食い縛っているようだ。光琉は寂しそうに笑って目を伏せる。

「申し訳御座いません。来世のためにご忠告をありがたく賜ります。」

小麦は立ち上がり、いつもの冷たい目で光琉を見下ろした。

「いや、現世から守ってもらわねば困る。」


光琉はハッと顔を上げた。小麦はニヤリと笑う。光琉は自虐的な嘲笑を浮かべる。

「ご立派なロードだ。ヴァンパイアを助けようとウェアウルフを殺め、ロードの敵に付こうとしている者を、また見逃すおつもりですか?同胞に何と説明なさるのですか。」

小麦は光琉に顔を近付ける。光琉も負けじと睨み返す。


「そうだ。お前の言う通り私はウェアウルフのロードだ。より大きな利益のために、個々を顧みない場合もある。私は真白の接近に気付かなかった。お前だけが事前に悟った。それがなければ此処にいるウェアウルフは全滅していただろう。」


小麦の金色の瞳に光琉の姿が映る距離に迫った。

「私以外はお前の背信行為を知らぬ。隠蔽すれば問題はない。今後はヴァンパイアなどお前に近付くことも出来ないように見張ればよい。死なすには惜しい能力だからな。真白を殺すには欠かせない。」


小麦は光琉に左手を差し伸べる。光琉は荒々しく払い除ける。

「僕は貴方なんかには絶対に忠誠を誓えません。今に貴方を裏切って、真白様の元に帰ってみせますからね。」

光琉は怒りを押し殺して言った。小麦はドアを押さえながら振り向いて笑う。

「その前に真白を殺してやる。楽しみに待っていろ。」

ようやく真白様(狼ver.)の登場です。プロットを見返すと、次の出番は8話くらい先になっていました。長すぎますね。タイトルに反して呪いの紅玉(血酒石)が出てこないまま4万文字近く書いていました。自分が読者だったら離脱しているかもしれません。少しでも目を通して頂ければ十分ありがたいので、無理せずお付き合い下さい。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