第87話 〜武器〜
秘密と暑さ。
俊也は一人千夜を背負いながら砂漠をひたすらに歩いていた。
俊也
「あ、暑い・・・」
何だよ、この暑さ・・・異常過ぎるぞ・・・
それもそのはず千夜が砂漠であんな炎を使ったのだからその熱気が残っているのは仕方がない、が俊也はそんな事にはまるっきし気付いていない。
俊也
「早く着かないかなー・・・」
俊也はチラっと千夜の顔を見てみた。
千夜は俊也の肩ですうすうと寝息を立てて気持ち良さそうに寝ていた。
俊也
「寝てるか・・・」
まぁ、悪い気はしないんだがな。
なんせ千夜の・・・が背中に当たって・・・って!!こんな事考えるな!!
アホ!!
俊也は首を激しく横に振り邪気を振り払う。
俊也
「ふぅ、平常心に戻ったな・・」
俊也は千夜を背負い直しひたするに砂漠を歩く。
俊也が千夜を背負って砂漠を歩き続けてはや30分が経とうとしていた。
俊也
「暑さは引いたがちょっとばかし疲れたな・・・」
さすがにというか俊也にしてみれば30分も人を背負って砂漠を歩くなど今までであれば無理難題であっただろう。
が俊也は少しだけの成長すら素直に喜ぶ事は出来なかった。
こんなんじゃ、駄目だ。
俺はまだまた弱い。
千夜なんかよりずっと、ずっと。
もっと強くなって・・・
そんで千夜を守れるようになる・・・、なり、たい。
誰も守れないのはもうごめんだ。
次は自分が盾になって守るんだ。
そんで千夜みたいにあんな台詞を言えるくらいまで強くなる・・・
って千夜の格好いい台詞は駄目だったんだな・・
俊也はまた千夜を見た。
こんな、
こんな俺よりか小さくて年下の・・・年上なのかもしれないが(千夜本人によると)女の子にいつまでも守ってもらってたら男が廃る!!
・・・でも。
千夜って案外近くで見ると可愛いな・・・
と、俊也が千夜を見ながら歩いていると何かにつまづいた。
ドッ。
俊也
「んぁ!?ぶっ!!」
ドフッ!!
俊也は両手を使えないため受け身すらとれずに豪快に砂漠に倒れた。
するとそれをきっかけに千夜が目を覚ましたようだ。
千夜
「ん・・・・、ん?」
千夜は自分が俊也の上に乗っかっている事に気付いた。
千夜
「何でガキが・・・」
と千夜が考えていると俊也が首だけ捻らせ言った。
俊也
「っぷは!!千夜、起きたなら退いてくれよ!!」
千夜は漸く俊也が困っている事に気が付くとひょいっと退いて立ち上がった。
千夜
「あんた、何してたの?」
俊也は砂を払い立ち上がった。
俊也
「簡潔にまとめると気絶した千夜を背負って歩いてこけた。だ。」
本当はもっと必死になってた事を伝えたかったが面倒だったのでやめた。
千夜
「え!?私気絶したの?何で?」
どうやら千夜は闘ってい4辺りからの記憶が曖昧らしい。
俊也
「うん、俺はよく知らないけど千夜が言うに力の使いすぎで疲れて気絶した、らしい。」
千夜
「私そんなに闘ったっけ??」
まだ不思議そうに聞く千夜は本当に覚えていないようだ。
俊也
「そりゃあ千夜が一瞬でやっつけたからなぁ、覚えてないのも仕方ないさ。」
千夜
「一瞬?私、何した?」
俊也はまだ思い出せないのか、とため息をついて話した。
俊也
「だ、か、ら!!こうでっっかい炎て馬猿をこうスバァァっと薙ぎ払ってだな・・・」
俊也は千夜の演技を見よう見真似で再現しながら伝えた。
千夜
「・・・あっ!!もしかしてこれ!?」
千夜はローブの中から先程の両手持ちの銃を取り出した。
俊也
「いや、遠かったからそれかどうかはわからないけど・・・」
と俊也が言ってると千夜は銃を下に向け手を宝石にかざした。
千夜
「サーキュレイション、目覚めよ、灼蓮の剣。」
ボッ、という音とともに銃に俊也がみたのと同じ緋色の炎が包み剣の形になった。
俊也
「!!、それだよそれ!!」
千夜はそれを聞きおわるとふぅ・・・と炎を消し銃をローブにしまう。
千夜
「やっばりそうだったのね・・・」
千夜は怪訝な顔で考えている。
俊也
「やっぱりって?」
千夜
「これさ、威力は凄いんだけど力の消費が激しくて私でも一発でかいのやるとすぐ倒れちゃうのよ。」
俊也
「それも千夜の創造した武器なのか?」
千夜
