グリフォンと初恋
誤字脱字お手柔らかにお願いします。
冬が明け少しずつ暖かくなり春の訪れを感じる頃。
調べ物をしていたらあるスキルに目を奪われた。
眷属スキルだ。
テイムとかテイマーと呼ばれる魔獣を飼い慣らせるスキルだった。
王族の紋章にはグリフォンとドラゴンが描かれている。
これは最強の印でありこの国にも存在して、神獣と呼ばれ眷属スキルのレベル5でもテイム出来ないとされている。
そして世界では浮遊魔法が無い、浮遊魔法を欲して出てきた答えが風魔法を足から噴射する方法だった。それは浮遊とは呼べずただのロケットだった。
命がいくつあっても足りないロケット魔法より確実に食べる魔獣を眷属にしようと考えたのだ。
ドラゴンは場所を取る為断念した。
グリフォン一択だった。
グリフォンが住むのは王都に隣接する領地コースト。
コースト領の端に山がある。
その山の麓にいるそうだ。
学校の休みを利用してコースト領へ足を運んだ。
王族の紋章無しの馬車できたとは言え、この地の領主に挨拶も無しとはよくない。
領主の住む家はかなり大きく立派な造りをしていた。
「こんにちは。私はライオネル=フォン=マスタングと申します。領主へ取り次いで頂きたい」
門に立つ兵士に取り次ぎをしてもらった。
扉が開くとそこにはとても美しい少し上の女の子が立っていた。
「お初にお目に掛かりますわ。私はレイア=フォン=コースト。今は亡きホルネスティ=フォン=コーストの一人娘で現領主でございます。領主と言っても没落予定の貴族ですわ」
「は、初めまして。僕はライオネル=フォン=マスタング第3王子です。実はグリフォンをこの目で見たくこの領地へ参った次第です」
「グリフォンを見たいですって?危ないのでお勧め致しかねますわ」
「ご心配ありがとう。ですが僕なら大丈夫です。とは言え信じられませんよね?でしたら兵士を集めて頂けますか?屠ってご覧にいれましょう」
「まぁ随分自信が有りますのね。いいですわ私も付いていって差し上げますわ」
「それこそ危ないと思いますよ」
「ご心配ありがとう。ですが問題ありませんわ」
売り言葉に買い言葉でいつの間にか一緒に行くことになってしまった・・・。
馬車に揺られること数時間、ようやく到着した。
「それではグリフォンを探してみましょうか」
「それは大丈夫。グリフォンはもうきづいていますわ」
「え!?早い。て言うか何故分かるんだろう」
サーチに反応と共に急接近する魔獣、間違いないグリフォンだった。
思わず剣を抜き待つと・・・
目の前まできて止まった。
「強き者よ、何用だ?」
「僕はライオネル、ライオネル=フォン=マスタングだ。グリフォンを眷属させる為に来た」
「ライオネル殿下、そんなこと出来ないことは知っていますわよね?」
「レイアさんだから僕は強いと言いましたよね」
「確かに強いようだな・・・神の力、神の言葉、神の愛すら得ているだな。参った。勝ち目は無いし眷属のレベルも5を優に超えている。ライオネル様私はあなたの眷属になろう」
「ありがとう」
「眷属の証に名前を付けてくれ」
「わかった」
名前か・・・。
グリグリ?グリやん?グリっち?
ライオネルは名付けのセンスが無かった。
「ライオネル殿下?」
「レイアさんどうにかいい名前を思い付く方法って知ってます?」
「あはは。そうね、例えばライオネル殿下の名前の一部を取るとかですかね?」
「一部か・・・ライオ・・・ネル・・・。あっ!?ネル、ネルは?僕の親しい人はライオと呼ぶので残ったネルをお前にやろうと思う」
「主人、主人の名前から頂けるとは。今日からネルと名乗ろう。主人よろしくお願いします」
「ネル、よろしくな」
「ウフフ。ライオネル殿下素敵です」
「えっ!?あ、ありがとう」
2人の顔が赤く染まるのは夕日のせいだけではなさそうだ。
馬車の行者に父に伝言を頼み帰ってもらった。
僕はレイアの進言もあり一泊させて頂くことになった。
帰りは勿論ネルに乗って。
空の旅はとても素晴らしかった。
遠くに王都の煌びやかな灯りも見えて下にはコーストの街もキラキラと光る。
「素晴らしい夜景ですね」
「はい。とても素敵です」
あっという間の空の旅を終えてコースト伯爵家へ到着した。
到着後2人だけの夕食を取った。
いつもは1人で食事をしているそうだ。
寂しいだろう。
レイアさんが嫁げばそこで没落するコースト家。
年齢的には婚約者がいてもおかしくない年頃、それにとても美しい女性なので他の貴族からも声が沢山掛かるだろう。
何故だろう気になってしまう。
天涯孤独の境遇が前世の僕に似ているからか?
