第82話 〜出発〜
それぞれの旅路。
一方既にラーマルを出たノゾミと刃界は砂漠の歩いていた。
刃界
「つあっ!!」
ズバッ!!
刃界は体長2M程のバカでかい蟻のような奴の頭を真っ二つに斬った。
「ギュォォ」
蟻は変な呻き声を上げて体をピクピクさせていた。
刃界
「けっ、虫如きが勝てると思うな。」
刃界はそう吐き捨てると刀を腰にある鞘にしまった。
刃界
「姫、お怪我は。」
ノゾミ
「ありません・・・」
刃界
「そうですか、それてば参りましょう。」
刃界はそう言うと黒いローブを翻し先頭を歩きだした。
ノゾミ
「・・・・・」
ノゾミは何も言わずに静かに刃界の後ろに着いていく。
本当にこれで良かったのかな?
二人にお別れすら言えなかった・・・
私、ひどいなぁ・・・
ノゾミは足を止め既に見えなくなったラーマルの方を見据える。
俊也、元気かな・・・
今頃何してるんだろ?
千夜と一緒に私を探してくれてるのかな?
・・・
刃界
「姫、どうかなさいましたか?」
ノゾミ
「えっ?」
刃界はノゾミが足を止めているのに気付き戻ってきていた。
ノゾミ
「な、何でもありません・・・」
刃界は少し間を置き言った。
刃界
「あの二人が気になるんですか?」
ノゾミ
「・・・・・」
ノゾミは答える事が出来なかった。
それを今言ってしまえば心に迷いが生まれてしまうとわかっていたからこそ押し黙り必死に歯を食い縛り耐えていた。
ノゾミ
「先を・・・急ぎましょう。」
刃界
「・・・わかりました。」
そして刃界が前に向き直り歩きだそうとした時砂漠に突風が吹き荒れた。
ノゾミ
「くしゅん!!」
ノゾミはその突風で体が寒くなりくしゃみをしてしまった。
刃界
「姫、ローブを・・・」
刃界は途中で止めた。
そうだ、姫のローブは小僧に・・
そうすると小僧は姫に会えなかったのか?
いわ、あの距離でそれはなかった筈だが・・・
と刃界が考えている時、ノゾミも同じように考えていた。
うぅ、寒い・・・
ローブを、・・・あ。
確か昨日俊也に掛けてもらって・・・
どうしたんだっけ?
言い争いして宿に帰る途中に落としたのかな・・・?
刃界
「・・・姫、私のローブを着てください。」
刃界は敢えて理由は聞かずに自分のローブを脱ごうとした。
ノゾミ
「だ、大丈夫ですから。脱がなくていいですよ?刃界さん。」
刃界
「いえ、姫が風を引かれたら私が王に怒られますから。」
刃界はそう言ってノゾミにはかなりブカブカだが背中から黒いローブを掛けた。
ノゾミ
「・・・、ありがとう。でも寒かったら言ってくださいね?」
刃界
「はい。」
ノゾミ
「我慢するのは無しですよ?」
刃界
「はい・・・」
刃界は自分が我慢する事がバレていた事に多少驚きつつも了解した。
刃界
「それでは行きましょう。」
ノゾミ
「はい。」
そして二人はまた歩き始めた。
二人の事を心の奥底に思い出として刻み込みながら。
時は同刻、千夜はいらつきながら一人ラーマルの入り口で両手を組んで待っていた。
千夜
「遅い、遅い遅い遅い遅い遅い遅い遅い、遅い!!!!」
千夜は一人で遅いを連呼していた。
あのガキ・・・
一体どこまで忘れ物とやらを探しに行ったのよ!!
