第七話
「くそ! 今回もいきなりの転移で情報が全くない」
(今回は面倒だから最初っから魔法使おう)
「ワールド・サーチ」
これでこの世界の情報がわかる、情緒はなく寂しいけど便利な魔法である。
・スキルがかなり重要視され、稀に加護を持った者もいる
・加護持ちは強力なスキルを覚えどこに行っても重宝される
・大抵の人はスキルが一個、二個持ちはあまり多くいない
・三個になると極稀で四個以上は確認されていない
・ギルドもありE級からSSS級まででS級以降は人外レベルでSSS級は世界に三人しかいない
・現在魔王の進攻に晒されている
なるほどね、ただ主人公と作品の情報は創ちゃん待ちなのかな? と思考し終わる前に例のごとく一枚の紙が落ちてきた。
世界についてはある程度調べたようだね? では今回の主人公ですが。トウマ君です!
トウマ君は創造神の加護、魔法神の加護、闘神の加護、地母神の加護、海神の加護、天空神の加護と、ありえない程加護を所持していてスキルもめちゃくちゃ強力なの持ってます! ぶっちぎりの最強です。
この世界は、作者さんが途中で辞めてしまったんだけど熱心な読者がいて、その人の思いが世界を形成したみたいだね。
(執筆が途中で終わった世界はどうなってしまうんだろう?)
執筆が途中で終わった世界についての疑問があるだろうから先に答えておくけど、そんなの知らんし興味がない。もちろん知ろうと思えば知れるし調べられるけどどうでもいい。
多分そのうち主人公が魔王を勝手に倒しに行くんじゃないかな? だから今回は主人公パーティーに交じって魔王討伐に出てみて!
最後の魔王をつーさんが倒しちゃえば小造(小説内創造神)が出てくると思う。
今回も頑張ってね! 急がなくてもいいです!
P.S この世界につーさんを殺した相手がいます……
サラッと最後に爆弾発言が残ってるけど、どういう事? 俺ってガス漏れで死んだはずだよな? 実は仕組まれたガス漏れ?
混乱してきた……混乱してきたがまずは冷静になって今回の仕事を成功させよう。全部終われば全てわかるはずだし、わからないことをずっと考えていても無益だ。
まずは、トウマ君のパーティーに入れるようにどうするか考えよう。
俺は自分を落ち着かせようと思考にふけっていると、またもや一枚の紙が落ちてきた。
創造神クエスト!
トウマパーティーは魔王討伐の為、SSS級冒険者“極炎のイーフ”をパーティーメンバーにしようとしている!
それを先回りしイーフに成り代わり、パーティーメンバーになれ!
成功報酬――願い事一個
受けますか? 承諾しますか? 同意しますか? 早く行ってね? どうする?
「くそが! 完全なる一択じゃねーか! 最初創造神クエストは受けても受けなくても良いって言ってなかったか? まあ、願い事一個は魅力的だし受けるけどさ……」
「んじゃ、イーフさんのところに行ってみるか」
「転移、イーフ」
俺は転移を唱え、多分前回同様創ちゃんが支払いを済ませているであろう宿屋を後にした。
転移するとそこは何もない岩場で、三十代後半位のイケメンが立っていた。腰には刀を差しており、一目見ただけで只者ではないのは理解できた。ただ気になるところがある、どう考えても強すぎる。
この世界のレベルを大きく逸脱しているしさっき探ったトウマ君よりも間違いないく強い。こんなイレギュラーな存在もいるのか?
というか、創ちゃんが名指しで依頼を出したという事を考えると何か裏があると思った方がよさそうだな。
「いきなり拙者の間合いに入るとはそれなりの覚悟ができているのであろうな?」
「ツカサ……」
ちょっと待て! 今ツカサって言ったよな! は? なんで名前を知ってるんだ?
