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狼と呪いの紅玉  作者: 馬之群
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ブランド服の殺人鬼(9)

男は無謀にも小麦に真正面から飛び掛かる。光琉は目を逸らし、首が折れる音を聞いていた。終わった。灰は灰に帰った。後には骨も残らない。

「ありがとうございます。それで…あの死体はどうしますか。捨て置きますか。」

「勿体ない。そこの水道で洗え。」


小麦は赤い舌を出して、口の周りにこびり付いた血を舐め取った。光琉は動かない。

「食べ過ぎですよ、小麦様。小麦様の体重の何倍あると思っているのですか。」

「人肉は別腹だ。それに、この身体だと胃袋が大きい。」

恐ろしい別腹だと思いながら、光琉は左手だけで死体を運んだ。


「この辺りには(ただし)さんがいらっしゃるはずですね。若葉さんも近かったですか。どちらか呼んでみますね。」

光琉はスマホで電話を掛ける。

「もしもし、正さん。光琉です。今新鮮な肉が五人前あるのですが、食べにいらっしゃいませんか。…違いますよ。小麦様が…。…そうです。…違います。生憎と僕は無事です。…ええ。二十代から四十手前までの男女です。…病歴まで知りませんよ。健康そうに見えますけど。場所は…です。」


光琉は電話を切り、死体の前に跪く。

「主よ、彼らに平安を与えたまえ。」

光琉は全員の服を脱がせ、冷たい公園の水で身体を洗った。小麦は気遣わしそうに公園の周りを周回する。


「小麦様、お久しぶりです。」

黒い狼が小麦に首を垂れた。小麦は歩みを止める。

「正、よく来たな。どれがいい?」

「おこぼれに預かれれば十分で御座います。」

真っ黒な毛並みで、赤い舌が一層赤く見えた。光琉は食事の風景を見たくなかったので、公園から出ようとする。


「外を見張ってきますね。」

暫くして、狼が二頭公園から出てきた。

「ついでに家に寄って行け。正の好きな歌手のCDが入ったぞ。」

「いえ、私は此処でお暇致します。御馳走を食べるのは程々になさいませ。光琉、小麦様をしっかりと導けよ。」

光琉はお辞儀をした。黒い狼は闇に紛れて消えた。二人は家に帰る。


「疲れました。結局僕は誰も救えませんでした。由佳さんも見つけ出す術がないのですから。全てが無駄でした。」

「あの馬鹿を処断出来たし、私の腹も膨れた。脳足りんでも、流石に脳みそは珍味だった。」小麦は風呂場に向かう。

光琉は脱衣所に着物を用意する。


「奴らの脳みそと僕の右腕ではどちらが美味しかったですか?」

光琉は冗談めかして言った。水音に混じり、くぐもった声で返事が聞こえてくる。

「妬いておるのか?()い奴だ。」

誰が嫉妬するものか。光琉は眉をひそめる。小麦は一呼吸おいて言った。


「お前の右腕は、私が今まで食べたものの中で極上の味だったぞ。」

「…それは光栄ですね。」

光琉は苦笑した。全身を喰われないように気を付けないと。

作者にはミステリーを書くほどの頭脳がないので、ミステリーだと思って読んではいけませんよ。どうか温かい目でご覧下さい。

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