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狼娘は黒兎に愛でられる  作者: 燈華


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救出6

「あの、そろそろ離していただけませんか?」


ソウヤとガイルの視線が揃ってクレハに向く。

クレハの耳が(せわ)しなくぴくぴくと動く。


「いや、そのまま支えてもらっておけ」

「どこか怪我を? その前にぼろぼろじゃないですか? あの連中はそんなに乱暴に貴女を(さら)ってきたのですか?」


ソウヤの眼差しが剣呑になる。

ようやく冷静になってクレハの様相に気づいたようだ。

クレハもようやく自分の状態を思い出した。


「確かに手荒に誘拐されましたけど、暴力は受けていません」


転がされた時に脅されたことを思い出したが直接的な暴力は受けていない。

それは、言わなくていい。


「それだけでも許し難いですが、他はないですか?」


小さくクレハの身体が震える。

当然抱きしめたままのソウヤには伝わってしまう。

ソウヤの視線が鋭くなる。


「やはりあの男に怪我をさせられましたか?」


クレハは慌てて告げる。


「ち、違います! さっき荷物が崩れてきた時に逃げ損なってしまって……。大したことはありませんから大丈夫です」

「恐らく足首はひねってるはずだぞ」

「た、大したことはありません! 歩けないほどではありませんから」


はぁとソウヤが溜め息をついてクレハを抱き上げた。


「すぐに医者に診てもらいましょう」

「あ、あの、自分で歩けますから」

「悪化させたいのですか?」

「素直に抱かれておけ。その足だと危ないぞ」

「そんなにひどいのですか? あの男は何をしていたのですか」


クレハを庇うのは当然だと言いたげだ。


「俺を庇ったからだな」

「貴女はまったく! どう考えてもあの男のほうが丈夫でしょう。貴女は自分を大切にすることを覚えてください」

「ご、ごめんなさい」


咄嗟に身体が動いていたのだ。

ソウヤが横抱きにしたままぎゅっと抱きしめてきた。


「あまり心配させないでください」


その声はわずかに震えているようだ。

クレハは心の底から申し訳なくなった。


「ごめんなさい」


ぎゅっとクレハも抱きついた。

ますますソウヤの腕に力がこもった。

クレハもソウヤの胸に顔を寄せてーー


「こんなところでいちゃつくな」


不機嫌そうなガイルの声で我に返る。

ソウヤはガイルを睨んだがガイルはふんっと鼻を鳴らすだけだった。


「早く医者に診せましょう」


ソウヤは足早に歩き出す。

その後ろをガイルが無言でついてくる。


「ソウヤさん、一人で乗り込んできたわけではないですよね?」

「はい、もちろんです。いくら気が()いていたとしてもそこまで無謀なことはできません」


ふんっとガイルが後ろで鼻を鳴らす。

嫌みに聞こえたのだろう。


「ここの隠れ家は摘発されました。誘拐の現行犯ですしね。言い逃れできません」

「そうですか」


ほっとする。

本当にもう大丈夫なのだ。


「ソウヤさん、ありがとうございます」

「いえ」

「ガイルも、助けに来てくれてありがとう。……心強かった」


ちらりと見ればガイルは虚を突かれた顔をしていた。


「危ないですよ」


ソウヤに抱き直される。


「あ、ごめんなさい」

「人がいますからね。私の胸で顔を隠しておいたほうがいいでしょう」

「ありがとうございます」


ソウヤの優しさに甘えることにしてクレハはソウヤの胸に顔を埋めて顔を隠した。


読んでいただき、ありがとうございました。

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