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狼と呪いの紅玉  作者: 馬之群
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ブランド服の殺人鬼(6)

「お前も嘘が上手いものだな。」

家に着くなり畳に寝転んで、小麦は言った。

「仕方ないでしょう。まずは不安を和らげないと、倒れそうでしたから。」

「あの娘、どうも怪しい。ここ数日の記憶さえ不安定だと言っていた。何かを隠しているのか、精神に異常をきたしている。帰り際に言っていた、恋人の話は何だったのだ。」


光琉は掻い摘んで美玖から聞いた話を繰り返す。

「矛盾している。由佳か美玖か、どちらかは嘘を吐いているということだな。」

「由佳さんの方が怪しく見えますね。僕は男性と会ったとしか言っていないのに、女友達と遊んでいたのを見間違えたのだろうと返されましたから。」


そこから先は推理出来なかった。数日が経ってしまう。

光琉は鏡の前で髪を整えていた。ふとあることに気付いて言った。

「中学生男子くらいなら、女装をしても不自然に見えないのではありませんか。」

「なんだ。新たな性癖の暴露か。」

「すぐに茶化すのを止めて下さい。真面目な話です。由佳さんの彼氏が真犯人で、由佳さんは彼を庇おうとしていた、というのは?」


小麦は寝返りを打った。

「由佳にそっくりな人外の少年が、偶然自分に似た少女の恋人となり、その子を利用して荒稼ぎしていると?由佳は母親の服を貸しているくせに、我らに調査を依頼したと言うのか。」


「しっくりこないですね。いくらSNS上に顔写真を載せられると言っても、どうやって由佳さんを見つけたのかという問題に突き当たります。由佳さんが彼に協力していると思いきや、相談所に来るのも不自然です。そもそも、由佳さんの家の服を使う必要が何処にあったのでしょうか。発覚の危険性が増すのに。」


光琉は溜息を吐いた。

「いや、由佳の異常な行動については、一定の推測が成り立つぞ。ヴァンパイアの催眠だ。吸血した後で一時的に相手の記憶を混濁させられる場合がある。だが、相当長い時間を共にしないと出来ないはずだったが。」

小麦は言った。


「長い…時間を…。」

光琉はハッとした。慌ててスマホを取り出す。

「どうした?」

光琉は小麦を無視する。連絡先の一覧から由佳を探し出して電話する。程なくして由佳が電話に出た。


「もしもし。光琉です。由佳さん、もしや既に他界されたご兄弟がいらっしゃいませんか。」

光琉は単刀直入に言った。由佳は戸惑いながらも答える。

「ええ。小学生で死んだ兄がいます。何故ご存知なのですか?その時は私もまだ小さかったのに。」

「その訳は後でご説明します。すぐにご自宅に伺いますから、ご家族を呼んで下さい。…由佳さん。由佳さん?」


通話が切れた。光琉は小麦の右腕を掴む。

「急ぎましょう。由佳さんの兄が来たのかもしれません。」

二人は家を出て、バスに乗り込む。席に着いたところで、小麦は尋ねる。

「説明しろ。どういうことだ?」

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