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狼と呪いの紅玉  作者: 馬之群
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檻の狼と尋ね人(3)

「情報の提供に感謝致します。ですが、それとこの件は…。」

「無関係だと言いたいのだろう。確かにそうだ。だが、犯人を捕らえられずに捜査を終えるのは不本意だろう。私は共犯者を知っている。お前のために探し出してやろう。」

堀田は少し心を動かされた。何の罪も犯していない人外を一人摘発するよりは、殺人事件の共犯者を捕らえた方が、総合的に見て実入りが良い。何より、ロードの機嫌を損ねる真似はしたくない。


「その話、本当ですか。」

「疑り深いな。良いことだ。名を教えてやろう。高橋由佳だ。現在は失踪している。ここまでは知っているのではないか。」

堀田は迷った。合っている。だが、何処に行ったのか手掛かりが皆無だった。こういう探し物は人外のネットワークを使った方が見つけやすい。


「高橋由佳を連れていらしたら、引き換えに土浦の身柄は引き渡しましょう。勿論、二度と捕らえません。期限は一週間とします。どうですか?」

小麦はニヤリと笑う。

「話が分かる奴で助かった。言っておくが、私を出し抜こうなどとは思うな。」

「勿論ですとも。」

堀田は心底ホッとした表情で小麦を見送る。


「あの少女は何方なのですか。要人のご令嬢ですか。」

部下の一人が言った。堀田は椅子にもたれ込み、力ない声で言った。

「とんでもない。化物の親玉だ。在職中に姿を拝めるとは思わなかったよ。出来れば二度と会いたくないものだ。」


小麦は堂々と人ごみを歩いていく。やがて後ろに気配を感じて振り返る。

「よくぞご無事で。」

光琉は心配していない口調で言った。

「当たり前だ。念のため涙石を持ってきたのも無意味だったな。終始私に怯えていたぞ。」

小麦は髪を掻き上げ、耳のダイアモンドに触れる。


「首尾は如何でしたか。」

「上々だ。あとは狼を集めればいい。今夜にしよう。このままあの公園に寄っていく。」

光琉と小麦は電車に乗り込んだ。

小麦と正が『御馳走』を食べた公園に着いた。由佳の家から近く、広いスペースがある。集会にはもってこいだ。


光琉は銀色の小さな笛を取り出し、唇に当てがった。人間の耳には何も聞こえなかったが、散歩中の犬が不意に吠えた。所謂犬笛である。

「これで今日の真夜中に召集を掛けられたと思います。」

「ご苦労。次は由佳の家に向かおう。」


先日訪問した時とは家の雰囲気が打って変わっていた。重苦しく、沈んでいる。光琉はインターホンを鳴らす。

「はい。あら、確か貴方たちは由佳の友達でしたね。」

「そうです。由佳さんが行方不明だと伺いまして…。」


母親の目元には涙の痕があった。光琉はこれから自分たちが行うことの罪深さを思って胸が痛んだ。小麦は平気な顔で言った。

「美玖に会いたい。連れてきてもらえるか。」

母親は客間から出て行った。程なくして美玖を連れてやってきた。


「お前は少し席を外せ。」

小麦は言いかけたが、流石に光琉が阻止した。

「申し訳ありませんが、席を外して頂けませんか。子ども同士で話したいのです。」

母親はお茶を淹れ、大人しく出て行った。

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