第85話 〜悪夢〜
夢を見る
俊也は暗い道を一人歩いていた。
「(ここ・・・どこだ?)」
俊也は目を凝らすが道が遥か彼方まで続いているだけで何も見えなかった。
夢、か・・・?
俊也は夢が夢であると分かる事が不思議でならなかった。
が、俊也は別に意味はないのにその道をずっと歩いていた。
何故だろう?
足を止めてもいいのに止める気にもならない。
それに疲れない。
何なんだ?これは・・・
俊也は只自分の思考がやけに冴えている分少し嫌になってきた。
コツ。
「(ん?・・・)」
俊也は振り向いてみたが何もいなかった。
「(気のせいか・・・)」
と、俊也はまた歩きだそうとした瞬間。
コツ。
また足音が聞こえる。
俊也は急に恐怖に見舞われ走りだした。
何だ、やけに恐い。
心臓の音はいつもより何倍ま早く鼓動していた。
「(まだ、いる・・・!)」
コツコツコツ。
俊也の走る音に合わしてどこまでもついてくる。
「(誰だ!!)」
俊也が振り向くとそこには先程とは違い黒い人影が立っていた。
『き――会いに―――。』
「(!?、声・・・?)」
でも、途切れて何を言ってるのかよく聞き取れない・・・
俊也は一様聞き返してみた。
「(もう一度言ってくれないか?)」
黒い人影の表情は見えなかったが軽く頷いたように感じた。
『――に―――来た――。』
またしても途切れていて聞こえづらい。
俊也はこの距離(5、6m)で聞こえないのもおかしいと思いながらも一歩近づいた。
『――、―――んだね!!』
俊也が一歩近づくと喜ぶような声が聞こえた。
「(え?、何?)」
俊也は近づく足が止まっている事に気付いた。
動、かない・・?
俊也は自力で体を動かそうとするが石のように動かない。
『――たの?、―て――ない―?』
今度は何か不思議そうな感じ声で聞こえた。
そして
『なら、死んで?』
「(!??)」
俊也は何故かそこだけがすべて聞き取れた事で恐怖がさらに増した。
すると俊也の意志とは関係なく俊也の体はその黒い影から逃げるように走りだした。
勝手に・・・走りだした!?
俊也は訳が分からず必死に逃げる自分を見ていた。
『――!!』
すると背後から怒りを込めた声と共に黒い影が迫ってくるのを感じた。
や、ばい・・・
俊也は感じた。
逃げなきゃ、逃げなきゃ逃げなきゃ逃げなきゃ逃げなきゃ逃げなきゃ逃げなきゃ、逃げなきゃ!!!
俊也は必死にそれだけを考えて走った、が。
『バイバイ。』
俊也の前に黒い影が現れ何かが俊也の中に――――――――
俊也
「うぁぁぁあぁあ!!!」
俊也はそこで目を覚ました。
俊也
「はぁ、はぁ、はぁ、ゆ、夢・・・?」
俊也の全身からは汗が吹き出ていて顔は青ざめていた。
俊也は取り敢えず自分がどこにいるのかを確認した。
俊也
「砂漠、・・・飛竜、・・」
俊也は今見えるもので漸く自分がどういう経緯でそこにいるかを思い出した。
すると横から声が聞こえた。
千夜
「うぅ・・・ん、・・」
俊也
「え?」
俊也は千夜が横に寝ていた事を思い出した。
俊也
「うわぁぁっ!?」
ドフッ。
俊也は一気に飛びずさったせいで砂に倒れる形になった。
すると千夜が目を覚ましたようで体を半分起こし目を擦っていた。
千夜
「ん・・・。?、何、してんの?」
千夜は何故か砂塗れになっている俊也を見ながら聞いた。
俊也
「え?あ、いや、ちょっといろいろ・・」
俊也は理由が見つからなかったので話題を変えることにした。
俊也
「そ、そうだ!千夜、熱は下がったのか!?」
千夜は不思議そうに俊也を見つめる。
千夜
「熱?、何の事?」
どうやら千夜は覚えていないようだったので危険シーンは省いて経緯を説明した。
俊也
「まぁ、そういう訳で俺は昨日大変だったんだからな?」
千夜
「まぁ、看病してくれた事には礼を言うわ、けど一つ質問があるんだけど。」
俊也は取り敢えず分かりそうもなかったので首を傾げた。
千夜
「もしかして隣に寝た?」
俊也
「なっ?!?!」
俊也はまじで焦った。
やばいやばいやばい!!
千夜のやつ感付いてる!?
どうしよう?、でも俺から行ったわけじゃなく千夜が・・・
いやいや、そんなバカ正直に言った所で殺されるだけだ!!
それだけは絶っ対に嫌だ!!
ならばここは・・・
白を切り通すまで!!