「違うわよ、一人が創れる武器は一つだけ、私の場合はこれ。」
千夜はそう言い二丁拳銃を綺麗に取出し見せるとしまった。
俊也
「じゃあさっきのは何なんだ?創造出来るやつは普通の宝石の武器は使えないはずだろ?」
千夜
「まぁ、普通ならそうね。普通なら・・・」
俊也
「普通じゃないのか?」
千夜は悲しそうな顔になりそれを隠すかのように歩きだした。
俊也はそれを追い歩く。
千夜
「さっきのやつはね?私が――」
と千夜が話しだそうとした時に俊也が遮った。
俊也
「いいよ、無理して話さなくて、よーわ千夜の手には負えない武器って事で理解しとけばいいんだろ?」
千夜は少し黙って歩いていた。
千夜
「それでも、聞いてほしいの・・・」
俊也はどうやら自分にもなんらかの関わりがあるように思えた。
俊也
「・・・わかったよ。聞く。」
千夜はそれを確認すると一度間を置き話した。
千夜
「実はさ、さっきのノゾミが創造した武器なの・・・」
俊也
「ノゾ、ミ・・・・・?」
俊也は久しく忘れかけていた人物の名を聞き思い出が頭を駆け巡った。
と、共にある疑問が浮かんできた。
俊也
「ちょっ、ちょっと待てよ、ノゾミの武器はあの銃じゃないのか・・・?それに自分の創造した武器は一心同体で壊れたりしたら持ち主が―――」
千夜はどんどん問い詰めてくる俊也は手で制止させた。
千夜
「聞きたいことが山程あるのはわかるわ、でも私から言えるのはノゾミが私に武器を渡してもノゾミは死ななかった。それだけなのよ・・・」
俊也
「・・・・、で、も、自分の命と同じくらいのものを渡すなんて出来るのか・・・?」
千夜
「私は知らないの、ヤオに聞いた話しによるとあの事件で助けに来たヤオが到着した時にノゾミが倒れてる私に武器を入れてた、って言ってたから・・・でもノゾミは生きていたの、何故かはわからない・・・」
俊也
「だってノゾミが持ってたのは片手の銃の筈だろ?あれはどういう事だよ?」
千夜
「あれはノゾミが持ってた護身用のだから・・・」
俊也
「一体、ノゾミは何なんだよ・・・」
俊也は顔を俯けながら言った。
だっておかしいだろ?
普通は死ぬかもしれないのに、武器を渡すか?
ノゾミが普通じゃないからか?
そんな筈ない。
あいつは普通のちょと怪力があって麺類好きの天然少女だ。
普通、只の・・・
俊也が悩んでいると千夜が横から言った。
千夜
「ご、ごめん・・・やっぱり言わなかった方が良かったわね・・・」
俊也は千夜の謝っている姿に少し驚きつつも言った。
俊也
「いいって、千夜が気にすることじゃないさ、むしろノゾミの事が分かって良かったぞ?」
千夜は優しく笑ってくる俊也を見ていた。
千夜
「ありがと・・・でもノゾミは知らないから、会っても言わないであげて?私もノゾミの前でこの武器は使わないから・・・」
俊也
「分かった・・・」
俊也は納得するとまた前を向いて歩きだした。
千夜はその背中を見つめてから少し遅れて歩きだした。
二人が話しおわってから一時間程経った頃だった。
千夜があるものに気付いた。
千夜
「ねぇ、あれ、見覚えない?」
俊也
「ん?」
俊也は千夜が指差す方向を見ると砂漠が途切れて岩石地帯が見えていた。
俊也
「あれってまさか・・・バーラルマウンテン??」
千夜
「やっと見えたわね、さっ急ぎましょ?」
二人は疲れているのも忘れ早足で歩きだした。
それから20分程で二人は砂漠を抜け岩石地帯に辿り着いた。
俊也
「あ、やっと砂漠抜けたぁ」
千夜
「私の予定より遥かに時間掛かっちゃったしさっさと崖下りるわよ?」
千夜は残酷にいい放った。
俊也
「休みなし?」
千夜
「なし。休む暇あったら・・・あ。」
千夜はある事を思い出した。
無論それに気付いた俊也も思い出す事になった。
俊也
「崖の下りる手段・・・」
千夜
「考えてなかったのよね・・・」
俊也&千夜
「「はぁ・・・」」
二人は同時にため息を付いた。
俊也
「と、とりあえず崖の淵まで行ってみよう・・・」
二人は重い足取りで崖を目指し歩き始めた。
その先で思いもよらぬ危険と再会が待ち受けているとも知らずに・・・
第88話へつづく
時間がありません。




