みつせがわのだくりゅう。 -14- // 2126年11月3日(火) PM03:30
飛び石連休の最終日。
文化の日。祝日である。
しかし、森 葉子としてはこの祝日を祝う気にはなれなかった。
三日前に、人生のパートナーである朝間ナヲミの生体脳の再構成が完了した。経験豊かな統合マネージング・システムである「YOMI」や最新型の高速統合マネージング・システム「Hong」によれば、最後にログを取った半年前の時点における"朝間ナヲミの生体脳"と、たった今の"朝間ナヲミの生体脳"の情報的な違いは、5%をやや上回る程度に収まっている。
5%とは、事実上は変化なし。10%未満に収まる違いは、事実上は意識的な個体差はほぼゼロの微差だ。人間に限らず、哺乳類の脳は常に書き換えられている。
怪我などの外因性の損傷を負っても、ある程度までなら放っておいても適当に辻褄を付けて自動修復してしまう。構造的に埋められない程の損傷を負っても、損傷を浮けていない他の部位が失われた機能を新たに再現してしまうことも度々ある。
損傷を受けなくても、経験の積み重ねによって、成長の段階に応じて、常に移り変わる。そうでありながら、表層意識レベルは物理的に生じている変化と言う"ギャップ"を極めて適当に、誰もが納得してしまうほどに自然な形で埋めてしまう。
ーーー哺乳類の中でも、特に人間の脳はとてもとても移ろう物なのだ。
これならば、法的に争ったとしても、再構成された生体脳が、人間「朝間ナヲミ」の人権を保障にするに足りる器であると証明は難しくはないだろう。
ーーーにも関わらず。
朝間ナヲミは目覚めなかった。目覚めてくれないのだ。
損傷部位はすべて再建済みである。更に、テロメアやミトコンドリアなどは、森 葉子のボディが持つ人間としてはやや特殊な構造物へとアップデート済みである。
自動車のエンジンで言えば、後期型のパーツを使ってオーバーホールが終了している様な状態である。
それでも、動き出した生体脳は、物から生き物へと変化したに関わらず、奇妙なことに昏睡状態で起動した。生体パーツとして起動には成功したのだ。だが、その後の覚醒状態へと進んでくれないのだ。
物理的には、朝間ナヲミは何時目を覚ましてもおかしくはない状態だ。にも関わらず、「うん」とも「すん」とも言ってくれないのだ。
森 葉子としても、すぐにでも朝間ナヲミが目覚めるものと期待していた。だが、脳波に大きな動きが生じない。二種の睡眠時の脳波的特徴とも違う、かなりかなりフラットな、微々な盛り上がりしか見せてくれない。
気付けが必要なのかも知れないとも思われた。日本のラグビー・チームが気絶した選手に使用する水入りの薬缶の様な強制起動するキーを試してみようと言う気運が高まった。
仕方がないので、森 葉子の治療チームは、朝間ナヲミの脳内へ、オレキシンやコチゾールなどのホルモンなどの分泌させる誘導(操作)をして、その後に生じる反応の移り変わりを興味津々に眺める。
いっそ、誰もがアドレナリンやノルアドレナリンで交感神経を刺激してみたいと言う誘惑に駆られる。まだ早い。遷延性意識障害の発生する兆候が出るまでは、そう言う構造的なトラウマを残しそうな荒技は使いたくない。
ジャパン・コーマ・スケール(JCS ※1)では、「Hong」による簡易診断では300度と出た。グラスゴー・コーマ・スケール(GCS※1)ではMの「1」である。
これは不味い。森 葉子は焦り始める。その心情が表情にじょじょに刻まれる。当初の楽観が引き剥がされて行く。
ーーーこんな筈では。
目的達成の障害の象徴として、足下から遙か空高く聳り立つ「現実の壁」の強度は凄まじい。森 葉子が率いる治療チームがぶつかり挑む度に、楽観で何重にもコーティングされた破城槌は粉砕された。