俊也は考えをまとめ答えた。
俊也
「何言ってんだよ、俺はそんな事するわけないだろ?」
俊也は千夜に殴られるかそわそわしていた。
いろんな意味で。
千夜
「じゃあ、何で私の横が綺麗に一人分の温もりがある訳?」
俊也
「(ぬ、ぬくもりだとー!?!)」
や、やばい、そこまで考えてなかった!!
あぁ!!俺の体に体温などなければぁぁ!!
すると完全に一人で悩んで焦っている俊也に気付いた千夜は訝しげな目で見つめる。
千夜
「ねぇ、どうかしたの?」
俊也は千夜の訝しげな視線に気付く。
うわぁ、あのいかにも疑ってるような目・・・
これは殴られるしかないか・・・
と俊也が覚悟を決めて本当の事を話そうとした時だった。
千夜
「ねぇ、何か音がしない?」
俊也
「え?」
俊也は余りにも一瞬にして話題が変わり心底安心しつつも疑う。
ドドドド……………
俊也
「地震、か?」
千夜
「それにしては少し違うような・・・まさか!!」
千夜は何か心当たりでもあるのかローブを退け飛竜の片翼から出た。
取り敢えず俊也も気になり千夜の方に向かった。
千夜
「くっ・・・やばいわね・・」
めずらしく千夜が真剣な顔でそれを見つめながら言った。
俊也
「一体何が・・・ってあれって!!」
俊也が片翼から出て砂漠の方を見るとこちらに向かってくる大量の馬猿が物凄い地響きと共に迫ってきていた。
俊也
「あの馬猿まだあんなに・・・」
千夜
「私達が狙いな訳ない・・・!!狙いは飛竜!!」
俊也
「ど、どういうことだ!?」
千夜
「あいつら飛竜が砂漠で休んでるとか勘違いしてるのよ!!だから・・・」
俊也
「今のうちに殺そうって事か。」
千夜はそれに静かに頷いた。
千夜
「このままじゃ私達も巻き込まれて下手すれば・・・」
俊也
「ちょっ、千夜ならあんな馬猿一捻りじゃないのか!?」
俊也は千夜の強さは本物だと身をもって知っていたため何故そんな事を言うのか不思議でならなかった。
千夜
「一体ずつなら一捻りよ?けど見なさいよ、あれを。」
俊也は言われるがままに馬猿の方を見ると千夜が続けた。
千夜
「あれ、たぶん軽く300はいるわよ?」
俊也は余り視力は良くない方だったがこの際そこは余り気にしなかった。
俊也
「軽く300!?ってここにいたら確実にやばいだろ!?」
千夜
「ちっ、木偶の坊が居れば何とかなったかもね・・」
千夜は初めて刃界が必要な時があることを知った。
俊也
「・・・、今は・・仕方ない、逃げよう!!」
千夜
「くそっ!!私が逃げるなんて!!次あったら皆殺しにしてやるわ!!」
千夜はそう吐き捨て荷物のある場所に戻り宝石に乱雑にしまい込みローブを羽織った。
千夜
「ガキ!!もたもたしない!!」
俊也はローブを羽織っている途中で怒鳴られた。
俊也
「わ、わかってる・・・よし!行こう!!」
俊也がローブを羽織終わると二人は砂漠を走りだした。
俊也は走りながら千夜に聞いた。
俊也
「どこに行けばいいんだ!?」
千夜
「知らないわよ!!とにかくあいつらに気付かれない事を・・・」
俊也は千夜が馬猿の方を見て言葉を止めたので自分も見てみると・・・
千夜
「気付かれたみたいね・・・」
馬猿の大群の一部が明らかに俊也達目がけて迫っていた。
俊也
「気付かれた!?どうすんだ!?」
千夜
「こうなったら少しでもあっちの大群から離れて今来てるやつらだけを殺る!!」
千夜は簡潔だがかなり大胆な行動に出た。
俊也
「殺るって・・・俺は!?」
千夜
「今回は自分でなんとかしなさい!!出来るだけフォローはするけど・・・」
俊也
「な、なぁ!だったら走るの止めて体力温存した方がいいんじゃ・・・」
千夜は一度飛竜との距離を確認すると走るのを止めた。
千夜
「はぁ、はぁ、さぁて上手くいくかしら・・・」
俊也
「上手くいってもらわなきゃ困る!!」
千夜はそんな事を聞きながら二丁銃を構える。
千夜
「取り敢えず力出せるまでは下がってなさい、私の後ろには一匹も行かせないから。」
俊也は少し格好いい意味で千夜の姿に見惚れながら返事をした。
俊也
「わ、わかった。」
俊也は少し後ろに下がり待機した。
千夜
「さぁて久々にやるわよ・・・」
馬猿との距離、100m。
第86話へつづく
やってくる一難




