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第80話 〜資金〜

先立つものはお金。

千夜

「ん、しょっと!、着替え終了、もういいわよ、ガキ。」

俊也はそう言われやっと呪縛から解放された気分になりため息をつく。

俊也は千夜の方に向き直ると千夜は最初に会った時と同じ半袖短パンの千夜らしい服を着ていた。

俊也

「それって確か最初に会った時の服か?」

千夜

「そうよ?悪い?」

俊也は千夜に睨み付けられた。

俊也

「い、いや、悪いなんて滅相もない。」

千夜はならいいわ、と言って立ち上がり今度は部屋中を立ち歩きながら何かを探し始めた。

俊也

「何探してるんだ?」

千夜

「確かここらへんに・・・れ?」

千夜は棚の布を捲り中身が何もないことに気付くと唖然としていた。

俊也

「そこに何かあったのか?」

千夜は俊也の呼び掛けに気付かない程に動揺していた。

すると千夜が体を震わせながらゆっくりと俊也を見た。

千夜

「お、お、お・・・」

俊也

「お??」

千夜

「お金がない!!!」

俊也は急に大声を出されかなり驚いている。

俊也

「なっ!?、・・・お金がないって?」

千夜

「ここに置いといたのよ木偶の坊のと一緒に・・」

すると千夜は拳を強く握り締めながら憎悪を放つ。

千夜

「木偶の坊の野郎・・・私のまで持っていきやがった・・・ぜっったいに殺してやる!!」

俊也は千夜が今にも暴れそうだったのでとにかく落ち着かせる事にした。

俊也

「ま、まぁ、まぁ、落ち着けって!、自分が常に持ってるお金ぐらいはあるんだろ?」

千夜はその言葉で急いで服の中を探すと余り入ってなさそうだが一つの巾着袋を取り出した。

千夜

「あったぁぁー!!!」

千夜は満面の笑みで巾着袋に頬を擦りつける。

俊也

「良かったな。」

千夜

「うん!!、でも木偶の坊は殺すわ。ふふふっ・・」

千夜は不気味に笑い巾着袋を強く握り締めた。

まるでそれが刃界の首であるかのように。

俊也

「(本っ当に千夜だけは敵に回したくないな・・)」

俊也は毎度の事ながらまたそれを再確認することになった。

すると千夜がベットにある服を宝石にしまいそれをポッケに入れ腰を下ろした。

千夜

「ふぅ・・、とは言ったもののあれだけじゃ港町にすら着けないのよ。」

俊也

「港町?」

千夜は一度間を置いてから俊也を見て続けた。

千夜

「昨日も言った通りラクムへは海を渡らないと行けない、それこそ空でも飛べればいいんだけどね、それで海を渡る為には港町‘クリーフス’にある船で行くの。」

俊也

「他の場所からは行けないのか?」

千夜

「ここは一様島国だからね、それにクリーフス以外の船じゃあの海は渡れない。」

俊也

「ひょっとしてその海に何か出るのか?幽霊とか怪物とか。」

千夜

「うーん、まぁ似たようなもんだけど、実際に町に着いてから自分で聞いてみるのが一番ね。」

俊也

「千夜だって知ってるんだろ?教えてくれよ。」

千夜

「嫌よ、面倒だし。」

俊也

「面倒くさがるなよ・・、まぁ追い追い教えてくれるんだろ?」

千夜

「そゆこと!!さっ目的地は決まった、さっさと準備して行くわ・・・あ。」

千夜は意気込んでいる途中で何かを思い出したようだ。

俊也

「今度は一体何だ?」

千夜

「い、いやー実はさ、私クリーフスには行った事あるんだけどここからどうやって行くのかわかんない・・・」

俊也

「あのなー、ここまで行く気にさせといて今更それはないよ・・・」

千夜

「で、でもね!?い、一様方向はあっちってのは分かるの!!」

と千夜は指を南東に向けた。

俊也

「・・・南東か?」

千夜は慌てながら頷く。

俊也

「それは間違いないんだよな?」

俊也は念をおして確認をする。

千夜

「うん・・・。」

俊也はそれを聞くと立ち上がった。

俊也

「とにかく方向だけじゃ頼りないけどわかってないよりはましだな。」

千夜もベットから立ち上がった。

千夜

「目指すは南東!!・・・にある港町、クリーフス!!」

俊也

「その前に食料買わないとな。」

千夜は出鼻を挫かれ危うく転倒しそうになった。

千夜

「普通そこで現実的に言う?」

俊也

「だって食料無しで着ける距離って保証ないしさ、遠い可能性の方があるだろ?」

千夜は反論出来そうにない正論を言われ渋々頷く。

俊也

「んで現在の資金はいくらなのさ。」