罅が入るとか、欠けるではなく、粉砕されるのは壊したい「現実の壁」の方ではなく、しばしば森 葉子が立てた治療方針の方だった。
その巨大な破壊の圧力は、
ーーー価値ある物を一枚一枚と悠長に剥いで行く"作法に則ったセクハラ爺"ではなく、一分一秒でも早く手の届く範囲にいる女を素っ裸にしたくて溜まらない"劣情の虜となった男子高校生の群れ"ーーー
ほどにエグかった。
太刀打ち不能と言う意味でだが。
「現実の壁」は、実に、豪快且つ確実に、森 葉子の治療チームが用意しておいた「こんなこともあろうか」的な余裕を削り取った。
森 葉子とその弟子達は幾度となく「現実の壁」を超えて来た。踏破を繰り返して来た。
そして、最後に立ちはだかった壁も、以前の物と比べても決して生易しい「問い」ではなかった。むしろ、それこそが、最奥階でダンジョンの宝物を護るラスボスであった。或いは、「フェキオン山のスフィンクス」と呼ぶに相応しい「難題」を突き付ける最強の敵だった。
突きつけられた現実、と言うパズルを解かなければ、森 葉子は、ここまで来ていながら、朝間ナヲミと再会が出来なくなってしまうのだ。
解けない問いはない。そう信じて森 葉子はややヤレ気味の灰色の脳細胞に鞭を打ちながら、考える考える考える。
ーーーまさか、こんなことになろうとは。
この段階でもう一度躓くと言う可能性を、森 葉子は全く想定していなかった。
完全に峠を登り切ったと思ったら、その上にもう一つ峠があった!! 絶望した!! みたいなものだ。これ、ヒマラヤのトレッキングでは結構あるあるな話である。みんな、ガイドに頼り切りにならずに、ちゃんと自分で地図の標高図を読もうよ!!
ーーー甲状腺機能代替系に異常はなし。血糖値と酸性化率にも問題なし。
森 葉子は、新たなに現れた招かれざる峠へ挑むために麓から尾根を見上げるが、尾根部へアクセスするルートがどうにも見つからない(※2)。
ーーー取っ掛かりさえ見付けられれば。
必死に考えるが、これまでの奮闘でヤレ切った脳ミソではなかなか閃きを呼び込めない。
ーーーお願い!! 閃いて!!
だが、願いは未だ叶わず、閃きは降りてこない。それに、誰も助けに現れない。
口を開けずに居る弟子が見守る中、黙ったままの森 葉子は、自前の脳細胞を更に更に酷使し続けて多岐にわたる「可能性」の分岐の精査を続ける。
ーーーどこに穴があった? どうすれば穴を埋められる?
何が悪かったのか。何が良かったのか。何が起こっているのか。それらを把握出来なければ、次に打つ手を決めかねる。
6時間後。
とうとう、森 葉子は「神の最初の一撃」と言う、何層にも厚く埃が被るほどに古い哲学用語を思い出す。
可能性の行き着く先ではなく、可能性が始まる総始点だ。
宇宙論・物理学における、人知を超える「神」としか形容しようのない何かの意思、或いは力。ビッグバンなど、宇宙の始まりに神的な介入やエネルギーの解放があったとする概念を思い浮かべる。
森 葉子は人類として初めて、人間の生体脳の再構成に成功した。だが、それは再構成しただけであり、まだ物質のままであり、意識を生み出す生き物へ転じていないのかも知れない。
ここに来て、神の存在論証とは。森 葉子は途方に暮れる。
ーーーこうなったら、グノーシス主義でおなじみの"デミウルゴス"でも、旧約聖書に度々登場する顔なしキャラ"●HWH"でも、なんでも良いから早々に名乗り出てほしい。
朝間ナヲミを目覚めさせてくれるなら。何にだって帰依してやる。それがラブぷラスの悪魔(※3)であっても一向に構わない。
ーーーしかし、どうやって「神の最初の一撃」をナヲちゃんの生体脳で始めるのか?