それとも1人の寂しさを知っているからか?
「レイアさんあの・・・今日はありがとうございます」
「いえいえ。私は領主として当然のことをしたまでですわ」
「そうだ、この屋敷の自慢の浴場へ是非入って下さいね」
「ありがとうございます。食事が終わったら頂きますね」
弾まない会話に苦笑いの2人。
食事中、レイアさんは様子を伺っているようだった。
食事を終え浴室に入るととても豪華だった。
呆気にとられていると後ろから声がしたら。
「天然温泉ですよ。陛下」
「えっレイアさん、なんで?」
「大丈夫。水着着ていますわ」
へぇこの世界にも水着ってあるんだな。
「って水着だからって僕は裸です」
「いいじゃないですか」
「はぁ」
仕方なくお湯に浸かる。
すると背後から抱きしめられた。
「え?」
「陛下、ごめんなさい。今は1人ですが少し前までは家族がいました。その頃のお風呂は弟と一緒に入っていました。生きていれば陛下と同じくらいですね」
そうか、この人は僕に弟を見ているんだ。
その瞬間、バァーッと血が駆け巡った。
心臓がバクバクして痛かった。
それを恋だと知った時にはもう失恋していたことも知った。
なんて儚い刹那のそして永遠に忘れられない初恋だった。
「明日の朝までは弟として接して下さい」
「陛下」
「レイア姉さん」
その言葉に涙を零し僕に抱きつくレイア。
心臓が飛び出る程嬉しかっだけど辛かった。
しばらくして僕は部屋へ戻った。
前世でも味わったことのない心の痛みに驚きながら就寝した。
朝、一緒に朝食を取って僕は帰る時間になった。
「ありがとうございましたライオネル殿下。昨日は申し訳ありませんわ」
「気にしないで下さい。それに弟は慣れていますから」
「ありがとうございます」
「ライオと呼んで下さい」
「はい、ライオ様また来てくださいね。心待ちにしておりますわ」
「ありがとう・・・最後に一ついいかな?」
「なんですか?」
「僕と結婚して欲しい。勿論弟で構いません。貴方が好きです」
「ごめんなさい。私は伯爵家の人間。釣り合いませんしここも守らなければなりませんわ」
「わかりました。答えは分かってました。では失礼致します」
気持ちは伝えた。
これでいいのだ。
「ありがとう」
グリフォンに乗り空高く舞い上がった、レイアの頬に水滴が落ちた。
「ライオ様私の為に泣かないで下さい。私もお慕い申しております。お元気で」
レイアも初恋だった。
最初は弟のことも考えた、その後にグリフォンと対峙した時ずっとライオネルはレイアを守ろうとしていた。
それに気づいた時からずっと好きと言う気持ちが溢れた。
浴室での事はライオネルの優しさに涙が溢れて思わず抱きついてしまった。
夜はずっとライオネルのことを考えていた。
しかし伯爵家は下級の貴族、下級貴族が王族に嫁ぐなんて前例はなかったのだ。
ライオネルが朝結婚して欲しいと言った時、本当に迷った。
でもきっと困らせる、前例がない事で反対もされる。
だったらこのままでいようと思った。
諦めた時に夢が出来たもっと頑張って上級貴族の仲間入りを果たした時、今度は自分からライオネルに結婚して欲しいと伝えようと。
そんな風に考えたら少しすっきりした。
「ありがとう」
コースト領から飛び始めたネルは順調に高度を上げグライダーの要領で滑空していた。
目指すは王城。
馬車で数時間掛けた道のりをネルは30分程度で王城まで戻ったのだ。
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淡い恋っていいもんですね。
ああ恋したい。