もしくだらない物だったらブン殴ってやるわ・・・
千夜は一人俊也が帰ってきたらどうするかを考えていた。
すると町の中から声が聞こえてきた。
俊也
「千夜!!!」
それは俊也だった。
先程見つけたローブを持ちながら走って手を振っていた。
千夜
「遅いわよ!!・・・それは?」
千夜は俊也が持っていたローブを指差しながら聞いた。
俊也
「はぁはぁ・・・これか?ノゾミのローブだよ、見て分かんないのか?」
千夜はバカにされた事よりも自分の記憶と噛み合っていないことの方が気になっていた。
千夜
「ちょ、ちょっと待って?確かノゾミの野郎のローブは木偶の坊が持ってった筈じゃ・・・」
俊也はあぁ、その事ね、と話始めた。
俊也
「あの後俺も探しに行ったろ?そん時先に刃界さんに会ってさ、無言でこれを渡されたんだ、で、・・・」
俊也は急に黙り込んでしまった。
千夜
「・・・その後ノゾミの野郎と何かあったってわけね、まぁ、そこは聞かないでおいたげる。」
俊也は面目なさそうに謝る。
俊也
「ごめん・・・」
千夜
「ふんっ!あんたがもしくだらない忘れ物取りに行ってたらブン殴ってやろうかと思ってたけど許して上げるわ。」
俊也
「悪いな・・・」
千夜はしかし!!と仁王立ちで続けた。
千夜
「かよわい少女を一人でこれだけ待たせたのは許さないわ・・・」
千夜の目が悪魔に変わっていく。
俊也
「えぇっ!?俺、そんなに遅かったか?10分くらいしか経っ」
千夜
「問答無用!!」
ボコッ。
千夜は俊也の鳩尾に一発入れた。
俊也
「み、鳩尾・・・ぐふっ。」
俊也はあまりの痛さにしゃがみこむ。
それに比べて千夜はまだ仁王立ちをしていた。
千夜
「はっ!弱い男ね。あ、あんたは男は男でもガキだったわね?ふふふ。」
俊也
「が、ガキ言うな・・・うぐぐ・・・」
俊也は何とか鳩尾を押さえながら立ち上がった。
半分泣き目だった事はしょうがない。
千夜
「さっ、時間掛かっちゃったけど出発するわよ?」
俊也
「はぁ・・・、先が思いやられる・・・」
と一人は元気で一人は既に弱っているような感じで二人だけ、の旅が始まった。
二人は砂漠を歩いていた。
千夜
「ねぇ、呆きた。」
俊也
「おいおい、まだ20歩くらいしか歩いてないぞ?」
俊也は千夜の呆きるのが早い事を知った。
千夜
「だってさ、周り全部砂漠だし呆きるのも仕方ないでしょ?」
たったの20歩で景色に呆きる事が出来る奴がいるのがおかしい。
俊也
「別に景色がすべてじゃないだろ?」
千夜
「何か面白い話ししなさいよ。」
俊也
「嫌だね。」
千夜
「逆らうの?」
俊也は千夜に睨まれ先程殴られた鳩尾がズキズキと痛みだす。
俊也
「ぐ・・、お前何様のつもりだ・・・?」
千夜
「千夜様のつもりよ?」
何故かイントネーションが夜のところが上がっていて変ななまりがあった。
俊也
「言ってろ。」
俊也は両手を頭の後ろで組み無視して歩き始めた。
バキッ!!
俊也
「ふぐぁぁっ!??!」
俊也は前に5、6m程吹き飛ばされ砂漠にダイビングする形になった。
俊也は砂から顔を出し振り向きざまに怒鳴った。
俊也
「な、何すんだ!!千夜!!」
千夜は何が?、と言う様な顔で近付きながら普通に返す。
千夜
「わかんなかった?ドロップキックよ。」
俊也は立ち上がりまた怒鳴る。
俊也
「へぇ、ドロップキックかぁ・・・じゃなくて!!理由だよ、理由!!」
千夜は俊也の横を無視して通り言った。
千夜
「むかついた以外に理由でも?」
俊也
「て、てっめぇ・・・」
珍しく俊也のボルテージが上がっている。
千夜
「あ!後ろにノゾミが倒れてる!!」
俊也
「ノゾミ!!」
俊也は勢い良く振り返り目で見てから気付いた。
俊也
「・・・い、いねぇじゃねぇか!!」
千夜
「あはは!!本当ガキは純粋で面白いわね?」
俊也のボルテージが爆発した。
俊也
「もう許さん!!土下座させてやる!!」
俊也は物凄い勢いで千夜に向け走った。
千夜
「きゃあ!!お助け!!」
千夜は逃げながらわざと言う。
俊也
「こらぁ!!待ちやがれ!!」
二人はその後1時間も走り回り結局両者バテての体力切れで幕を閉じる結果になった。
二人は砂漠に大の字で倒れこんだ。
千夜
「はぁはぁ・・・やるわね・・」
俊也
「はぁはぁはぁ、う、うるさい・・」
二人は本来の目的を忘れているような気がした。
二人は息を整え立ち上がった。
千夜
「さて、本当に無駄な時間使っちゃったわね。」
俊也
「まったく誰のせいでこんなことに・・・」
千夜
「早く行くわよ、私砂漠で野宿なんて嫌よ。」
俊也
「はいはい。」
俊也は思った。
こいつ、崖を降りる事を忘れてるんじゃないか?
いや、もう最初っから気にしてないんだな、きっと。
そんな事を考えながら前をだるそうに歩く千夜を微笑しながら俊也は見つめていた。
千夜
「何笑ってるのよ、いやらしい顔して。」
俊也
「・・・・」
少しでも千夜が可愛いとか思った自分が情けない。
俊也がそれに答えようとした瞬間
俊也
「な、何だ?あれ。」
千夜は俊也が真面目な顔で言うので前に向き直った。
千夜
「・・・盗賊!?」
二人の前方には何十人かの千夜で言う盗賊らしきやつらがナイフを持ってこちらに向かってきていた。
第83話へつづく
前途波乱。