「物」を「者」へ転じさせることは、考えてみれば人の所業の範囲外だ。おそらく、「物」と「者」の間に物質的な差はあってないようなものだ。
森 葉子は今まで深く考えたことはなかった。
生体脳とまったく同様に人の手でタンパク質を「物」を組んだとしても、神の手で最初からタンパク質を「者」として組んだ「何か」とは違うのだ。
何が違うのか。そこが争点である筈だ。
「無」から「有」。物質的にではなく、それ以外の何かの視点での「有」。
ーーーもしかしたら、その「差」、「違い」、「間」の根拠と成る「何か」とは、意外にも"灯台もと暗し"な、価値観の死角に埋もれた真理なのかも知れない。
根拠はまったくない。単なる閃きに過ぎない。
いや、根拠はあった。人の手であっても、その経過の逆転ならば出来る。「者」を「物」へと転じさせるのならばお手の物だ。人は、その作業については数千年以上のノウハウをもっている。
生者を死者へと変える。端的に言えば「殺し」と言う人の伝統的な行為は、「者」を「物」へと転じる「差」を生み出す行為に他ならない。
だったら、物理的な「差」ではなく、価値観的な「差」を作り出すことも、観念の昇華と言う抽象的な手法で可能なのではないか。
実際、人は、神の作り出した道具としてならば、半分以上は意図的に「無」から「有」を生み出せる。限りなくコピーに近い、自分達の分身を再生産する手法を、自らの嗜好に実装済みである。
ハッキング、クラッキング。言い方は何でも良い。正攻法では手が届かないかも知れない。しかし、裏口から迂回路を繰り返し繋ぎ合わせれば、「物」を「者」へ転じさせる「神の最初の一撃」を、工程を完全に無視したままで、飽くまでも結果としてだけならば、望む効果を手元へと引き寄せられるかも知れない。
ーーー世界に対する挑戦。あざとく神を欺く行為。
そこまで思いが至った直後、森 葉子は一世紀近く生きた末に、やっと悟った。
ーーー世界に対する挑戦。あざとく神を欺く行為。それは、朝間ナヲミが生身を、全身を失って以後、全身擬体へ宿ってからずっと追い求め続けた生き方に他ならない。
森 葉子は、大きなため息を付く。自分のパートナーは、今自分を苛んでいるこの逆境と、自分と出会った時に既に戦っていたし、その後もずっと戦ってき来たのだ。
ーーー今になって、やっとナヲちゃんと同じ世界を見れる境地にまでたどり着けたんだ。
森 葉子は、人間が正しいと感じる辻褄の合わせ方、自然や神の摂理ではなく、「Providence」から最も遠い抽象的な、"人間律"と言う即席の造語を用いるアプローチを採用することにした。
「黄 ちゃん。ナヲちゃんの生体脳へ擬体へ据える。段取りの調整をお願い」
森 葉子は、朝間ナヲミの生体脳は、全身擬体へ据えた後でないと目覚めないと定義した。
「良いんですか? 一度据えてしまうと生体脳の修正が難しくなりますよ」
黄 紀子は、恩師の言葉を気の迷いから生じた戯言であるのか、何かしらの直感に基づく思考の飛躍であるのか、判断が付かなかった。常人であれば戯言として無視するべきだ。だが、恩師の場合は思考の飛躍は度々起こしてきた。
今は説明出来ないが、その後に起こった事を後から検証すれば英断であった。そう言う手法で技術的な天井をブレイクしてスルーして来た「前科」が度々なのだ。しかし、そのいくつかの劇的場面に、黄 紀子は出くわした経験を持っていた(その後の、大学、学会、官僚からのお叱りも一緒に受けさせられた)。
森 葉子は、一応、最低限の説明はしてくれた。
「人間は人間の形状を獲得してから生まれて来る。それはどうして?」
質問形式で言い訳が始まる。
「人間は人間として最適化してから生まれます。生まれる前の最適化が達成されていなければ・・・」
黄 紀子は、人間倫理に差し障る点までは敢えて言葉にしなかった。師匠は、その弟子の慎重さを自分には全く不足している人間性だと自覚し、頼もしくも感じた。
「人間は脳組織だけ完成させても・・・それは人間とは言えない。やはり、健全な五体とそれを支える臓器を納める胴体が揃って概念的な人間として成立する」
