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第79話 〜目的〜

またも千夜さんが大活躍。

二人は宿を出て走っていた。

千夜

「ちょっ!?痛いってば!!」

千夜は無理矢理腕を引っ張られ痛みを訴えていた。

が今の俊也には聞こえていなかった。

どこに・・・

どこにいるんだ!!

ボスッ。

俊也は腹部に何か当たった感じがし足を止める。

俊也

「がっ・・・・千、夜?」

千夜は息を切らしながら俊也の手を振りほどいた。

千夜

「はぁ、あんた、はぁ、少しは、はぁ、落ち着きなさい、・・・」

俊也

「あ、・・・ごめん・・」

俊也はやっと我に帰れたようだ。

千夜

「ふぅ・・・いい?私達が闇雲に追い掛けた所で場所を知らないんだからどうしようもないの。」

俊也

「場所なら分かってるだろ!?あいつの故郷、ゼバ」

千夜は俊也を手で制止させた。

千夜

「人の話は最後まで聞く!だからその名前が分かっていても場所自体が分からないんじゃどうしようもないって言いたかったの。」

俊也は少し俯く。

俊也

「・・・じゃあどうすればいい?」

千夜は待ってました!、と俊也を指差す。

千夜

「私の記憶通りならゼバリースなんて国はない、筈なんだけど木偶の坊の言い方からしてそれはない、かと言ってあきらめはしないんでしょ?ガキだから。」

俊也

「当たり前だろ!?」

千夜はやっぱりね、と少し呆れていた。

千夜

「んで、私が考えたのは王宮がある、ラクムに行く事。」

俊也は首を傾げながら不思議そうにする。

俊也

「?、ラクムって確か千夜の故郷?、だよな。何で?」

千夜

「私の目的はそこの場所じゃなくて人よ。」

俊也は益々訳が分からなくなり続きを待つ。

千夜

「あそこにはヤオがいる。あいつならそこらへんの詳しいとこまで知ってるからゼバリースについてもたぶん聞き覚えくらいはあるはず、分かった?」

俊也は半信半疑でまとめる。

俊也

「うん、つまりヤオって人に会ってゼバリースの場所を聞くってことか?」

千夜

「まっ、簡単にまとめるとそんなとこ。」

俊也はやっと納得しいつもの落ちつきを取り戻したところで疑問が浮かんだようだ。

俊也

「でも、それで見つけてどうするんだ?俺達。」

千夜は考えていなかった質問をされたらしく体が硬直していた。

千夜

「だ、だからお別れを・・・」

俊也

「会いに言って別れるって意味わかんないだろ。」

千夜は焦りながら考えた。

千夜

「う、あ、分かんない!!とにかくこのまま終わらせる訳にはいかないんでしょ!?」

俊也は急に強く言われ一歩下がる。

俊也

「ま、まぁ・・・」

千夜

「なら会ってから成り行きにまかせるしかない!!」

俊也

「そ、そんなもんなのか?」

千夜

「そんなもんよ!!文句ある!?」

俊也は千夜に圧倒され激しく首を横に振る。

それに千夜は納得したようだ。

千夜

「んじゃ、宿に戻るわよ」

俊也

「え!?今から行くんじゃないの?」

千夜は振り返り俊也を見る。

千夜

「ここからラクムまでどんだけあるか分かってる?軽く海一つ越えなきゃなんないのよ?」

俊也

「海を越える!?ってんな遠いとこまで行くのか?」

千夜は頷き宿に戻り歩きだした。

それを小走りで俊也は追い掛けた。

俊也

「って、それだけ?他には教えてくれないのか?」千夜は欠伸をしながら面倒そうに俊也を見た。

千夜

「面倒だし、まっ追い追い話すわ。」

俊也

「面倒がるなよ・・・」

そして二人はまた宿の部屋に戻った。

もう夜が明けそうな落ち掛けの月を背中に感じながら。

ガチャ、バタン。

千夜

「あ、眠い・・ってもう夜明け!?」

千夜は窓に駆け寄り微かに見える朝日の木漏れ日に驚いていた。

俊也

「今日、というか昨日か?すっごく長かったからな。」

千夜

「そーゆう問題じゃないわよ!!私寝るから!」

ボフッ。

そう言うと千夜はベットに飛び込んだ。

俊也

「ま、仕方ないか。ふぅあぁ、俺もちょっと寝よ・・・」

そして俊也は倒れこむようにベットに入った。

交差する複雑な感情を胸で抑えながら・・・



―・・・。―

ん?

俊也は目を覚ましたとはまた別の感覚で意識が覚めた。

声?

誰だ?

