魔王とドラゴン
ミーケがメイド見習いとなって数か月が過ぎたある日、城の外で悲鳴が上がった。
「どうした?」
「た、太陽がお隠れになりました・・・」
「なんだ日食か」
「日食?それは分かりませんが何か良くないことがある前触れです。殿下は城内へお戻りください」
日食は災いを呼ぶと思われているのか。
完全に太陽が隠れて暗くなると、爆発音が聞こえる。
「何事だ?」
「はっ!とてつもない爆発が起こっているようです。これも太陽がお隠れになったせいでしょうか?」
・・・違うと思うぞ。
「兎に角、見てこよう」
「殿下危険です」
「見るだけだ危険はない」
そう言ってライオネルは爆発音のする方へ向かった。
「ワハハ。蹂躙しろ!奴らの怨念をここで晴らせ!」
「何者だ?」
「貴様は誰だ?」
「私は第3王子のライオネル=フォン=マスタングだ。貴方こそ誰だ?と言うか人間ではないですね?」
「こんなに早く見つかるとはついている。我は魔王ゴーガイフである。先の戦で殺された仲間の仇討ちに来たのだ。探していた人間の将はおまえだな?」
「貴様らはあの魔法から生き残ったのか?それとも部下を捨てて逃げたのか?」
「部下などいつでも作れるわ」
「いつでも作れる部下の仇討ちとは結構なことだ」
「煩い!死ね」
「クソっ刀を忘れた」
「この攻撃を避けるか」
仕方ない「ソードクリエイティブ」錬金術で剣を作った。
先ずは従っている魔人を斬り伏せて魔王と名乗る者と対峙する。
「我に勝てるとでも?」
「勝てるがどうかわからないけど負けない」
先手を取ったのはライオネル。
雷を纏わせ斬りかかる。
「なんだこれは?」
「結界だライオネルとやら。あの星が落ちてきたらたまったもんじゃないがそんな攻撃なら完全に防げるワハハハ」
「結界撃破結界撃破!」
剣を撫でながら祈るようにイメージを付与するとボッと光る剣。
そのまま結界を斬った。
「なんだと。どんなトリックだ?」
「やればできるものだ」
「炎よ爆ぜろ」
炎と爆の魔法を合わせた大魔法。
魔王を燃やして爆発した。
「ワハハハ流石だな。だが我を倒すにはまだまだ足りぬ」
そう言うと魔王は眷属召喚を行った。
「ライオネルよこれをお前の国へプレゼントしよう。では我はここで失礼する」
そう言って魔王は消えた。
そして魔王が消えると共に現れたのはドラゴンだった。
「我を呼んだのは誰だ?ほう主が我を呼んだか?物凄い魔力よの。死に晒せ」
ドラゴンが炎を吐きライオネルを焼く。
「エクストラヒール、呼んだのは僕ではありません。魔王と嘯くゴーガイフという者が召喚したのです」
「知らぬ、目の前に強き者がいるのだ我と戦え」
「ここは民の往来、場所を変えませんか?」
「知ったことか」
そう言うとドラゴンは街を壊し始める。
「やめろ」
ドラゴンの顔に向けて錬金した槍を全力で投げた。
「なに」
避けきれずドラゴンの頬に刺さった。
「貴様、この我によくも槍を突き立てたな」
「お前が街を壊したからだ。許さない。虚空」
ライオネルの虚空がドラゴンとライオネルを飲み込んだ。
「なんだこれは」
「僕の虚空だ、一生ここで過ごすか?」
「戯けたことを」
暴れるドラゴンを見て虚空を閉じた。
数日後、虚空の中のドラゴンにライオネルが語りかける。
「もう一度問う、ここで一生を終えるつもりか?」
「それもまたいいかもしれぬな」
「本気なのかい?」
「ここで数日、頭が冷えた。知らぬうちに魔王の眷属に成り下がっていた。ここにいれば呼ばれる事もなかろう」
ドラゴンを眷属にするなんて凄い奴だ。
「そうだったのか。眷属解除!これでもう大丈夫だと思う」
「本当か?有難い。そして先程は済まないことをした。詫びよう」
そう言って巨軀を下げた。
「どう言う風の吹き回しだ?」
「これからは逃げられない、死んだも同然だ。やり直すなら都合がよかった」
素直な奴。
「どこかに住んでいたのか?」
「こことは違う大陸だと思う。魔王軍に蹂躙された大陸、今は我々だけのが暮らす大陸」
「どうするかは好きにしたらいい」
「しばらくここで休ませてくれ」
「わかった」
虚空を閉じて空を見上げたらもう日食は終わっていた。
数日後、ドラゴンは僕の眷属になると言い出した。
ネルがいればドラゴンはいらないのだけど・・・
仕方なく了承した。
「主人、小さくなりますので出してくれますか?」
「小さく・・・?わ、わかった」
虚空を展開すると中から可愛らしい男の子が出てきた。
「き、君は?」
「ドラゴンですよ主人、我々は竜人族。本来、人の姿で生活しています」
「そうだったのか。なら城で暮らせるってことだね。今日から僕付きの従者、執事見習いとして働いてもらおうと思う」
「かしこまりました」
「で名前は?」
「眷属の印に主人に名前を頂きたい」
「そうか・・・リュウというのはどうだ?」
「リュウですか。ありがとうございます。これから私はリュウと名乗りましょう」
その後、父に挨拶をすると流石にびっくりしていた。
「ライオネル・・・お前と言う奴は伝説クラスの竜人族を従者にするとは」
「これで僕付きの執事、メイドが決まりました。よろしくお願いします」
「わかった」
「ミーケ」
「ご主人様。この子は竜人族のリュウだ、そしてリュウこっちがミーケだ」
「よろしくお願いします」
「よろしくお願い致します」
「2人とも僕付きの執事とメイドとなった。しっかり勉強してくれ」
「わかりました」
「承りました」
後日談、この時代と言うかこの世界の人々は日食や地震、火山の噴火などを不吉な事の前触れや神やその土地の主の怒りだと思っているようだ。
これを変えるのは難しそうだ。
家族や婚約者達にある程度説明はしたが理解してくれていなかった・・・。
うん諦めよう。
リュウは眷属となったがドラゴンの姿になる時は殆どないと言う。
これでネルが拗ねずに済むかな?