「でも、患者は脳組織しか残されていません。その五体中四体と胴体を失っています」
黄 紀子は、正当なツッコミを入れた。森 葉子はそれを待っていた。
「だから、不足する部分を可能な限り置換身体で代用します」
「出来るだけ人間に近い形状を与えてから覚醒前の生体を刺激するのが有効なんですか?」
「そう。そんな感じ。出産の再現だよ」
「生体脳に、人間の全ての構成パーツを与えることで自身が人間であると再認識させる・・・思い出させる、ですか・・・」
森 葉子は、少し視点の定まらない目で核心を語ろうしていた。黄 紀子は、そんな師匠を過去に何度か目にしていた。どうやら、久しぶりに神懸かっているらしいことを見抜いた。
「この世界の理に向かって、この世界にナヲちゃんが完全な人間であると言う主張を押し切る」
「そんなことが出来るんですか?」
黄 紀子は驚いた、自分の師匠は自分に対してこれから行う無茶を言い訳しようとしているのではなく、最低の条件を揃えたという言い訳を以て、この世界の摂理に対して横車を押そうとしていることに。
「出来るよ。たぶんね」
黄 紀子は、この無茶が、彼女が蓄積した経験によって罷り通るだろうと直感した。理由はない。あるとすれば、それは森 葉子と言う神懸かりの巫女が「通る」と言っているのだから「通る」と言う点に尽きる。
「朝間ナヲミと言う"人間"であれば、最低限のお膳立てをしてあげれば後は、何とかして自力で帰って来る"運"を持っている」
森 葉子は、希望的観測者の真骨頂を見せつけた。それは、過去に運命に決して裏切られなかった者だけが持つ姿。偶然ではなく、それまでの人生で積み重ねた経験や本質が如実に纏う、選ばれた者の真価、本領、醍醐味だ。
そして、22世紀レベルの「真骨彫製法(S.H.Figuarts)」クオリティーで作られた全身擬体まで手元にあるのだ。
ーーー成せば成る。森 葉子はそう言う運命を背負って生まれた人間である。
黄 紀子は、久しぶりに師匠を自分とはかけ離れた、どこか違う生き物である。そう言う視線で眺めた。
黄 紀子も森 葉子ほどではないけれど、大学や学会から高い評価を受けた研究者である。森 葉子には孫弟子に当たる、たくさんの優秀な教え子を抱えてもいる。だから、自身も森 葉子に近い存在へと手が届きつつあると考えていた。だが、現実は違った。まだ、師匠の高見は遠い。
黄 紀子は考える。師匠と自分では何が違うのかと。
ーーー覚悟。
或いは、なりふり構わぬ我田引水。
そうとしか思えなかった。自分の望みに対して立ちはだかる壁に対して、本気で喧嘩を売ろうと言う激情が自分には存在しないのだ。もっと正確に言えば、神に喧嘩を売る激情と、神をやり込めようとする戦略的思考の両立が出来ていないのだ。
その意味で、黄 紀子は直接に会ったことはない。しかし、伝承を通じて知っている、師匠の義父である「朝間医師」や、師匠の知人であり100歳を超えて今なお寿命を迎える気配が一切ない狂気の科学者である「津田沼博士」。目の前にいるオンナはそれらのフィクションチックなオッサン達と同類。
「わかりました」
黄 紀子は、目前にいる一歩間違えたら、直ちに「ストレンジラブ博士」や「土萠創一」や「ジェラルド・ヴィンセント・ブル」に成りかねない、この上ない危険人物の言葉に従うことにした。
黄 紀子は、擬体技術関係の仲間(森 葉子の教え子の一人)と連絡を取り、遠隔作業で朝間ナヲミの擬体の組み立て、点検、調整を行わせた。
擬体そのものは、メーカーによるオーバーホール直後である為に何の問題もなく組み立てられた。
3時間後、燃料電池にも"火"が入れられた。2030年代と違い、擬体の省電力化によって長時間低出力電源が採用されている。だから、起動時に専門の技術者が立ち会う必要もない。メーカーのサポートシステムにネット接続し、内蔵されている制御機に起動コマンドを打てば自動で立ち上がる。
森 葉子は、擬体の頭部へチタン製の朝間ナヲミの生体脳を納めて、頭蓋を完成させる。生体脳を維持する身体インフラは、まだ30%が外部由来で賄われている。ただし、神経接続に関しては開始される。