「なんで名前を? まだステータスいじってないから、かなりのチート持ちでも俺のステータスなんて覗けないはずだが? お前やっぱりただのSSS級冒険者じゃないだろ?」
「拙者の間合いに入っているというのに暢気な事だ」
イーフは腰に差してあった刀を素早く抜き取り、炎を纏わせ俺に切りかかってきた。そのスピードは前回のチート勇者のレイ君を優に超えていた。
「はや! あんたマジでなにもの? どう考えてもこの世界のレベルを超えてるよな?」
「ごちゃごちゃと言わんでさっさとかかってきなさい、創さんのチートがあっても俺が怖いのか?」
「創さん!? もしかして、俺を殺した奴ってお前か!」
「知りたければ拙者を倒せばいい、倒せればの話だがな……なに、心配せずともガス漏れ魔法など使わないから安心いたせ」
ははは、と笑うイーフを見た時俺の中でけっこうがっつりとブちぎれてしまった。
「黙って聞いていれば、調子に乗りやがって! 社畜が染みついていたが元来俺はあんまり気が長い方じゃないんだよ! 俺にキレさせた分、ちゃんとストレス発散するまで付き合えよな?」
言い終わった直後、イーフは後ろに飛びのいたがすでに遅い! 俺はただただ腕力に任せイーフをぶん殴った、殴ったと同時に回復魔法も唱えた。そうしないとこの一発で終わってしまうから。
いくらか抵抗らしき行動も起こしていたが、全くもって抵抗になっていない。為すがままボロボロにされていくイーフを見ていると、心なしかイーフが楽しそうにしてるように見えた。
それから同じことを何度も繰り返し、イーフの限界が近づいたころ
「そろそろおわりにするか……」
と、莫大な魔力を練り上げイーフに対し極大の魔法を放った。
「ぐおー」
イーフの断末魔が聞こえて来たのですぐに回復させ俺の目の前に転移させる。
「色々話す気になったか? ストレス発散できたけど、まだ話す気がないなら俺の魔法でお前の頭の中を直接覗くからな? それでもいいか?」
そう問い詰めると、イーフはとても楽しそうに笑い出し。俺がポカンとしているとイーフは語りだした。
「あー楽しい! やっぱりご主人様と遊ぶのは本当に楽しいですな! 最後の頃は全然遊んでくれませんでしたが、クソ上司にパシリにされていたようですし致し方ないですな」
「は? なにを言って……」
「最後の頃は家に帰ってきても生気のない顔でお酒飲んで寝るだけでしたもんね?」
「家に帰ってきてって、俺に同居人なんていなかったぞ?」
「ええ? そんなご冗談を? 誠に言ってます? これだけ遊んだのにまだわからないんですか?」
「……まったくわからんな」
「ご主人様! ご主人様の部屋にはウルトラチャーミングなワンちゃんがいたじゃないですか?」
「ああ……いたな、パグのバサシ君が」
「そうそう、犬ながらにバサシという真名を頂戴したパグがいましたよね? それが拙者です」
「……おいー! うそだろ!? あの可愛い可愛いバサシがこのイケオジ? めっちゃ渋くて拙者っていう一人称がめっちゃ似合う程渋いのにあのバサシなの!?」
「さようでございます。拙者の言葉が噓じゃないと心に伝わると思いますが?」
「う、うん……伝わってしまうね……嘘だろ!? あのチャーミングなバサシがこのイケオジ?」
「ご主人様、落ち着いてください! まずは今までのご無礼申し訳ございません。全て創さんのシナリオですので、ご容赦ください」
「くそーあの三下キャラが!」
「ご主人様、絶対に聞こえてるからやめておきましょう?」
「でも、ちょっと待て? さっき俺を殺した風に言ってたよな? もちろんそれも噓だよな?」
「……すみません」
イーフ改めバサシは俺に土下座を始め口を閉じる。
誤字脱字ありましたらお願いします。
感想ブックマークして頂けると嬉しいです。
二十二時位にもう一話できたら投稿したいと思います。