最近は転移したばかりでネルに拗ねられてばかりだ。
たまにはネルに乗って出掛けよう。
マリアを誘って西の大陸へ向かった。
「ライオ様、西の大陸の復興はどのような感じですか?」
「そうだな。あらかた片付いてこれから建設を始める場所も多々あると聞く。復興にはもう少し時間がかかるだろう」
ライオ様は何をしに西の大陸へ?」
「復興のお手伝いかな?」
そう言うと次元魔法から木材を大量に取り出しながら家を魔法で立て始める。
「これは?」
「武器を作るときと似ているかな?家も錬金術で建ててみたよ。仮住まいも出来るしそのまま住み着いてもいいようにね」
「凄い」
今度はマスタングにほど近い港町へ出向くとそれは立派な港とその周辺に街を作った。
そこから程なく小高い丘の頂上はと赴くと。
「ここに僕達の住む家と大きな街を作ろう」
「は、はい」
そう言うとマリアは耳まで真っ赤になって僕の背中に顔を埋めた。
そう言うとゴゴゴゴゴと地面から土台が迫り出した。
その上に立派な家があっという間に建ったのだった。
「内装はみんなで決めよう」
「はい」
その後、周りに塀と豪華な門扉を作り上げそこから港まで広い石畳の道を通した。
そこから城下町の要領で円を描くように街や道を築き上げた。
家や道は広く作られていてとても美しい街並みとなった。
そこからまだ移動しながら街や村を復興させながら道も繋いだ。
「今日はここまで。今度は皆んなで来て僕達の家を完成させよう」
そう言うとネルは大空へ飛び立った。
後日、皆が揃ったので転移をしようとしたら父と母に呼び止められた。
「どこへ行くのだ?」
「まだ決まってはいませんが西の大陸の復興と僕達の家を完成させようと思います」
「そうか。私達にもちょっと見せて欲しい」
「わかりました。一緒にいきましょう」
転移初体験の両親は戸惑っていた。
「ここを僕達の家にしようと思っています」
「立派な家だな」
「ありがとうございます。まだ外見だけで内装は手付かずです。皆んなで作り上げましょう」
「はい」
そう言うと5階建ての立派な屋敷の中へ入った。
「金属や木材等の材料は沢山持ってきました。色々作っていきましょう」
先ずは1階ホールには真っ赤な絨毯を敷いた。
階段は左右に配置されているので真ん中の吹き抜けにマスタング家の家紋であるグリフォンとドラゴンの石造作り上げて真ん中に布でエンブレムを作りそれぞれの石造に持たせて完成させた。
「おおこれは立派な。ライオネルよ城にも作ってくれ」
「はい。わかりました」
1階は基本的に住み込みの従者の部屋や兵士の詰所を配置する予定。
二階に上がり執務室兼謁見の部屋として絨毯はペルシャ絨毯をイメージした柄にした。
「まぁ素敵。ライオちゃん私達の寝室にもこの絨毯を敷いて欲しいな」
「お母様わかりました」
3階をリビングダイニングにして寛げるようにソファーやテーブルを配置する。
「このソファー凄いふかふか。座り心地も最高」
4階に寝室や客室を十数部屋用意して5階に僕の部屋を配置した。
皆で分けようと話したら家の主人が狭い部屋とは何事だと叱られた。
各部屋最高のベッドを配置すると皆自分の部屋を決めたようだ。
各部屋置に大きなクローゼットと化粧台、応接に対応したソファーとテーブルを配置した。
それでもまだまだ余裕だったのでその他に欲しいものは各自決めてもらった。
後半年程で結婚してこちらから旧帝国領に領地を持つことになる。
正直こちらの方ができることが沢山あって楽しそうだ。