俊也の目?には真っ白な景色、だが自分はいる筈なのにそこに自分の体は見えない。

―目を覚ましたか。―

その声は・・・

えらそーなやつか。

―別にそんな気はないのだがな。―

その言い方、それがえらそーなんだよ。

―ふふっ、すまないな。だが今は君に伝えなければならない事があるんだ。―

伝えなきゃならない事?

何?

―実はいろいろと干渉されていてな、君が保てるのが後一週間なんだ。―

俺が保てる?

一週間?

何の事だ?

―君は今第二の試練を受けている事を覚えているか?―

あ、忘れてた。

ってそんな訳ないだろ?

ちゃんと覚えてたよ。

―なら聞くが君の目的は、何だ?―

俺の、目的?

・・・・

あの、あの声をもう一度聞く事。

―・・・、まだ、覚えてられたようだな。―

まだ?

どういう事だ?

―いい、君がそれを忘れさえしなければ一週間は保てる筈だ。―

だ、か、ら!!

何が保てるのかさっぱり分かんないんだけど!

―今、私が言える事は一つ、一週間後に君の第二の試練は終わる、いや終わらせる事になる。―

はい?

それってどういう事?

意味が分からないんですけど・・

―君が君であるため、仕方ない事なんだ。―

あのー、聞いてますか?

えらそーなやつ?

―つまり君はこの試練から出る、君が理解出来るように言うなら君はそこの世界にはいれない、ということだ。―

この世界に、いれない?

ちょっと待てよ。

ここは俺がいた世界じゃないのか?

―違う、そもそもここは世界なんていう‘場所’、ではないからな。―

場所、じゃない?

じゃあここは一体・・・

―とにかく、君には後一週間君を保ってもらいたい、そうすれば私が君を助けられる。―

後、一週間、何を保てってんだ?

俺は・・・

―目的、それさえ強く心の内に秘めていれば君は――――

そこからえらそーなやつの声は聞こえなくなった。

と、同時に俺は激しく揺らされ呼び掛けられていることに気付いた。

千夜

「おい、俊也!!しっかりしなさい!!俊也!!」

俊也

「う・・・、千、夜?」

俊也は千夜の呼び掛けに体を起こした。

千夜はほっと胸を撫で下ろし落ちつきを取り戻した。

千夜

「あんたねぇ、目が覚めたら昼になっちゃってたからあんたを起こそうとしたら死んだように反応がないから焦ったわよ。」

俊也は窓の外を見ると昼特有の砂漠ならではの日差しが部屋に差し込んでいた。

俊也

「もう、昼だったんだな・・・」

千夜

「心配した私に掛ける言葉はないの?普通。」

俊也は軽く千夜に睨み付けられていた。

俊也

「うっ・・し、心配させてごめんなさい。」

千夜

「言われる前に気付きなさい、ガキ。」

俊也

「ごめん・・・」

結局俊也はいつまでたっても千夜には勝てないであろうことをまた思い出したのだった。

そしてそれと同時に先程の会話を思い出した。

俊也

「後、一週間・・・」

千夜

「え?、何か言った?」

俊也は自分が何を言ったか思い出すと慌てながら返事をした。

俊也

「い、いや、別に・・・。」

千夜

「あっそ。」

千夜はそう答えると自分の荷物を宝石の中からベットの上に服を放り投げた。

俊也

「何するんだ?」

千夜

「暑いから着替えるのよ。悪い?」

俊也

「いや、別に・・・」

千夜はそっ、と答えると服を探し始めた。

俊也は特にすることが無かったのでぼーっと考えようとした時だった。

千夜

「よし!これが一番ね、やっぱり。」

千夜はそういうと俊也を睨んだ。

俊也

「な、何だよ・・・」

千夜は少し顔を赤らめた。

千夜

「き、着替えるからあっち向いときなさい!!見たら殺すわよ?」

俊也

「別に、千夜の体になんか興味なっ」

ボコッ!!

言うまでもなく千夜の拳が唸りを上げた。

俊也

「ぐふっ!、・・す、すみません・・・」

千夜

「早くあっち向きなさい!!ガキ!!」

俊也は言われるがままに千夜が絶対に見えないように両手で目を隠し逆の方を向いた。

千夜はそれを確認すると服を脱ぎ始めた。

パサッ、パサッ。

俊也は異様に服の落ちる音や脱ぐ音が大きく聞こえ心臓が高鳴っていた。

あ、落ち着け、落ち着け。

俺は千夜に興味はない。

ない筈だ。

あったら・・・・どうしよう。

いやない。

俺は普通の高校生だ。

そんな趣味がある訳ない。

他の事を考えるんだ・・・

俊也は千夜の服を着替える音が聞こえる度に高鳴る気持ちを抑えるために頑張って他の事を考えるのに生きている中で一番悪戦苦闘したかもしれない。

第80話へつづく

されど主人公、だから主人公。

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