千夜は余り入ってなさそうな巾着袋を取出し中身を覗き込んだ。

千夜

「えっと・・・・さ、3020バルス・・・」

俊也はまだそれが多い量なのかわからなかったのだが千夜の様子を見るかぎり少ないのであろう事を悟った。

俊也

「えーとつまりそれだけで例えば何が買えるんだ?」

千夜は巾着袋をしまいながら考えた。

千夜

「昼飯一二回分、ぐらい・・・」

俊也

「早くも絶望的な現実問題にぶち当ったな・・・」

二人は同時にため息をついた。

千夜

「でも買えるだけは買っとかないと、ね?」

俊也

「だな、いざ飢え死にって時に余ってても意味ないしな。」

千夜

「じゃ、買い出しに行く?」

俊也

「他に何しろってんだ?」

二人は少し微笑してから宿を出て商店街に向かった。


二人は今商店街の八百屋?らしき出店の前で悩んでいた。

俊也

「どうするか・・・」

千夜

「迷いどころね・・・」

二人が何に迷っているかと言うとにんじん9本で500バルスかじゃがいも10個で520バルス、どちらを買った方がいいかであった。

(普通に悩む理由が理解出来ないが)

俊也

「おじさん、どっちの方が長持ちする?」

店長ことおじさんはそうだね、と考えて返事をした。

おじさん

「うーん、どちらも同じくらいじゃないか?」

俊也はさらに悩んだ。

そうなのか・・・

と、いうかこの世界?にも日本見たいに普通にある食物もあるんだな・・・

俊也が考えていると今度は千夜がおじさんに聞いた。

千夜

「ねぇ、私クリーフスって言う港町に行きたいんだけど行き方知らない?」

は、話し変わり過ぎじゃない!?

今ってにんじんかじゃがいもか決めるために悩んでたんじゃないのか!?

確かに聞くのは悪くないけどこっちもそれなりに・・・

俊也

「なぁ、千夜、にんじんとじゃが」

千夜

「は?そんなの買わないわよ、お金の無駄。」

と千夜に即答され俊也は黙るしかなかった。

俺だけなのか?

俺が勝手にそう悩んでるって思ってただけなのか?

と俊也が自己嫌悪してる間に話しは進む。

おじさん

「クリーフス?あぁあの港町か、あんたらあんな遠いとこまで何の用があるんだ?」

千夜

「ちょっとね。で、ここからだとどう行けば一番早く着くかしら?」

おじさん

「確か砂漠を南に抜けた所の橋渡ってレギンピークを経由して後はそこから西にある何だっけかの場所を通って崖下りて下の森を西に行けば大体1、2週間で着くんじゃないか?」

千夜はしばらく黙って聞いた事を頭に蓄積させようとした時だった。

俊也

「ねぇ、おじさん、西じゃなくて東の間違いじゃないか?」

おじさん

「いや?間違いねぇ、クリーフスはここから南西にあるからな。」

俊也はそれを聞いて千夜をじろりと見た。

まぁ言うまでもなく千夜はあはは、と焦っていた。

俊也

「どっかの誰かさんは南東だ!、とか言ってたのはどういうことだろうな、なぁ、千夜。」

千夜

「う、うるさいわね、私だって間違える時ぐらいあるわよ!」

と二人が会話しているとおじさんが言った。

おじさん

「さぁ、教えてやったんだ、何か買ってくれよ。」

と二人は教えて貰うだけ教えて貰い去るのもどうかと思いにんじん9本、じゃがいも10個の合わせて計1020バルス、思いの外大出費になってしまった。

千夜

「これじゃ行き方分かってても辿り着けるかの方が心配になってきたわ・・・」

と千夜が愚痴を言っている時俊也は他の事を考えていた。

1、2週間、かぁ・・・

俊也はえらそーなやつに言われた事を思い出していた。

『―今、私が言える事は一つ、一週間後に君の第二の試練は終わる、いや終わらせる事になる。―』

どう考えてもこのままじゃノゾミに会う前にクリーフスにすら辿り着けない。

本当に後一週間かはわからないけどあのえらそーなやつが嘘を付いているとは思えないし・・・

もっと早く見つけられる方法があればなぁ・・・

と俊也が途方に暮れていると千夜が俊也の前に立ちはだかった。

千夜

「ねぇ、あの時言ってた後一週間って何の事?」

俊也は悩んだ。

どうする?

今言うべきか言わないべきか・・・

が俊也は急がなければならないので言うほかなかった。

俊也

「実は俺、後一週間で、その・・・消える、かもしれないんだ。」

千夜が両手に抱えていたじがいもが地面に転がった。まるで千夜の感情の変化を表わすように。

第81話へつづく

衝撃の、告白。

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