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第四十話



「準備はいいか?」



「「はい」」



「じゃあ行こうか」




「しかし、本当に私まで行っていいのでしょうか?」




「いいの。今回の功績は俺の力が大きく評価されてるけど、俺達はパーティーメンバーだ。だから全員でいくんだよ。ギルマスも言ってたろ?」




「そもそも、ツカサ様を呼び出すというのが間違っている。会いたいのなら、あちらが出向くべきなのだ!」




「はいはい、わかったから。王様に失礼なこと言うなよ? したら、ボール投げしてやらないからな?」



「ボール投げ禁止?! ぐっ、……かしこまりました」




「そう言うところはしっかり犬なのな……」



「犬とは?」



「……謁見が終わったら全部話そう。いいな?」



「はい」




 王様が用意してくれた豪華な馬車に乗り城へ。服装なんかは気にしなくていいって言われたし、ギルマスも本当になんでもいいって言うからいつも通りの格好で来た。一国の王に謁見するのはもちろん初めてだし、それなりに緊張するけど……俺の上司(創ちゃん)に比べると格の違いがありすぎて、緊張するのもバカらしくなってくる。





 と、あっという間に王様やお偉いさんのいる謁見の間に着いてしまった。執事さんみたいな人にお入りくださいと促され入ると、そこにはTHE王様、と言った感じで赤色と黄金で装飾された玉座に座る白髪の男性がいた。……この王様もそれなりに強い。ランク的にBの下位相当はある。……Bって前々回の異世界では最強クラスの実力者だった、ガーポ君クラスだからね。王様やばし。



「面を上げよ」



「……」


「此度の王都防衛、誠に大義であった。国を代表して礼を言う」



「はっ!」



「色々と、話は聞きたいがこんな堅苦しい場ではそうも行くまい。早速だがそちたちに褒美を取らせたいのだが……何か望みはあるか? 爵位でも良いのだが、冒険者の者は大抵嫌がるし、金などはこれからSランクにあがるそちたちにはあまり意味がないだろうし。どうじゃ? なにかあるか?」



「……」



「なにかあれば申してみよ、法外な物でなければその望みを叶えてやろうと思っておる。今回の防衛はそれ程の価値があるからの」



「……それでは、恐れながら。王へのいくつかの質問と、その返答次第でお願い事させて頂く、というのを今回の褒賞とさせて頂きたく存じます」



「……少しまわりくどいの? だが、それもなにか理由があるのだろう、構わん申してみよ」




「はは、ありがとうございます。それでは早速……」



「この世界では、未だに獣人への差別が失くなっていません。このハジー王国は比較的差別はありませんが、ゼロではないです。王自身は獣人をどう思われていますか?」



「!」


 ラメリがちょっとびっくりしてる。事前にこう言われた時の返答は俺の方で答えていいと決めていたけど、何を言うつもりか、までは言ってなかったしな。




「……正直に申せば、くだらぬ、の一言じゃな。全く無意味な事をなぜああもするのか理解ができぬ。同じ人、ただ見た目が少し違うだけ、祖先が違うだけ。なぜ、それがわからんのか? 頭の痛い問題だ……」



「左様でございますか。ありがとうございます。それではまた質問です。その考えはここにおられる重臣の方々も同じでしょうか?」



「宰相よどうだ?」



「はっ! 国を創るのは人です。人の多さは国力に繋がります。獣人差別などしてその貴重な人材を諸外国へ放出するなど愚の骨頂です。この場にいるものでそのような愚か者は()()()()()()()()、ごほん。……一人もいないと断言できます。そうですよね? サイベイツ殿?」



「も、もちろんでございます」


「王自らのお考えを聞けてサイベイツ殿も良かったですね? あの様なことを続けられますと、サイベイツ殿の跡継ぎにまで影響致しますからな。おっと今の言葉は大きな独り言ですのでお気になさらずに。ですが念のため、私の部下をサイベイツ殿の領地に派遣し教育を施しましょう? 歴史を知ることは良い事です。王よどうでしょうか?」


「……いえ、私は……」


「それは良い考えだ。サイベイツよ主も少し歴史の勉強をしても良いかもしれん。それは()()()の為にもなろう。儂の方でも用意するからどうじゃ? 受けてくれるか?」



「……王自ら用意していただけるとは光栄の極み、謹んでお受けいたします。……宰相殿もありがとうございます」



「構いませんよ、後日私の手の者でもっとも優秀で()()()()()()の者を派遣します。おっと、要らぬことを」





 ……王宮こえぇ。この腹の探り合いやばいんですけど。あっという間に、一人のおっさんがやり込められてる。




「ツカサ殿、すみません。少し話が逸れてしまいましたが答えはこの通りです」



「どうじゃ?」



「ありがとうございます。では王国としては獣人は大歓迎だし、差別はなくしたい、というお考えと捉えて良いでしょうか?」




「その通り。我が国は未開の地も多いし食料的にも余裕がある。今の倍獣人が来てくれても問題ないのだ。それにそれだけ来ても万全な政治体制を敷いておるしな? のぉ宰相よ」




「はい。問題ございません。人が増えればそれだけ税収が増えます。国は更に豊かになりましょう。我が国はとても安定していますが、人口だけは少なくそれだけが問題でございました。人口の増加は大歓迎です。その御旗になってくれるような方がいるとよいのですが……」



 んー? なんか流れが?



「それを踏まえた主の願い事とはなんじゃ?」




「……はい。私の願いは獣人差別を無くすことです。その為に王国からの支援や、国の方針として獣人を受け入れるとの声明、全世界へ差別撤廃を訴える行動を取って頂きたい。というのが願いです」




「全世界か……」



「そうですな、国内だけでしたら……」



「難しいようであれば……」



「いや! 救国の英雄であるそちの願いだ。なんとかしよう!」


「ですが王よ! 世界となると……」



「いや、難しいようであればそこまでは……」




()()()()()の英雄の頼みなのだなんとかせねば」



「あのー? 世界に向けてが難しいなら……」



()()()()英雄の願いも叶えられぬとあっては他国の笑い者であるぞ」



「しかし、そこまでは……では王よ。こうしてはどうでしょうか? ツカサ殿にSSSランクへなって頂き、ハジー王国を活動拠点にしている、他国の王に仕えるつもりはない! 獣人差別を()()()()で無くす! と言っていただく。そう発言してただけたら。SSSランク冒険者自らが獣人の守護者になり王国にいる、そうなれば他国の獣人達も来やすくなるでしょう」




「おお、それは良い考えじゃ? どうであろう? まずはハジー王国を足掛かりとし、差別をなくす第一歩にしては? どちらにせよ、すぐに差別はなくせぬ一歩一歩()()()進んでいこうではないか?」




 ……どうであろう? じゃねーよ! お前の所が良い想いするだけじゃねーか! 人口は増える、税収は上がる、差別撤廃を訴えるのもハジー王国だけじゃなくてSSSランク冒険者も同調している。SSSランク冒険者が拠点にしてくれるから安心安全。



 ……てかなんで俺の願い事わかったんだろ? 普段から獣人差別がくだらねぇとか、無くす、って言ってたのを聞いてそれで予想してたのか? 政治家怖い……





「……良い考えですね。そうしましょうか? ですがそれならもう一つだけお願いが……」




「申してみよ」




「未来永劫()()()()であってください」



 力を込めた発言だ。重臣はもちろん王であっても心の奥底に響いたはず。




「……約束しよう」




 全員青い顔してブルってる。ちょっとはやり返せたか?








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