更に7時間後、本人の遺伝子を応用した有機質で構成される人工皮膚や毛髪が全身へ届き渡る。
その段階で、黄 紀子は擬体の仕様が記憶と異なっていると今更ながら気付いた。
「先生・・・擬体の全身サイズがかなり大きいんですけど・・・」
黄 紀子の記憶では、師匠のパートナーの身長は150cm程度だった。だが、組み上がった擬体は170cmを超える。そして、頭髪は金髪。その外観は小柄なアジア人の少女のものではなく、北欧系の少女のもの。つまり・・・。
「先生。患者さん、何か・・・先生とそっくりの擬体に仕上がってますよ」
「そうね・・・」
森 葉子は、クリーンルームと朝間ナヲミの生体脳ユニットや擬体を区切る巨大ガラスの前に立つ。人間の腕よりも、何倍も何倍も効率的なデザインが採用されているロボットアームの世話を受ける長年連れ添ったパートナーを眺めている。
ロボットアームへの指示を与えているのは、九州の大学病院にいる森 葉子の弟子だ。近くにいる黄 紀子は、その動きを全体的に監視しているだけだ。
黄 紀子は知らなかった。森 葉子と朝間ナヲミが、ある日を境に互いの外観を交換していることを。つまり、朝間ナヲミの本来の、生まれたままの姿は、自分が見知っている師匠の外観である。ただし、人生の半分以上を互いのパートナーの外観で生きていることから、どちらにアイデンティティーがあるかと問われれば、ちょっと回答に詰まってしまいそうだが。
黄 紀子は、メーカーから派遣された回収者に擬体の仕様変更を指示するオーダー書を渡した記憶はなかった。
森 葉子としても意外だった。彼女もまた、仕様変更を指示するオーダー書を認めた記憶はなかったからだ。
だが、結果はどうだ。
「黄ちゃん。配送書を確認してみて」
森 葉子は、確認する前にすでにことの顛末を確信していた。
「カスタマーからの依頼により擬体の外観をオリジナル仕様へ戻した。と概要に書き込まれていますね。変だな。そんな筈ないのに」
黄 紀子が不思議がる。納得がいかないとブツブツと独り言。オカルトめいていると、気味が悪いと、眉間に皺を寄せる。
「長くこういう研究を続けているとね。時々こういう変なことが起こるものなの」
森 葉子は、年の功を稼ぐ途中に積み重ねた経験を弟子へと語る。
「だいたい、こういうのは後できちんと辻褄が合うものだから」
「マジですか?」
「マジ、マジ」
こういう研究とは、世界の理との喧嘩の最前線で技術的なブレイクスルーを求めて葛藤する行為を指している。先駆者がいないことから、場合によっては「前例」が積まれていない。そこを果敢に攻めると、時々、エラーといしか思えないレベルのレアケースを安易に引き当てられるのだ。
まるで、過去の失敗、決定的な不手際までが、その後の相応しいみたいへ辿り着くための辻褄を付けるためには不可欠な要素だったなんて事が本当に起こるのだ。
場合によっては、主観的には過去の改ざんとしか思えない、実に不本意なご都合主義が展開される。森 葉子は、やがて、それにタイする心構えを、将来的に孤独な状態で体験するであろう最も有望な弟子に伝えようとしているのだった。
森 葉子は、弟子がその瞬間を迎えるのは、自身へお迎えが訪れた遙か後であろうと直感していたのだ。
※1= 擬態保持者版。診断・評価の対象を拡張してある。
※2= ネパールのソル・クーンブ国立公園のレンジョ・ラ(レンジョ峠)をゴズンパ氷河側から挑むと当にそんな感じね。逆側から挑めば峠部まで階段になってるから迷わないけどさ。なお、まともなトレッカーはゴズンパ氷河側からレンジョ・ラへは挑みません。特に単独で。これ豆知識ね。ゴズンパ氷河ってネパールで最大の氷河なんだって。何度も一人で横断したけど、縦断しないと分からないな(クレバス注意)。横断中にチョオユーの朝焼けがキレイに見えるよ。
※3= 熱海に居るらしい、記憶が少し怪しい洗濯屋のキレイなお姉さんって、もしかしてあのゲームにヒロインの将来? お顔がそっくりじゃない? 気のせいかなあ。




